都市地域計画最前線 バークレーDCRPでは今〜

神戸&San Francisco発 “まちづくり”って何だろう? by Hiro Sasaki
   
  ここでは、UCバークレーの都市地域計画学科(Department of City & Regional Planning:DCRP)大学院在学中に学んだ内容を紹介します。レクチャーやフィールドワークの中でこれはと思う事柄を拾い集め、紹介してみました。アメリカ大学院の授業内容や授業風景をできるだけホットにお伝えできればと思っています。あなたもバーチャル留学してみませんか!

Sather GateからSather Towerを望む

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1st SEMESTER
1999年秋学期 (YEAR 1999 FALL SEMESTER) 
   
2nd SEMESTER
2000年春学期 (YEAR 2000 SPRING SEMESTER) 
    
3nd SEMESTER
 2000年秋学期 (YEAR 2000 FALL SEMESTER) 
 
4th SEMESTER
 2001年春学期 (YEAR 2001 SPRING SEMESTER) 

2001年春学期の履修科目が決まりました。今回は卒業に向けまだ履修していない必修科目を取らなければならず、すでにBARTでのインターンとボッセルマン教授のリサーチアシスタントをすることも決まっているため、ほとんど迷うことなく履修科目が決まりました。本当はGISのクラスも履修したかったのですが、スケジュール的にどうみても無理だったので諦めることにしました。教授がサバティカルなどを取りなかなか2年間の長期的スケジュールが予定通りに進まない中で履修したい科目を全て取りながらなおかつ必修科目を満たすのはなかなか難しいものです。何はともあれ最後のセメスター、とりあえずできる範囲で頑張るしかなさそうです。
履修科目は以下の2クラスです。、

CP248
Advanced Urban Design Studio ( 4units) by Prof. Allan Jacobs
LA225 Urban Forest Planning and Management (3units) by Prof. Joe R. McBride
以上2クラスを履修し、
CP240 Theories of Urban Form and Design by Prof. Michael Southworth
を聴講します。
プラス、BARTでのインターンを週7時間程度 & Prof. Peter BosselemannのResearch Assistantを週10時間。
以上2クラス履修+1クラス聴講+インターンシップ+Research Assistant。
そしてもちろん今セメスターは最終セメスターなので、卒業に向け
Professional Report (PR)に取り組みます。形式上は先セメスターから始まっている事になっているのですが、実質的には今セメスターで全てをまとめることになります。

     
セメスターのテーマ:『デザイン回帰』
大学院での1年半があっという間に過ぎました。1st セメスターは大学院生活に慣れるために得意分野のデザイン系のクラスを中心に履修、2nd & 3rd セメスターは必修科目を満たしながらできる限りプランニングへの視野を広げるべくデザイン以外の分野を意識して履修しました。最終セメスターである今期はこれまで1年半学んだことでどれだけ自分の視野が広がっているかを確かめながら、それらをいかにアーバンデザインに反映させられるかがテーマです。題して『デザイン回帰』。大学院生活の集大成としてできる限り多角的にアーバンデザインを掘り下げて見たいと思っています。
 
CP248 Advanced Urban Design Studio  (4 units) by Prof. Allan Jacobs
その名の通り、アーバンデザインスタジオの最高峰。主にDCRPのアーバンデザインコンセントレーションの学生と、1年プログラムのMaster of Urban Designの学生が履修します。今セメスターはこれを最後に退官するAllan Jacobsが担当するので注目のクラスです。課題は全部で3つほど出るようですが、Jacobsの特徴である1対1で顔をつき合わせてのDeskcritで、どのような視点を彼から学び取る事ができるか楽しみです。また、今まで大学院で学んだ様々な事柄をどのようにデザインに反映させることができるのか自分なりに模索しながら取り組んで見たいと思っています。いずれにしても得意分野のデザイン、勝手もわかっているので楽しみながら履修できそうです。
        
