TOPIC   "番外編"

自   戦   記

〜慶應義塾職員名人戦第9期第一回戦(2)〜

Hitoshi Takano NOV/2012

4.終盤

 さて、終盤の定義は、どちらかが残り5枚となったところからである。58枚目の「あまつ」で、5枚−15枚となり終盤突入と」なった。

(59)「この」戎井は、右上段で「速くキープ」する。こちらはなすすべもないが、あわてない。相手が守りに重点を置き始めていることはわかっている。怖いのは、相手の連取にあせってのお手つきである。
(60)「ありあ」空札。戎井は、「あらし」に反応。こちらは見るだけ。
(61)「ふ」戎井右下段の一番内側。一字決まりは当然のごとく早い。私の記録欄には「反応する及ばず」と書かれる。
(62)「かぜを」私の左下段を抜かれる。戎井は守りながらも、私の左サイドは攻めてくる。戎井としては私の左を抜かないと厳しい展開になることをわかっているからだ。送りは「おほけ」。
(63)「あらし」私の右上段内側よりの位置。ここを自然に守れるときは集中している証拠である。多少守られてもいけると感じる。
(64)「あひ」戎井陣左下段を抜く。記録の戎井欄には「押さえに行くも及ばず」と。 芸がないと思いつつ「おほけ」を送りかえす。
(65)「おほけ」。戎井は右中段で「送り一発をキープ」。こちらは相手の左サイドに注意を払っており、「送り一発」狙いではなかったのでやむをえない。5枚連続と読みの出もよい。そろそろ空札の出が気になるところ。

2012年11月10日(土); 於,三田婦人室
第9期慶應職員名人戦一回戦(65枚目まで)

甲:高野五段                   乙:戎井三段
甲左下段 甲左中段 甲左上段   乙右上段 乙右中段 乙右下段
        かさ やえ なにし
          なげけ あわじ
            みよ
             
             
             
             
             
             
    なげき        
             
             
           
            たれ
もろ           あきか
あきの         ながか みち
甲右下段 甲右中段 甲右上段   乙左上段 乙左中段 乙左下段

(66)「あきの」自陣右下段外側。敵陣に出かけてすばやく戻り気味に札から戻る。記録欄には「綺麗にキープ」とのこと。我ながらいい取りだった。6連続の出である。
(67)「あきか」戎井陣左下段。戎井欄の記録は「決まり字の変化に対応」。2字決まりになったことで、私からは攻めやすくなったのだが、相手にとっては守りやすくなったともいえる。連続7枚目の出である。こういう時の空札は、お手の注意ポイントである。
(68)「はるす」やっと空札である。連続出のあとは空札連続になることもありがちである。
(69)「ながか」戎井陣左中段。「押さえ手」との記録。手の出し方に堅く守る意思を感じる。相手も一桁枚数となる。いよいよ終盤のせめぎ合いである。
(70)「おと」空札。戎井は「左陣を囲う」。鉄壁の守りを目指しているのだろう。私はとにかくあわてないことを肝に銘じる。
(71)「みち」高野欄には「右陣を払ってしまう」と。「みよ」が右で「みち」が左だった。
(72)「たれ」連続で戎井陣左下段。守られてしまう。2−7の5枚差。優勢ではあるが、ひっくりかえされる可能性も充分にある。しかし、ここでは不吉なことは考えない。不吉な思いは、弱気を生むし、お手つきを呼び込むからだ。自分に都合よく考えることも場合によっては必要だ。戎井は「なげけ」を左下段に。
(73)「あさぼらけあ」空札。
(74)「これ」空札。
(75)「おく」空札。戎井欄の記録には「続けざまに自陣左に手を出す」。私が手を出してもブロックされてしまう感じだ。相手より早く出るしかない。
(76)「やえ」戎井陣右中段。左が一音で囲われるなら、右を取るしかないのだが「鋭くキープ」されてしまう。2−6の4枚差。ここらでリーチをかけたいところ。持ち札2枚と1枚は、単なる1枚の差ではない。先にリーチをかけることは、相手にかけるプレッシャーが違う。1回のお手つきで負けてしまうのだ。私としてもふんばりどころだ。
(77)「はなの」空札。
(78)「しの」空札。
(79)「さ」空札。
(80)「よを」空札。
(81)「いに」空札。
(82)「かさ」戎井陣右上段を抜く。戎井の記録欄には「反応するも空振り」。5連続空札の影響が出たのだろうか?こうした相手のミスをものにするというのは、終盤になればなるほど勝負の綾としては大きい。「もろ」を送り、上段の「なげき」を右下段におろす。守りやすい「もろ」を残さず、お手つきの危険がある「なげき」を残したのは、相手の攻めにお手つきの危険性をアピールするためである。私にとっても、「攻めて勝つぞ」という意味合いの送りである。

5.リーチ

2012年11月10日(土); 於,三田婦人室
第9期慶應職員名人戦一回戦(82枚目まで)

甲:高野五段                   乙:戎井三段
甲左下段 甲左中段 甲左上段   乙右上段 乙右中段 乙右下段
            なにし
            あわじ
            みよ
             
             
             
             
             
             
             
             
             
             
           
            もろ
なげき           なげけ
甲右下段 甲右中段 甲右上段   乙左上段 乙左中段 乙左下段

(83)「わび」空札。
(84)「よのなかは」空札。
(85)「やまざ」空札。
(86)「す」空札。一字が続くかと敵陣の一字が気になるところである。
(87)「なげけ」。戎井欄の記録には「右陣に手を出してしまう」。「なにし」に感じたのか、はたまた72枚目の時に移動させた前の場所に反応したのだろうか。私もお手つきを恐れていたため、慎重に手を伸ばしたが、札の上を手が浮いてスル―してしまう。すばやく手首の返しで札をとる。

 終盤の追い上げを許すも、あわえててお手つきなどで崩れることなく二桁リードを充分に生かした堅実な試合運びで勝利をおさめることができたという流れであった。

 戎井は、自陣27枚の出に対して15枚の取りで、自陣Keep率:55.6%。敵陣17枚の出に対して4枚の取りで、敵陣奪取率:23.5%。私は、自陣17枚の出のうち13枚の取りで、自陣Keep率:76.5%。敵陣27枚の出に対して12枚で、敵陣奪取率:44.4%。敵陣を抜いて札を送ることで、主戦場を敵陣とした上で自陣もKeepできたということが、数字からみる勝因といえるだろう。3番勝負において、初戦をとることは大きな意味がある。この調子で第2戦に臨むのだが、第2戦は、記録にあいまいな点もあって、初形図のみとし自戦記は書いていない。短評のほうをお読みいただきたい。(第一試合の途中図も多少記憶があやふやな点もあり、ご容赦願いたい)

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