
またしても三好先生のサイトで申し訳ないですが、ディーゼル排ガスに対する新たな知見(?)を提供してくれたようです。 公衆衛生情報みやぎ 〜その後の世界の花粉症調査(3)〜の「従来説への疑問(1)」の後半に、ディーゼル排ガスは影響するかもしれないが、それは単にアレルゲンを吸収してためておくからではないか、アレルゲンを長く放出し続けるからではないか、それで悪化するのではないか、ということが出ています。臭いを吸収する活性炭のようなもので、「アジュバント作用ではない」ということですね。 一見なるほどと思わないではありません。「それでも説明できる」ということはあるかもしれませんが、「そうだ」とまで言い切れないのではないでしょうか。花粉と排ガス成分を混ぜて注射をしたという動物実験の結果を説明するには充分かもしれませんが、人体に対する影響は、これでは説明しきれないと思います。 なぜなら、鼻に入った「アレルゲンを吸着した炭素」は、そのままなら長くアレルゲンを放出するし、なんらかの作用による分解なども(炭素粒内にアレルゲンが入っているから)受けにくいかもしれないですが、もろとも鼻水やくしゃみで外に出てしまえば同じだからです(肺の奥深くに入ったらどうだかわかりませんが)。花粉だけのときよりも、長くとどまるということが証明されないと、なんともいえないと思います。 もうひとつ「むむむ?」と思った点があります。 それは以下の部分です。
こうした微粒子に関して、たとえば花粉が粉砕されたものも問題になるんじゃないかという報告は過去にもあったようです。それらが排ガス微粒子と混ざったもの(くっついたもの?)もあるのではないか、ということを言う先生もいたと思います。 また、排ガス微粒子(だと思われるもの)がくっついた花粉というのも発見されてはいます(それが多いのか少ないのかは不明)。そのため、こうした「花粉と排ガスがくっついたもの」を吸い込むからより症状が激しくなるのではないかとかいわれたこともありました(出どころがどこなのか不明ですが、そうした排ガス成分によって花粉が傷つき、アレルゲンが出やすくなっているのでは、という話もあります)。 これを読んで思い出したことがあります。花粉と喘息との関係です。 花粉がたくさん飛んでいるときは、花粉以下のサイズの小さい粒子も多い。たぶんオービクルだと思われる。そういうときには喘息になる人が多い。発症してなくとも、呼吸機能に影響を与えていることもわかった。粒子が小さいので、鼻を通過して気道に入り込むからだろう、という説があります。 もしかしたら、単にオービクルということではなく、DEPとくっついているというのも、なにか関係しているのかもしれません。 ですが、ディーゼル排ガスが影響するのであれば、炭素粒子がアレルゲンをためこむということよりも、ほかの有害成分によって炎症がひどくなるという説のほうが信憑性を感じます。もしかしたら物理的に痛めつけられた組織からは、アレルゲンも入りやすいかもしれません。つまり、症状がひどくなればさらにひどくなるという「悪循環」がおこりやすいということにすぎないような気もします。 アレルゲンがたくさん入れば、抗体産生も増えるでしょうし、その意味ではアジュバントなのかもしれないですが……そもそもアジュバントなんていう謎の作用は本当にあるのでしょうか(まあ、言葉の定義しだいですが)。 アトピーのほうでは、皮膚に障害(?)があるとアレルゲンが入り込みやすい。だから、症状をおさえるとともに、保護をして健康な状態にもどすのがだいじだといわれます。鼻粘膜でも同じではないでしょうか。 まあ、わかりませんけどね。アレルゲンとは無関係に悪循環みたいのもおこりそうですし、先の遺伝的にどうこういう話では、排ガスの影響をうけて症状が悪化する人はいるってことだし。 で、こうしたオービクルのような「微粒子」のこともだんだんわかってきているのですが、相手が小さすぎるせいでしょうか、研究はむずかしいそうです。なんとか研究を進めていただきたいと思います。 ところで、「大気汚染」などというのは漠然としすぎていると述べましたが、花粉の量と花粉症というのも、じつは漠然としているといっても言い過ぎではないということがあります。細かいことをいえば、「花粉で花粉症になる」のではありません。「花粉にふくまれているアレルゲンによって花粉症になる」からです。 ですから、「花粉飛散量が多いところに患者が多い」ということがあっても、それはじつは不正確です。 いちばんいいのは、花粉量でもなくオービクルの量でもなく、アレルゲンの量を調べることです。これは、スギの品種によってアレルゲンの量が異なるということもあるためです。たとえば、Cryj1(クリジェイワン)というアレルゲンでは、多い品種と少ない品種では、80倍もの開きがあるといいます。
