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花粉もホコリも臭いもイヤイヤ

空気清浄機の科学

だいじなのは吹き出す能力!

※これは2004年に作った記事です。



 空気清浄機は空気を吸い込み、汚れをフィルターで濾過する装置だ。
 そのために、部屋にただよう花粉が少なくなり、われわれ患者は楽になる(はずである)。

 このように、「吸い込んでくれるもの」だという頭でいると、勘違いがおこる。
 メーカーにしても、やれ4面吸気だとか6方向吸気だとかいって、いかに効率よく汚れた空気をたくさん吸い込めるかということをアピールしている。
 だが、どんなにフィルター前面のグリル(カバー)を工夫しようとも、たとえそのカバーがなく、フィルターがむき出しになっていようとも、基本的には「すぐそばの空気しか吸い込まない」のである。
 「ここの空気を吸い込みたい」と思っても、それは、その場所にホースでも持っていかない限り無理なのだ。

 掃除機を考えてみよう。
 テレビ通販でやっているように、吸い込み口にボーリングの玉を吸い付けるパワーがある掃除機だ。
 それを、1メートル離れたティッシュペーパーに向けてほしい。
 吸い込まれないはずである。
 ボーリングの玉と空中にただようホコリとは違うが、あまり「吸い込む能力」は気にしないほうがいい。


 花粉は空気よりも重い。
 だから、風のない静かな環境であれば、しばらくすると落下するといわれている。
 まったくの無風状態ならば、1秒間に3センチぐらい落ちるそうだ。

 これが煙のような微粒子になると、空気よりも重いのはたしかだが、その粒子の小ささゆえに、いつまでも(ずっとというわけではないが)空中にただようことができる。

 われわれは花粉症患者だから、ここでは花粉のことを考える。
 「花粉は落下する」ということになると、「落下する前に吸い取ってしまいたい」ということになろう。
 そのためにだいじなのは、「空気を吹き出す能力」である。つまり「風量」だ。

 下の図を見ていただきたい。
 これは、大風量の清浄機を運転しているときの、空気の流れのようすである。

風量が大きいと部屋中の空気の循環ができる


 上に吹き出した空気が天井まで届き、うずを巻きながら部屋のはじのほうまで届いている(ってゆ〜か、そのように描いたからそのようになっているだけなんですけどね)。
 そうなると、ただよっている花粉は、その風に乗って(うずに巻き込まれて)落下スピードがにぶる。少しずつは落下するだろうが、落下しながらも、清浄機に近づいていって、吸い込まれていくのだ。
 吹き出したきれいな空気に押されて、清浄機に近づいていくと考えてもよい。
 うまく空気の循環(流れ)ができているということである。

 この「循環」がだいじなのである。
 屋外で(あるいは、体育館のような巨大な部屋で)清浄機を運転することを考えてみよう。
 吹き出した空気はどこにいくか? 出たら出っ放しである。ただ上方の周囲に広がっていくだけで、「循環」はできない。
 「循環」ができないと、先に述べた掃除機でティッシュを吸い込むのと同様に、1メートル先の花粉すら吸い込めないということがあり得る。

 それを示したのが下の図である。

パワーの足りない清浄機は花粉にはほとんど無力だ


 これは風量の小さい清浄機を運転しているところだ。
 出てくる風が弱いので、すぐ近くにうずができ、そこで吹き出した空気が広がってしまい、部屋のすみのほうまで届かない。
 届いても、ごくごく弱い気流しかできない。
 こうなると、空気が動かない静かなところにある花粉は落下しほうだいだ。


 よくテレビ通販などの「実験」で、50センチ角ぐらいの透明な箱にホコリや煙を入れて清浄機を運転し、「あっという間にきれいになる」とかいってるが、それはまったく意味がないということが、これでわかるだろう。
 その程度でいいのなら、どんな小さな清浄機だって効果があるのだ。
 もちろん、「だからお宅の部屋もすぐにきれいになる」と言っていなければウソにはならないが、「そのように思わせる」ことで購買意欲をかき立てるというのは、正当な方法とは思えない。騙されてはいけない。


 いずれにしろ、落下すれば空気はきれいになるのだからいいとはいえるが、それでいいのなら、清浄機はいらない。
 買うだけ無駄というものだ。

 落下したものを掃除すればいいのはたしかだし、それは重要なことである。
 しかし、3日に1度しか室内外の出入りがないのなら3日に一度の掃除でいいだろうが、普通に暮らしていれば、そうもいかないだろう。
 窓を開けたり出入りのたびに掃除をするのをさぼっていれば、床に積もるのだ。
 積もった花粉があるのなら、歩けば、また舞い上がるのだ(どこまで舞い上がるのかは知らん)。
 布団の上に落下したのであれば、敏感な人は寝るときにむずむずしてしょうがないだろう。

