病気の概要について


クローン病(Crohn's disease/CD)とは?

 クローン病とは潰瘍が消化管の色々な場所に生じる病気で、20歳前後の成人域に多く見られる病気で現在は発症年齢が低年齢化しています。
クローン病の潰瘍は口から胃、小腸、大腸、直腸、肛門まですべての消化管に発生する中で、小腸、大腸に最も多く認められます。
主な病変部により食道クローン病・胃クローン病・十二指腸クローン病・小腸クローン病(小腸型)・小腸大腸クローン病(小腸大腸型)・大腸クローン病(大腸型)に分類されます。
症状は腹痛、下痢などが主で、活動期(再熱・増悪)と寛解期を繰り返し慢性に経過する事が特徴です。

原因は不明ですが免疫異常説が有力です。食物による腸管に異常な反応が、 腸管の異常な反応が、腸管の潰瘍を悪化させる可能性が考えられます。他人の人に感染するような疾患ではありません。1996年現在の日本のクローン病患者の実態は10万人当り5.8〜6.5人とされていますが、最近増加傾向にあり、1980年には1900年の8倍以上も増加しています。しかし、日本人は欧米人に比べて1/10といった現状です。

 治療は消化気管の安静が第一とされています。その為、繊維の少ない消化の良い食事、また食事中の脂肪分が潰瘍を悪化させる可能性が高いことから、脂肪の少ない食事を長期にわたってとる必要があります。この様な食事では十分な栄養を取るのは難しい為、消化管からそのままの形で吸収できる成分栄養剤(エレンタール)を治療に取り入れる必要があります(ED療法)。またこれに合併して薬物療法を行います。消化管の潰瘍に対して手術療法を除行する事もありますが、なるべく手術は避けて内科的な治療を行うのが原則です。

エレンタールについて
  ED療法について

潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis/UC)とは?

 潰瘍性大腸炎とは大腸の炎症性の病気です。クローン病と同様に20歳前後の成人域に多く見られる病気で発症年齢が低年齢化しています。
潰瘍性大腸炎はほとんどの方が直腸に病巣が見られる他、直腸から結腸粘膜の表層部にもびまん性に潰瘍などが連続して見られます。
主な病変部により直腸炎型・左側大腸炎型・全大腸炎型・右側または区画性大腸炎型に分類されます。
また、経過により
初回発作型(発作が1回だけのもの)・慢性持続型(はじめに悪くなり内科的治療でも6カ月以上緩解しないもの)・再燃緩解型(粘血便や下痢などを起こすが治療によく反応するもの)・急性激症型(突然再燃し、大出血、発熱といった激烈な症状を発症するもの)があります。

原因は不明です。近日、潰瘍性大腸炎の患者が5万人を突破したことにより直腸型のみの患者さんが特定疾患からはずされる、といったことも起こっています。

 治療は薬物治療が主に使われ、食事療法、エンシュア・ラコールといった栄養剤やIVHなどは補助的に使われています。またステロイド剤などの浣腸や座薬を組み合わせて治療を行う場合もあります。最新の治療では白血球除去療法なども使われ、病気に対してさまざまなアプローチを行っています。
投薬などで緩解が得られない場合は症状に応じて手術をする場合もあります。

腸の働き

1)小腸
   十二指腸・空腸・回腸に分けられます。
   〈働き〉 *消化液を分泌する。
        *水と電解質を吸収する。
        *食物と消化液の混和と運搬
        *消化と吸収
   (小腸には、ひだがたくさんあり栄養の吸収が盛んに行われています。)
2)大腸
   盲腸・結腸・直腸に分けられます。
   結腸は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。
   〈働き〉 *水分の吸収
        *消化物の運搬

症状と合併症

どんな症状がおこるのでしょうか?

1) 腹  痛 ―下腹部、ヘソ周囲に強い痛みが起こり、排便により軽減します。痛みの程
          度は軽度ないしは、中度のものを含めると約80〜90%の人にみられます。
          これらの症状は、腸の動きが亢進したり狭窄を起こしていたり、炎症がおこっ
          ている為に生じます。
2)下痢・軟便―原因は腸での水分、電解質などの吸収不良や細菌の異常増殖によるため
          です。
3) 体重減少―初期には頻度は少ないようですが、症状が進むと半数以上の人にみられます。
          原因は栄養の吸収障害によるためです。
4) 発  熱 ―初発症状の事が多く37℃台の微熱が続く場合があります。

どんな合併症が起こるのでしょうか?

