No. 101
Titre
Maigret et l'indicateur
邦題名
(直訳名)
メグレと匿名の密告者
(メグレと密告者)
Rédaction Epalinges, Vaud ; 1971.06.11
Éditions Le Livre de Poche #14210; 1998.02
ISBN : 2-253-14210-7
邦訳本 野中 雁・訳、河出書房新社、1984, 1978

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リーヴル・ド・ポッシュ版
1998年02月刊のもの
Edition: Livre de Poche
1998.02


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        河出書房新社旧版
            1978年刊

物語の季節
Saison
パリの5月と言えば新緑の光がまぶしい楽しい晴天の日を思い浮か
べるが、しばしば一転してじめじめした細かい雨降りの日が何日か続
くことになる。
(La pluie tombait toujours, si fine, si lente, qu'elle était invisible sauf
dans le halo des réverbères. - - - On était qu'en mai, un mois de mai
qui avait été merveilleux. : Chap.1)
メグレの状態
Son état 
メグレの最後から2つ目の事件。最晩年の時期ながら捜査に意欲的に
取り組んで若々しいが、被害者が長年つき合った顔役だったこともあっ
て、自分が30年以上も庁舎の部屋の窓からセーヌ河を行く船を眺め続
けたこと、ブラッスリ・ドーフィヌの決まったテーブルでの昼食の風景な
ど、月日の経過が否応もなく痛感されてくる。
事件の発端
Origine
友人のパルドン医師夫妻を自宅に招いて夕食を楽しんだあと、ぐっす
り寝入っていたメグレのもとに電話が入る。モンマルトルの丘の上で死
体が見つかったという。身元はピガール界隈でレストランを経営してい
る顔なじみのモーリスとわかった。しかもよそで殺されたあと車で運ん
で棄てられたらしい。すぐさま被害者の家を訪ねるが、ダンサー出身
という美しいその妻は、ちょっと涙ぐんだものの至って冷静な態度を示す
ので、メグレは不審に思う。
表題の意味
Ça veut dire
日頃歓楽街の多くの関係者となじみになることによって刑事は彼らか
ら情報を得られるようなしくみを作り上げる。この事件に出てくる「や
もめのルイ」と呼ばれる刑事も9区周辺は自分のポケットのように動き
がわかる。その彼には長年にわたって匿名の電話をかけてくる男がい
る。その情報は確かだが何者なのかはわからない。密告する男の意
図はどこにあるのか?正義感なのか、保身のためか、それとも策略か
?この殺人事件の犯人についてもその電話によって通報は受けたも
のの、それをいかに追い込むかというテーマと並行して、その密告男
の身元と居場所を探し出し、その真偽と動機とを解明することがひとつ
のヤマとなっている。

各 章 の 表 題 と 場 所
Table de matière et les lieux cités
1 (ジュノー通りの歩道に男の他殺体)
(Le corps d'un homme assassiné sur le
trottoir de l'avenue Junot)
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
ジュノー通り avenue Junot, 18e
バリュ街 rue Ballu, 9e
フォンテーヌ街 rue Fontaine, 9e
2 (決して間違わない匿名の密告者)  
(L'indicateur anonyme qui ne se trompe
jamais)
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
バリュ街 rue Ballu, 9e  
フォンテーヌ街 rue Fontaine, 9e 
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
3 (家宅捜査令状)
(Le mandat de perquisition)
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e 
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
バリュ街 rue Ballu, 9e  
サン・ジョルジュ広場 place Saint Georges, 9e
ケール街 rue du Caire, 2e  
ラ・ブリュイェール広場 square La Bruyere, 9e
トリュデーヌ通り avenue Trudaine, 9e
4 (荘重な葬儀)
(Un enterrement du tonnerre)
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
フロマンタン街 rue Fromentin, 9e
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
バリュ街 rue Ballu, 9e  
ノートルダム・ド・ロレット街
rue Notre-Dame de Lorette, 9e
* オルリー空港 Orly  
* バンドル Bandol (南仏マルセイユとトゥーロン
の間にある海辺の田舎町。ロゼ・ワインでも有名)
5 (彫刻家のアトリエで)  
(Dans l'atelier d'un sculpteur)
* バンドルBandol   
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e  
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
テルトル広場 place du Tertre, 18e
モン・スニ街 rue du Mont-Cenis, 18e
フロマンタン街 rue Fromentin, 9e  
フォンテーヌ街 rue Fontaine, 9e
6 (寝室から消えた古いペルシア絨毯)
(Un ancien tapis persan disparu de la
chambre à coucher)
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
ガブリエル街 rue Gabrielle, 18e 
トロゼ街 rue Tholoze, 18e
ラ・ブリュイェール広場 square La Bruyere, 9e
バリュ街 rue Ballu, 9e
7 (冷静な見物人にとってはまったく滑稽な
シーン)
(La scène presque cocasse pour un
observateur indifférent)
バリュ街 rue Ballu, 9e
8 (頼んだ電話に千フラン)  
(Mille francs pour le coup de télépone)
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
9 (互いに獰猛な敵同士となった恋人たち)
(Les deux amants qui étaient devenus
l'un pour l'autre des ennemis féroces)
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er

