肝炎とは何の病気
 日本の肝炎の大半はウイルス性肝炎である。ウイルス性肝炎の中ではB型肝炎とC型肝炎の多くが慢性化する。また、慢性肝炎から肝硬変や肝臓がんへ移行するケースも少なくない。山梨医科大学学長鈴木宏教授の調査によれば、肝硬変患者のうち、B型肝炎の患者が二割、C型肝炎の患者が六割を占めている。肝臓がんの場合でも、B型肝炎から移行した人が二割、C型肝炎から移行した人が七割を占めているということである。

 東京大学医学部は六年間に渡って、「肝臓がんへの移行率」の追跡調査を行ったところ、肝炎ウイルスに感染していない人が肝臓がんになるのは、十万人あたりで換算すると、一年間にわずか二人しかいなかった。これに対して、ウイルス性肝炎のうち、同じく十万人あたりで換算するとB型肝炎患者の肝臓がんへの移行者数は647人、C型肝炎患者の移行者数は1723人にも達していることが分かった。

 慢性肝炎は軽症の慢性持続性肝炎、中症の慢性活動性肝炎、重症の慢性活動性肝炎の三段階に分けられている。三段階の症状別の十年間の発がん率は軽症5%、中症15%、重症30%となっている。つまり、重症患者の場合、十年経つと、三人に一人は肝臓がんに移行する危険性があることになる。二十年経てば、さらに発がん率が高くなり、十人のうち六人は肝臓がんを発症する計算になる。

 これらのデータからも分かるように、ウイルス性肝炎は肝硬変、肝臓がんの重大な危険因子である。そのため肝炎は慢性段階での治療が極めて重要である。


肝炎治療の現状

 インターフェロンは慢性肝炎治療の有効な薬であり、特に保険薬として認定された一九九二年以降、インターフェロン療法が肝炎治療の主流になっている。

 インターフェロンは肝炎発症後の期間が短いほど、ウイルスの量が少ないほど、有効率が高くなる。C型肝炎のウイルスには1a、1b、2a、2bなどの型がある。インターフェロンの有効率はウイルスの型によって異なる。2a型には最も効きやすく、30%ほどの有効率をほこっている。

 欧米のC型肝炎患者の多くが持っているのは、インターフェロンの効きやすい2a型のウイルスである。日本のC型肝炎患者が持っているウイルスの型の内訳は、2a約20%、1b約75%、残りはその他の型になる。日本では実に8割近くもの患者が持っているウイルスは、インターフェロンの効き目が悪い1b型になる。そのために、欧米でのインターフェロンの有効率が高いのに対して、日本での有効率はかなり低くなるのである。

 インターフェロンのほかにも多くの治療薬があるが、大半は対症療法である。肝炎治療において、現在さまざまな試みが行われている。今後、さらなる有効な治療法の研究開発が待たれるところである。 医博 林勝  

  
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