   痔ろう、肛門周囲膿瘍が多く見られ、穿孔・狭窄・出血などがおこることもあります。
   その他に膵炎、皮疹などがおこる事もあります。
   また、使う薬の副作用にも注意したほうがいいでしょう。


食事について

高エネルギー・高蛋白質食
    消化管に炎症のあるときは微熱、腹痛、下痢ばどがおこり、身体が進
   む為に高エネルギーが必要になります。低栄養の状態が続くと病態の改
   善もはかれません。その為、高エネルギー、高蛋白質が必要になります。

低脂肪食
    他の栄養素に比べて、脂肪そのものが腸管を刺激性が高いので、緩解
   期になっても出来るだけ脂肪は制限した方が良いでしょう。脂肪を摂取
   するとしても食品の中に含まれる物だけにとどめ、調理で使用する油な
   どは、制限する事が必要です。

低残渣食
     健康人ならば繊維を1日20〜30g摂らなければならないといわ
    れています。しかし、クローン病、潰瘍性大腸炎の人繊維摂取は、1
    日2g程度に制限されています。これは繊維の作用が逆に腸管を刺激
    して下痢の原因となったり、また腸の安静が保てない為に炎症を起こ
    したり、炎症が回復しにくくなるからです。

食品の上手な選び方
  ・食事時間はできるだけ一定時間に決めてとるようにしましょう。
  ・食物はゆっくり噛んで食べましょう。
  ・外食はうどん食を主とした低脂肪の低残渣食とし、消化のよい物を
   摂るようにしましょう。


資料
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  会報08号 バランスのとれた栄養摂取
  会報14号 カルシウム摂取その1
  会報24号 カルシウム摂取その2
  会報02号 まんぞく君試食会
  会報32号 楽チンライフ試食会その1
  会報33号 楽チンライフ試食会その2
  会報23号 発芽大麦(GBF )の紹介

  会報01号 エンシュアの試飲会
  会報35号 テゾンの試飲会


日常生活について

内服管理について


   ・薬は指示された量を正確に飲みましょう。
   ・外泊、外出時忘れないようにしましょう。
   ・自己判断の中止は症状の急激な悪化を招く事になります。

体調チェックについて


   ・体重測定 ― 1週間に一度は体重測定行い、ベスト体重を維持していきま
             しょう。減りすぎる様なら医師に相談しましょう。
   ・体温測定 ― 1日1度は熱を測り、微熱が続くようなら医師に相談しましょう。
   ・便の観察 ― 下痢や水溶便、また黒っぽい便が続く様なら医師へ相談しましょう。
   ・ 腹 痛  ― キリキリとした痛み、ドーンとした思い痛みなどが続く様なら、
             我慢せずに医師に相談しましょう。
   ・採血チェック― 病院へ受診した時や入院中に採血をした時、医師や看護婦にデータ
            
を記入してもらい自分の体調は自分でチェックしていきましょう。

特定疾患、身体障害者など

特定疾患について

     CD/UCは長期にわたり治療を受けなければならないので、肉体
    的・精神的に加え医療費が患者さんの経済的負担にならないように、
    国では40種類以上の病気について特定疾患という制度を作り、自己負
    担を公費で援助をしています。
    尚、発行機関は都道府県となります。
  〈初めての申請〉
   ・自分の所在地の保健所に、診断書と特定疾患医療給付事業新規申
    請書をもらいに行きます。(病院によっては医療相談室でもらえるところもあります)
   ・診断書は医師に記入してもらいます。
     この場合病気を確定する為の主要症状や、検査所見等が必要なので
     時間を要することがあります。
   ・申請書には本人が記入します。
   ・診断書、特定疾患医療給付事業新規申請書、印鑑、保険証(所に
    よっては住民票)を持って保健所で申請します。(受給者証は
    2〜3ヶ月後に郵送されてきます。)
   ・受診時に受付に保険証と申請証明書を提出すれば、医療費は助成され
    ます。
 〈2回目以降の申請〉
   ・2回目からは継続申請が必要で、毎年12月中には更新手続申請を行って
    ください。
   ・継続申請書は初めての申請と同様に、保健所で書類を本人が記入し提出します。
   ・3年に一度医師かの診断書が必要です。
    (2002年度の申請(2001年提出分)は必要でした。)
    その際、X線写真、およびCFなどの所見が必要なため、検査が必要な場合があります。

   ・通院治療を受けていないと、継続の申請が出来ない事もあります。
   ・承認期間外の受診については、窓口にて自己負担分を支払う必要があ
    りますので注意してください。

身体障害者について

     UC/CDの身体障害者は主に小腸機能疾患、ストーマなどの永久的な人工肛門
   の設置、人口膀胱などで取得できることがあります。
   発行機関は都道府県になります。
   この為、都道府県ごとで取得出来易い、出来難いなどの格差があるようです。
   取得方法や取得できるかどうかの詳細は保健所、または医療相談室、ソーシャルワーカーさんへ
   お問い合わせください。