断食と宿便

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 体内に蓄積された過剰な脂質を減らすには、食事療法、運動療法、薬物療法があります。

 ここでは、古くから行われている断食の効能を、考えて見たいと思います。
 
 1.断食の効能
 断食には、生命機能(遺伝子の発現状態)をリセットする効果があるようです。

 断食の効能として、
 1)内臓諸器官の休息:胃腸、肝臓、腎臓を休め、機能回復させる、
 2)過剰栄養分の排出:蓄積した脂肪を代謝させる
 3)毒物・老廃物の排出:脂肪に溶けた「毒素」は、通常の生活では、排出されにくい注1
 4)白血球の増加(注2
 5)潜在生命力の賦活
などが、期待されます。

 カエルなどは、冬季に4カ月程度の期間、エサを食べないで冬眠します。
 冬眠中の動物の体重減少は、脂肪の減少が主です(注3)。 

 表2 冬眠後の臓器の重さの減少
 冬眠日数   44日間冬眠  163日間冬眠
 脂肪    −3.19%   −16.28%
 筋肉    −2.02%    −7.63%
 骨    −1.79%    −1.95%
 皮膚    −0.46%    −5.57%
 肝臓    −0.24%    −1.88%
 断食により、体内の過剰な脂肪だけでなく、過酸化脂質などの有害な脂肪を減少させることが、可能かも知れません。

 2.断食後の消化吸収力の向上
 稲などの植物では、水を与えないようにする期間を設けると、根が丈夫になるそうです(田干し)。
 断食後も、腸の機能が亢進して、栄養の吸収が良くなり、体も脂肪を貯えるように代謝が変化するので、少食でも健康に過ごせるようになるようです。 

 3.安全な断食
 断食では、絶食することよりも、食事を再び食べ始める回復期に、異常に出る食欲を抑えながら食事の量を徐々に増やすことの方が、困難のようです。
 回復期は、重湯を主にして、胃腸や肝臓に、負担をかけないことが、原則のようです。

 断食中は、十分な水分を飲む必要があります(成人は、1日1〜2リットル)。
 なお、水分としては、お茶など、ビタミンCを含む飲み物が、良いと思われます。

 長期間の断食療法は、それなりの経験のある施設に入所して行わないと、危険です。特に、長期間の断食療法は、腸液の分泌機能を、低下させてしまう危険性が、あります。
 しかし、夕食後から次の日の昼食前までとか(朝食抜きの半日断食)、土曜日の夕食後から日曜日の夕食前まで(1日断食)、水分のみで過ごす程度の断食でしたら、安全に挑戦出来ると思われます。
 
 4.宿便は万病のもと   
 断食中に、宿便が排泄され、腸管内がきれいになります。

 宿便は、「腸管内壁にこびりついた古い便」というように考えるのは、間違いだと思います。
 実際、人間で、大腸の内視鏡検査を行っても、そんなこびりついたような便は、見当たりません。
 食べた食餌は、腸管内をトコロテン式に食べた順番で押し出されて、大便になるのではありません。
 腸管内では、前に食べた食餌が、古い食物残渣として停滞したり逆流しているところに、後に食べた食餌が合流します。
 そうすると、特に、拡張した腸管内に、前に食べた食餌がある程度の量、古い食物残渣として残ります。
 これが、宿便の正体だと、思われます。
 特に、上行結腸では、逆蠕動が起きるので、古い食物残渣が、宿便として溜まり易いと考えられます。

 古い食物残渣が腸管内で停滞すれば、ウェルシュ菌などにより発癌物質が生じる危険があります。
 食べた肉のアミンは、腸管内でウエルシュ菌により、発癌作用のあるニトソアミンに、変化します。
 また、脂肪分解のために分泌される胆汁酸が、ウエルシュ菌により二次胆汁酸に変わり、腸粘膜を障害します。
 大腸癌は、このウエルシュ菌により生成されるニトロサミン(主犯)が、二次胆汁酸(共犯)により障害された腸粘膜を発癌させるのが原因と、考えられています。
 便秘は、大腸癌の危険因子です(注4)。

 また、古い食物残渣が腸管内で停滞し、腐敗して生じた有害な物質が体内に吸収される危険があります。
 「宿便は万病のもと」と言われるのも、納得がいきます。

 「宿便」を出すには、大腸の内視鏡検査の時に行う前処置のように、下剤と腸洗浄剤で、下痢として出すのが、手っ取り早いと思われます。
 
 5.腹八分に医者いらず
 宿便の多いような状態では、腸管の蠕動運動が低下しています。
 このような場合、食物繊維は便通を良くするからと、生野菜や果物やサツマイモなどをたくさん食べると、かえってお腹が張ってしまいます

 宿便を減らすためには、腹八分を心掛けることが、大切のようです。
 カロリー制限と、脂肪摂取制限は、寿命を長くするようです。

 注1:有害金属(鉛、水銀、カドニウムなど)は、脂溶性で、脳にも蓄積しやすい。有害金属は、汗からも排泄される。

 
注2:断食のような飢餓状態では、肺胞マクロファージの貪食能は、飢餓の2日目に一時的にに上昇し、その後は、低下します。肺胞マクロファージのPGE2産生能は、飢餓の2日目以降から、急激に低下します。しかし、肺胞マクロファージのIL-1産生能は、飢餓日数と共に、徐々に上昇します。なお、運動は、肺胞マクロファージの数や貪食能を、増加させます。

 注3:脂肪組織は、脂肪酸を、グリセロール3-リン酸(α-グリセロリン酸)にエステル結合させ、中性脂肪として、貯蔵しています。
 脂肪組織は、皮下、腹腔、筋肉(骨格筋)に多く、体重が70Kgの成人には、約15Kgの脂肪があります。この量の脂肪のカロリーは、590,000KJ(141,000Cal)で、3カ月分のエネルギーです。聖書には、モーセや、イエス・キリストが、40日間、断食したことが記録されていますが、人間は、40日以上、断食しても、生存可能な脂肪を、貯蔵しています。、

 注4便秘の人は、キャベツや、ゴマを食べると良いと思います。
 グリセリン浣腸は、まず、レクタルチューブを、成人6〜10cm、小児3〜7cm、直腸粘膜を損傷させないように注意して、ゆっくり挿入します。そして、容器を片手で支え、内容液(日局グリセリン)を徐々に直腸内に注入します。2〜5分経過後に、便意が強くなってから、排便します。

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