ナルコレプシーの症状

ナルコレプシーの症状 



■反復する日中の居眠り
(recurrent daytime sleep episodes)

 ナルコレプシーの主症状は、日中に何度も繰り返す居眠りが、ほとんど毎日何年間にもわたって継続することです。正常の人でも、眠くなるような場面では容易に眠り込んでしまいます。例えば・・・
  • 食後の午後の授業
  • 発現回数の少ない退屈な会議
  • 暖房の効いたバスや電車の中で、席に座ったとき
  • 単調作業を続けているとき
  • 小説を読んでいるとき
  • ・・・など
 通常10分〜20分ほど居眠りをすると、目が覚め非常にさっぱりすることが特徴的で、この居眠りが一時間を越えることはまれです。しかし、一度目が覚めても2〜3時間程度経過すると、再び眠気に襲われます。一度眠気を感じると、体を動かしたり、意識的に緊張したり、目覚まし法といわれることを試したしても、大きな効果はありません。居眠りの途中に、他人が呼び起こしたり揺り動かしたりすると、簡単に途中覚醒しやすいのも特徴的です。

 居眠りの回数は、一日に1〜4回程度です。この居眠りは、前日に充分な睡眠時間をとっていても起きます。朝は普通に目が覚め、寝過す、寝ぼけることは通常見られません。


 また、健常人なら緊張していて眠ることなどないような場面でも、突然眠気に襲われて数分程度眠り込んでしまうことがあります。例えば・・・
  • 自動車の運転をしているとき
  • スポーツの試合をしているとき
  • 大事な試験
  • 重要な顧客との商談中
  • ・・・など
 これは「睡眠発作」と呼ばれています。これは居眠り傾向とは質の違うものと考えられており、その一部には日中起こるレム睡眠を主体とする場合があると考えられています。


■情動脱力発作
(cataplexy)

 おもに強い陽性感情によって、膝、腰、顎、頬、まぶたなど体を支える筋肉が突然弛緩してしまうという症状です。例えば・・・
  • 麻雀でよい手ができたとき、突然発作が起きて牌を落とす。
  • TV番組でおかしな場面があったとき、発作が起きて倒れこむ。
  • 風呂場で突然首を支えられなくなり、顔面を水面につけてしまい呼吸できなくなる。
  • ビデオゲームの最中で、頭を支えられなくなって棚にぶつかってしまう。
  • 歩いている最中、笑い膝からカクッっと力が抜ける。
  • 性交渉で高ぶったときに、全身から力が抜ける。
  • ・・・など
 情動脱力発作は、通常は一瞬で終わってしまいますが、数分間持続する場合もあります。この場合には、意識は鮮明で頭の中では、必死に「助けて!」と声を出そうとしているのですが、全身に力が入らず声も出ません。呼吸停止は起きませんが、息苦しい感じがします。ときには、情動脱力発作が立て続けに起こり、数分〜30分くらいも脱力状態が続くことがあり「脱力重積状態」と呼ばれています。


■入眠時幻覚
(hypnagogic hallucinations)

 就寝後まもなく、半分目が覚めており周囲の状況を大体は把握しているが、生々しい現実感、恐怖感をともなった夢を見るという症状です。例えば・・・
  • 寝室の天井に死神がおり、体を圧迫する。
  • 異性との生々しい性的交渉
  • 蛇や怪物が襲いかかってくる
  • ・・・など
 この現実感、恐怖感をともなった夢には、臭い、触感、運動感覚をもともなうことも多く、ときには音が聞こえたりします。朝の覚醒の直前に同じような幻覚を体験する場合があり、「出眠時幻覚」(hypnopompic hallucinations)と呼ばれています。いずれにしても、レム睡眠期に出現すると考えられています。
 ナルコレプシーでも入眠時幻覚、睡眠麻痺が症状として現れない場合も、約20%あります。また健常人でも約20%が入眠時幻覚、睡眠麻痺を体験しています。




■睡眠麻痺
(sleep paralysis)

 睡眠と覚醒の移行期に全身の脱力状態が起きるという症状です。いわゆる金縛りです。上記の「入眠時幻覚」による不安、幻覚体験と一致して起きるために、悪夢から逃れようと助けを求めるのですが、声も出ず全身に力が入りません。そのために、同じ部屋にいても気がつかないことが多いようです。覚醒発作(Wachanfall)、遷延性精神運動障害、Rosenthal症候群などとも呼ばれています。
 この睡眠発作は、入眠時幻覚同様にレム睡眠期に出現すると考えられています。
 ナルコレプシーでも入眠時幻覚、睡眠麻痺が症状として現れない場合も、約20%あります。また健常人でも約20%が入眠時幻覚、睡眠麻痺を体験しています。



■夜間熟睡困難
(disrupted nocturnal sleep)

 ナルコレプシーの患者は、入眠時幻覚や睡眠麻痺があるものの寝つきは非常によいのですが、2時間程度で目が覚めやすいのです。そのまま朝まで睡眠・覚醒を繰り返していたり、浅い眠りが継続するために、熟睡感に乏しくなります。眠っている間は、夢をよく見たり寝言をよく言います。ナルコレプシーの患者の眠りは・・・
  • 途中覚醒しやすい
  • 寝言や夢が頻繁に現れる
  • 浅い睡眠が継続する
 のが特徴です。



■自動症
(automatic behaviors)

 日中、自覚的には眠気はなく日常的な動作、会話などをしていたにもかかわらず、その間の記憶がない場合があります。数分〜数十分にも及びます。 もうろう状態ににた意識野の恐縮と考えられていますが、microsleepによるとする仮説もあります。


■精神面の弛緩
(decreased psychic tension)

 ナルコレプシーによる長期の日中の眠気、居眠りのために日常生活で挫折を繰り返し、自信を失い、劣等感にとらわれがちです。しかし長期間のうちに物事にこだわらない、自己主張の少ない、人のよい、親しみやすい、張りのない、あきらめやすい性格が形成されるといいます。 これはナルコレプトイド性格(narcoleptoid personality)と呼ばれています。


■その他の合併症

 合併症として、肥満、頭痛、多汗症、糖尿病を疾患することが多いといいます。肥満者や高齢者では睡眠時無呼吸症候群を合併して日中の眠気が増強することもあるそうです。


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