 しつこいようだが、だから空中にあるうちに吸い取りたいのだ。

 ちなみに『ここまで進んだ花粉症治療法』(佐橋紀男+花粉情報協会/岩波アクティブ新書)に、室内塵に含まれていたスギ花粉の数が出ている。調べたのは2〜4月で、多いときで、1平方メートルの床面に(1週間で)500個あったとのことだ。
 シーズン前でも、50個あったという(榎本雅夫・大西成雄・嶽 良博・他「室内塵中のスギ花粉」『アレルギー』50,2001)。
 耳鼻科50音辞典には、シーズン後でも部屋には花粉が残っているというデータが示されている。

 どうだ、こんなに落ちる前に取りたくなってきただろう(笑)。

特殊なカメラで見た、歩いたときに床のほこりが舞い上がるようす

三菱重工株式会社冷熱事業本部制作
「換気のできるビーバーエアコン」の
「CD−ROMで見る映像解説カタログ」内映像より


 まあ、上にも述べた煙のようなものであれば、話は別である。
 時間はかかるだろうが、ごくごく弱い気流に乗って……というよりも、拡散に拡散をし続けていくうちに、やがていつかは清浄機に吸い込まれていくだろう(タバコのヤニのような、べとつく微粒子は、壁や床に付着するのも多いはずだが)。
 だから、小さいものでも、役に立たないということはないのではないだろうか(理屈ではそうだが、実際はほとんど役にはたたないと思うけどね)。


 日本電機工業会による規格で、清浄機の適用床面積というのが表示されている。
 その規格というのは、「5本のタバコを吸ったときに相当する空気の汚れを、30分できれいにできる広さ」だそうだ。
 最近ではこの表現が異なっており、「規定の粉じん濃度の汚れを…」となっているが、以前は「タバコ」だったのだから、それは「煙を吸い込む力」と考えてもよさそうである(正確な表現を出しても、なんのことやらわからん)。
 いろいろなサイズの粒子が混ざっているものかもしれないが、いずれにしろ「花粉の濃度」について調べて、能力表示がされているものではない(規格についての正確な文言は、カタログやメーカーのサイトに出ているはずなので、それを読んでほしい)。


 そんなわけで、花粉症対策の空気清浄機に求められるのは、まず「風量」なのである(それがイコール「吸い込む能力」だともいえるのだが、そういうツッコミはよしなさい)。
 フィルターの性能は二の次でよい。どっちにしろ、普通に売っているものは、そんなにしょぼい性能のフィルターを使ったものはないといってもいいからだ。


 なお、いちばん上の図で「このあたりはちょっとキビシイ」と書いてある部分がある。
 部屋の広さと風量にもよるが、清浄機から離れたすみっこのほうの花粉を取ろうと思うと、おそらく本当にキビシイと思われる。いわゆる「吹き溜まり」である。
 どうしたらいいか? 
 そういう場所に、もう1台置けばいいのである。

 当サイトが、1台の大きな清浄機を設置するよりも、やや小さい性能であっても、複数台の清浄機を置くことを勧める理由はここにある(本当に小さいものではしょうがないが)。
 そうやって、部屋中の空気をかきまわしつつ、花粉の落下を防ぎながら吸い込んでしまいたいのだ。


 このような空気の流れを考えると、拭き出し口を上に向けず、下(横)に向けたほうがいいのではないかと思うかもしれない。
 そのほうが、落下を防げるのではないか、ということだ。
 もしかしたらそうかもしれない……う〜む、ホントか、おい。(^_^;)

寝かせて置くのもアリかも?


 いや、しかし……スモークテーブルのような、喫煙場所に置いてある大きな空気清浄機は、このような方法でタバコの煙を周りに広げないようにして、うまく吸い取っているのである。
 いまは換気をしないといけないようになっているが、そうした「喫煙場所」をエアスクリーン(風の流れ)によって仕切り、煙を周りに広げないようにして清浄機に吸い込ませるという工夫もある
 そういう方法そのものをとるというのは一般家庭ではむずかしいだろうが、とりあえず「気流」がだいじだということが、こういうことからもわかるであろう。




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