Assignment第一弾
最初の6週間の課題は"STREET DESIGN"。サンフランシスコのストリートの中でポテンシャルがありながら魅力的な空間になっていないいくつかのストリートを取り上げ、そのリデザインを行うものです。僕は以前から日常的に使っていたサンフランシスコの中心を東西に貫くBroadwayを選びました。Broadwayの面白さは短い区間の中で展開するストリートのシークエンスの多様さ。ビジネス街、歓楽街、イタリア人街、中華街、トンネルを通り抜けるストリートがどのように街並み構成に寄与すべきか、そのあたりに焦点を絞りながら取り組むつもりです。この課題はグループ作業。50前の独身女性Krisと30前のインド人Manishと3人で取り組む事になります。これまで少しだけ打ち合わせをした感じでは、比較的メンバーに恵まれているように思います。
スタジオ内紛
あまりの忙しさゆえ更新が全くはかどりませんでしたが、その間にチームで内紛勃発。2行上の「比較的メンバーに恵まれているように思えます。」は全くの勘違いだったようです。詳しい内紛の原因とその経過は『ベイエリアウォッチング』で詳しく報告してあります。そちらを参照してください。
Assignment第一弾レビュー
チーム内でのごたごたにもめげず、ひたすらマイペースを通し個人での作業に徹してきたブロードウェイストリートデザインのレビューが2月28日に行われました。当日はサンフランシスコ市のPlannning, Traffic & Parking, Public Worksの各部署の責任者が講評者として顔を連ねました。元サンフランシスコ都市計画局長のジェイクならではの顔ぶれです。いずれも直接ストリートの計画に関わる面々だったためいずれのストリートのレビューも活発に行われました。特筆すべきは往々にして講評者から学生への一方通行の批評に終始しがちなレビューが、ジェイクの巧みなコントロールにより双方向のディスカッションに発展した事。さながらUCB Students with Jake v.s. City of San Francisco。ジェイクの指導を受けながら学生が作成した案を市に対して提示し、実際の担当者に新しい視点で考えてもらおうと言うもの。6週間苦労した学生にとってもその努力が十分報われる有意義なレビューでした。
僕自身の案はと言うと、レビューの場ではもうひとつ盛り上がりに欠けましたが、レビュー終了後、ジェイクから個人的に絶賛されました。ブロードウェイのストリートの特徴を考え、周辺環境の変化に応じたストリートスケープの多様性と一貫性の両立のあり方に着目した点、それを昼ばかりではなく夜のストリートスケープのあり方にも留意しデザインした点が高く評価されました。
   
学生のプレゼンテーションに聞き入るジェイクとサンフランシスコ市の面々 やっぱりスキンヘッドのジェイクは貫禄が違います 中間レビューでも使用した広域分析と歴史的変遷ダイアグラム
ストリートのシークエンスを昼景と夜景で表現 BroadwayとColumbusの交差点部分の詳細ブラン ストリートに80feetおきに設けたプランティングアイランド詳細
 