メグレ警視の事件に明記された店舗・施設(*印は実在のもの)
Les Bonnes Adresses reconnues du commissaire Maigret
ラ・サルディーヌ
La Sardine
パリの歓楽街にあるそこそこ高級なレストラン
フォンテーヌ街 Rue Fontaine, 9e
ホテル・デ・ジル
L'Hôtel des Îles
モンマルトルの丘のふもとにある閑静な長期滞在用ホテル
トリュデーヌ通り Avenue Trudaine, 9e
フォーション*
Fauchon
聖マドレーヌ教会広場に面した世界的に有名な食料品店
マドレーヌ広場 Place de la Madeleine, 8e
ブラッスリ・ドーフィヌ
Brasserie Dauphine
パリ警視庁の近くにあるブラッスリ。メグレも常連。
ドーフィヌ広場 Place Dauphine, 1er

警察関係者の動向
Situation de collègue
リュカ Lucas : 夜勤の最中にモーリスの死体が発見された通報を受け、メグレに連絡する。青果卸商の兄弟を殺人容疑で逮捕に行く。

ジャンヴィエ Janvier :運転手役でメグレの捜査に同伴する。ルイ刑事と連絡を保ち、メグレの外出中の捜査情報を中継する。

ラポワント Lapointe : リュカとともに青果卸商を逮捕に行く。取調べに記録係として同席するが、容疑者の男女の愛憎の混じった口論に赤面する。

ルイ Louis : パリ9区警察署の刑事。妻を交通事故で亡くして以来、喪服で通し、独り住まいをしている。「やもめ刑事」のあだ名がついている。独自の情報網を持ち、ピガール界隈の表裏を知り尽くしている。

ブルデ医師 Dr.Bourdet : 法医学の医師。ポール医師の後任。

ヴェリアール Veliard : パリ18区警察署の刑事。

ブティユ判事 Bouteille : この事件を担当する予審判事としてメグレに協力的で、確証がない状況でも逮捕令状を出してくれる。

ムルス Moers : 鑑識課員。殺人が行われたらしい部屋をすみずみまで鑑識する。

ドラン Dorin : 鑑識課のスタッフ。織物の繊維にくわしい。

ブータン Boutang : トゥーロン警察の警視。モーリス・マルシアの埋葬に立合う。

シャルムロワ Charmeroy : バンドル警察署の警視。
事件にかかわる登場人物
Personnages dans l'affaire
モーリス・マルシア Maurice Marcia : ピガール地区でレストラン「サルディーヌ」を経営。ある夜、銃で撃たれた後、モンマルトルの路上に棄てられたのが見つかる。

リーヌ・マルシア Line Marcia : モーリスの2度目の妻。まだ30歳代の若い美人。ベルギー出身。パリの劇場でダンサーをしていた。

ラウル・コミタ Raoul Comitat : レストランの給仕長。

フレディ・ストラツィア Freddy Strazzia : イタリア出身のバーテン。

マニュエル・モリ Manuel Mori :青果物卸商32歳。

ジョー・モリJo(Joseph)Mori :マニュエルの弟。29歳。

マルセル・ヴァニエ Marcelle Vanier : 22歳。ジョーと同棲している。

ヴィクトール・マクレVictor Macoulet : マニュエルのアパートの管理人。昼間は酒場を渡り歩く酔っ払い。

ジュスタン・クロッタン Justin Crottin : のみ(La Puce)と呼ばれている小柄な男。モンマルトルで生まれ育ったので路地の隅々まで知っている。

ブランシュ・ピグー Blanche Pigoud : ジュスタンと同棲しているホステス。

ソレル老人 M.Sorel : モンマルトルの丘で土産用の彫刻を作って生活している老人。ジュスタンのことを子供の頃から知っている。

コルソン M.Colson : 退職した元巡査長。モンマルトルで独り住まいをしている。

パルドン医師 Dr.Pardon : メグレ警視の友人。近所の開業医。一月に2回ずつ交代で互いに夫妻を夕食に招く習慣が続いている。


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