そういう「花粉ではなくアレルゲンの調査」をしているのが山形県衛生研究所……そう、先の三好先生が紹介した高橋先生のグループです。 花粉飛散量とアレルゲンの量とは、かならずしも一致しないようです。さまざまな謎というのは、もしかしたらこのあたりに解決の糸口があるのかもしれません。 山形県花粉アレルギー情報提供システムの開発研究成果報告書というくわしい報告書がありますので、興味のある方はそれを見てください。 ディーゼル排ガスについては、目に見えるいわゆるススと呼んでいいようなサイズのものだけでなく、ナノサイズの粒子もあって、それが体内に取り込まれるなどということが動物実験によって示されるなど、最近になって新たな事実が出てきはじめています。 科学新聞の大気中に存在する新しいタイプの内分泌かく乱物質というのを見てください。 こちらも、粒子サイズに注目した研究をしなくてはいけないかもしれません。体内はどうかわからないとしても、小さい粒子は鼻を通過して肺にまで入り込むということはありますし(そういうこともあってか、大気汚染の観測で小さい粒子まで測定しようということは進んでいます)。 というわけで、花粉飛散量と地域の有病率とは大きな相関があったとはいっても、必ずしもぴったりではない、そして大気汚染との相関を明らかに示す研究はどこにもない……これらのことは、従来の研究方法ではわからなかったことなのだ、という可能性があるかもしれないです。研究方法を一新すれば、やっぱり大気汚染(の中のなんらかの物質)が悪かったということになる可能性はなくはありません。 しかし、いずれにしろ、排ガスだろうが大気汚染だろうが、けっきょく健康によくないとなったら吸い込まないほうがいいし規制したほうがいいというのが最終結論であって、「スギ花粉は悪くない」という口実にさえならなければ、私自身はどうでもいいと思っています。 花粉症とは関係ないよということになっても、別に私は排ガスを吸い込みたいとは思いません。 アジュバントなのかどうかというような研究者どうしの論争のネタにはなるのかもしれませんけど、失礼ながらもはや市民レベルから遊離しているように思えなくはありません。排ガスがなくなったら花粉症はなくなるのでしょうか。これだけ花粉が多いのに。 ほかにも関係する要因はいくつもいわれています。どれも関係性は明確にはなっていませんが、排ガスがなくなっても、ストレスのせいで発症したり悪化するのであれば、同じでしょう。食べ物の影響で発症するのであれば同じでしょう。後天的な体質のせいでアレルギーになりやすいのであれば同じかもしれません。全体的に患者が減るということはあっても、自分がどうなるのかはさっぱりわかりません。 確実なのはアレルゲンである花粉をなくすこと(減らすこと)です。それ以外にはありません。 いろいろと研究は進んでいるようですが、治療薬もできないし、根本的対策も行なわれてきていないということに対して、私たちカフナーはマジでイラついてるのです。いろいろやっているという研究、そのムダな研究費をスギの伐採費用にまわせ、というのが本音であるところが多少あります。 さて、そのページには新事実というのが、もうひとつ出ています。 それは、以前より慈恵医大の調査研究が捏造ではないかと指摘していたことに対して結論が出たということです。 三好先生は開いた口がふさがらなかったと記述していますが、ここまで追求された先生には敬意を表します。 「医学」という学術の世界でどんなことがあろうとかまわないとは思います。それが「医療」という「現場」に影響しなければ。 私たちが受けたいのはよい医療であって、ここでいろいろ説明してきたような「理屈」を勉強することではないというところはあります。 そもそも学術の世界は(モトが捏造だとしても)論争があって当たり前ですし(まあ、「長老」みたいな偉い先生がいて、硬直している学会もあると噂に聞きますが。アレルギーの分野でも、ゼラチンに対するアレルギーを報告した先生が、「そんなことはない」のひとことで片付けられたという例があるそうです)。 ただ、これはかなり初期の研究であるということもあって、おそらく広い意味でのその後の「医療」の現場にも少なからず影響したのではないかと思わなくはないですがどうでしょう。 前に紹介したページにあるように「彼らのわい曲を見抜けなかったそれ以後の耳鼻咽喉科医の責任だって、決して軽くない」ということは、たしかにその通りかもしれません。 20年前とはいいません、せめて10年前……5年前でもいいです、お医者さんが「スギ花粉症の原因はスギ花粉」「患者を減らすにはスギを少なくするのがいちばん重要」とでも声を上げてくれれば……いや、悔しくなるのでやめましょう。いくら考えても取り戻せないことです(本当は私たち患者がなにかしないといけないんでしょうけどね)。
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