Assignment第ニ弾
Assignment第一弾のレビューが終わったと思いきや早速、第二弾出題です。今回の課題の期間はわずか2週間半。短期のSketch Problemと言ったとこ。その課題はと言うと・・・、ちょっと毛色が変っています。軽く頭を休めながらアーバンデザインをちょっと違った視点から見つめなおしてみようと言う感じでしょうか?
『船が遭難し熱帯雨林の無人島に漂着した200人の男女。1週間分の食糧と植物の種、そしてわずかな工具を頼りに、いつ訪れるとも分からない救助隊を待ちわびながら、自給自足の生活を始めます。遭難者の一員である我々のタスクはプランナー、デザイナーとしての専門知識を生かし、メンバー全員のコンセンサスを得られるようなコミュニティの計画を行うこと。』風向きや島の形状などに関するごく限られた情報は与えられていますが、それ以外は自分達で推測し、最善と思われる計画を作り上げます。どうやら今話題の映画"Cast Away"や高視聴率を誇るテレビ番組"Survivor"にでも刺激されたのでしょうか。
前回同様今回もグループ作業。くじ引きでグループは決まりましたが、今回は2人のアメリカ女性との3人グループです。前回のこともあるのでまだまだ予断は許しませんが、比較的無難なメンバーに恵まれたと現段階では思っています。
Assignment第ニ弾レビュー
あまりの忙しさゆえ、卒業後2週間もたってからようやく3ヶ月近く前のプロジェクトを報告することになってしまいました。一言で言うとこのプロジェクトは『息抜き』で終わってしまいました。PRの忙しさゆえあまり時間をかけられなかった上に、他の2人のメンバーもプロジェクトに乗り気ではなく、もうひとつ盛り上がらないうちに終わってしまった感があります。せめてドローイングだけでもと思い、自分の担当図面だけはしっかりと仕上げたので、レビューでもドローイングだけは誉められましたが、提案に関しては特にコメントも無く、正直言って、「これで夢のA+は逃したかも・・・」とちょっとがっかりしたものです。結果的にはこのプロジェクトでもそれほどの痛手は負わず、最終プロジェクトでの提案がジェイクに馬鹿受けしてA+を手にしたわけですが。
Assignment第三弾総括
Assignment第三弾はサンフランシスコのGlen Park BART Station周辺の活性化計画。これまでの2つのAssignmentの出来にジェイクが満足していたこともあり、特に具体的な要求は無く、各自が好きなテーマを見つけ、思い思いの提案をすると言う形がとられました。僕はBARTの駅のすぐ後ろを走る高架のフリーウェイのようなSan Jose Ave.に着目した改善計画を提案しました。まぁ、多少、人とは違ったスタンスをと思い提案してみたのですが、これが意外にもジェイクに大受け。今までジェイクが見たGlen Parkに関するどの提案よりもタイナミックでエキサイティングな提案だとことのほか喜ばれてしまいました。プレゼンテーションにもあまり時間をかけず比較的あっさりと終わらせたのですが、とにかくそのアイデアだけで十分評価され、大学院最後のスタジオプロジェクトとしては大成功に終わりました。
Overall Review
アラン・ジェイコブス退官前の最後のスタジオと言うこともあり、特別な思いを込めて履修したこのスタジオですが、ジェイクのデスククリットは評判通りの内容の濃さ、どの指摘も鋭く明快、常に新しい視点を与えてくれる刺激に満ちたものでした。また、何故かジェイクとは波長が合い、デザインに関する考え方が思いの外一致し、どの提案も非常に高く評価されました。このスタジオのもうひとつの特徴は市に対する具体的な提案をレビューを通して行うこと。Assignment第二弾こそ多少趣が異なりましたが、他のプロジェクトはどれも具体的で市が将来それを具現化する可能性さえ感じさせるものでした。このプロジェクトのスタンスは学生にとって非常にやりがいのあるものでした。
結果的には第一弾、第三弾の提案が非常に高く評価され、ジェイクがいまだかつて与えたことの無いA+の評価を得ることが出来、非常に満足しています。本当に最高のスタジオでした。実に多くのことを学ばせてもらいました。
もちろんぼくの評価は★★★(5つ星)です。
LA225 Urban Forest Planning and Management (3 units) by Prof. Joe R. McBride
都市空間における樹木を中心とする植生に関するプランニングとそのマネイジメントを扱うこのクラス。都市における樹木の役割、その歴史、生態、デザインそしてマネイジメントなどを週1回1時間のレクチャーと4時間のフィールドオブザベーションを通して学びます。アーバンデザインコンセントレーションの学生には必修科目なので履修を決めましたが、割と面白そうです。課題もそれほど重くはなく、成績もPass/Failなので、気楽に樹木の名前など覚えながらアーバンデザインにおける樹木のあり方などを学びたいと思っています。 
   
楽しい楽しいレクチャー&遠足
セメスターが始まり9週目になってようやく初めての更新です。開始前からそれほど作業量は多くないと聞いていたこのクラスですが、いざ蓋を開けてみると思っていた以上に負担が少なく驚いています。毎朝火曜日の早朝8時から1時間のクラスはスライド中心。木曜日のフィールドオブザベーションも遠足気分で楽しめる上、3時間くらいで終わってしまいます。その上、レクチャーもフィールドオブザベーションも専門的過ぎず、樹木に関する幅広い一般的知識を得る事ができるので随分と役に立ちます。これで3単位ももらっていいものかと、恐縮してしまいます。
報告が遅くなりましたが、最初のAssignmentは自分の住むエリアの樹木を1週間毎日観察し、日記をつけることでした。「朝日に輝く樹々を見てハッピーになった。」「霧の中に浮かぶ樹木のシルエットが幻想的だった。」とか・・・。ぼくにとっては観察自体よりも微妙なニュアンスを英語で表現する事の方が大変でしたが、この日記のプレゼンテーションも難なくクリアしてしまいました。
教授のJoe McBrideはもうかなりのおじいさんだと思うのですが、さすがエコロジスト。教室内にいる時よりも屋外に出ると数倍若返って見えます。12人乗りのヴァンを自在に操る姿は全くその年齢を感じさせません。毎回レクチャーの内容をHand Outにまとめて配ってくれたり、フィールドトリップの際はお茶とスナックを用意してくれたりと、とても素敵なおじいさんです。

一見ウイニングパットでも決めるシーンのようですが、れっきとしたフィールドオブザベーション。キャンパス内のマイクロクライメイトの調査で、土の採取を行っているところです。
Overall Review
今セメスターはPRとスタジオが余りに忙しく、それ以外のクラスに関してはほとんど報告することすらなくOverall Reviewになってしまいました。このクラス、もともとPass/Failだった気楽さもあるのですが、全ての課題にかかる時間の合計もせいぜい1日程度と楽しみながら必修科目の単位をとることが出来ました。どれだけのことを学んだかというとぼくの姿勢の問題もあり多少?マークなのですが、
やはり教授の素晴らしい人格も考慮しぼくの評価は★★(4つ星)です。
CP240 Theories of Urban Form and Design  (Audit) by Prof. Michael Southworth
その名の通り都市の形態とデザインに関する理論を学ぶクラス。アーバンデザインコンセントレーションの必修科目です。しかし、スケジュールの関係でこの最終セメスターに履修するしかなくなり、他のクラスとの兼ね合いで普通に履修をしようとするとかなりスケジュール的にハードになりそうだったので、聴講をすることで必修科目からはずしてもらう事にしました。と言うのも基本的な講義の内容はリーディングに沿ったものと聞いたから。それならレクチャーに出席し真面目に聞いていればほぼ問題はないだろうとの判断です。現在まで2週間ほど経ちましたが、予想通り聴講で十分カバーできそうです。課題も一つの都市を取り上げその形態や土地利用、交通体系、アクセスなどを図面化するもの。今さら基本的なドローイングに時間をかけるのもあまり効率的ではないので、聴講にして良かったと思っています。ただ、レクチャーの内容はアーバンデザインの基礎知識としてためになるものなので、他のクラスが忙しくてもきちんと出席だけはしてゆくつもりです。
あまり印象に残りませんでした。 
毎回AuditのクラスのReviewになると心苦しいものがあるのですが、このクラスも例に漏れず、忙しさにかまけ途中からは出席率も50%程度にまで落ち込んでしまいました。僕以外の学生のほとんどは通常の履修をしていたのですが、彼らの出席率も途中からかなり落ち込み、やはり講義の内容があまり魅力的ではなかったようです。確かにあまり出席してない僕が言うのも何ですが、もう少しレクチャーの進め方を工夫する余地があるような・・・。
       
Professional Report  Committee: Prof. Peter Bosselmann (Chair), Prof. Allan Jacobs, Peter Albert (BART)
先セメスターから始める予定だったProfessional Report。前にも書いたかもしれませんが、これは卒論に相当するもので、自分でテーマを設定しクライアントを見つけて、そのクライアントに関わるプロジェクトに関し考察、レポートにまとめるものです。僕自身卒論とProfessional Reportの本当の違いは把握していないのですが、あるテーマに関し学術的考察を加え一般的理論構築を行う(?)卒論に対し、Professional Reportは具体的プロジェクトとしてまとめ上げるといった感じでしょうか。このProfessional Reportのテーマ。BARTでのインターンシップの役割の変化に伴い二転三転したのですが最終的に、「現在構想段階にあるBARTのサンノゼへの延長計画によって新設される駅のひとつを取り上げ、その周辺開発に現在作成中のBART TODガイドラインの理念をどのように適用しデザインするのか」といった感じになりそうです。現在関係資料などを集めている段階ですが、徐々にアウトラインなどを明確にしながら本格的に取り組んで行きたいと思っています。ボリューム的には40ページが基本とされているので、100ページが標準の卒論に比べ負担が少なそうですが、大学院生活の集大成として満足のいくものに仕上げていきたいものです。
本気でやって本当に良かった。
今セメスターはJakeのスタジオとPRの為のセメスターだったといっても過言ではありません。特にこのPRにはかなりの時間とエネルギーをつぎ込んだので、Committeeのメンバーからサインをもらい提出した時には本当にホッとしました。このPRに本気で取り組んだのにはもうひとつ訳があります。それは個人でまとめた最新のプロジェクトとして就職の面接時に持参する事。従来のポートフォリオは社会人時代の日本のプロジェクトがほとんどで、カリフォルニアでの就職活動時にはあまり説得力がありません。その点、BARTの新駅周辺開発プロジェクトはベイエリアのアーバンデザインファームにとって非常に身近なプロジェクトであり、それだけにいいものを作れば説得力があるわけです。実際にこの作戦は功を奏し、PRを思いっきりアピールする事で現在の職を勝ち取りました。本気でやって本当に良かった。
 
 


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