No. 51
Titre
Le client le plus obstiné du monde
邦題名
(翻訳名)
世界で一番ねばった客
執筆記録
Rédaction
カナダ、サント=マルグリット;1946年5月2日完成
Sainte-Marguerite-du-Lac-Masson; 1946.05.02
参考書籍
Éditions
Presses de la cité #7 ; 1996.01
ISBN : 2-265-05769-X
邦訳本 矢野浩三郎・訳、光文社文庫1992.05

(←)
ルースタルの挿絵による
オムニバス社のカルネ版
2000年9月刊
Série Carnets
illustrée par Jacques Loustal
chez l'Édition Omnibus
Septembre, 2000

                
    光文社文庫 1992刊 (⇒)
    「クイーンの定員」IVに所収
    もともとはQueen's Quoram
    #118 「メグレ警視の小事件
    簿」として選出された。

挿絵を見たい方はこちらへ Vers le musée de Loustal

物語の季節
Saison
5月3日。日本と同じように、フランスでも初夏を思わせるような晴れわたった青空のもと、暖かい陽気のもったいないような日がある。こんな日は、仕事などそっちのけで一時間一時間をじっくりと味わいながら過ごすべきなのだ。(Mais c'est heure par heure qu'il faut prendre cette journée du 3 mai, une journée tiède, ensoleillée, avec, dans l'air, cette vibration particulière au printemps Parisien; Chap.1)
メグレの状態
Son
état 
事件の次の日も晴れわたった気持のいい日で、捜査のためにカフェに入ったメグレはあっちで一杯こっちで一杯というふうに少なくとも5〜6カ所で飲み続け、聞き込みを続ける。最後はいい気持になってタクシーの中でジャンヴィエと一緒になって歌をうたったりして帰る。
事件の発端
Origine
この道30年のギャルソン、ジョゼフの働くカフェが開店準備中の朝8時に、一人の小柄な男が飛び込んできた。灰色の帽子をかぶり小さなカバンを手にして、カフェの奥のトイレに降りる階段のそばのテーブルに腰をおろした。すぐには飲み物が出せないと言っても「たいしたことありませんよ」(Cela n'a pas d'importance; Chap.1er) という返事で座り続けるのでジョゼフは頭に来てしまった。やっと1時間後にコーヒーを出したが、そのあとも動こうとはせずにじっと店の外の様子をうかがっているのだ。これまで見たことのない保険の外交員のような男で、もし駅についたばかりならば、なぜこんな遠くまで歩いてきて見知らぬカフェに入ったのか?
表題の意味
Ça veut dire
読者はこのタイトルを見てから読み始めるのだから、なぜ「ねばったのか?」いつ、だれが、どこで、何時間、という多くの疑問はすでに頭の中に持っていることになる。ここでは「何時間?」ということに大いに興味がわく。結果として、朝8時から真夜中24時までの約16時間ですよ!とバラしてもミステリーの真相にはあまり影響がないと思う。そう、最後の問題は「なぜねばったか?」なのだ。
ほとんどがなじみの客のこのカフェでは、こうしてねばる見知らぬ客のことを小声でささやいたり目配せしたりしたのである。(Il eut un coup d'œil au client obstiné dont la plupart des habitués avaient parlé pendant la soirée. Chap.1er)

各 章 の 表 題 と 場 所
Table de matière et les lieux cités
1 「カフェ・デ・ミニステール」言い方によっては、ジョゼフの王国
Le "Café des Ministères" ou le royaume de Joséph
サン=ジェルマン大通り
boulevard Saint-Germain, 6e
サン=ペール街
rue des Saints-Pères, 6e
2 白ワインが好きな男とエスカルゴの女
L'amateur de petit vin blanc et la dame aux escargots
サン=ジェルマン大通り
boulevard Saint-Germain, 6e
サン=ペール街
rue des Saints-Pères, 6e
3 おそらく死んだ女が死んだ女ではなかったという奇想天外な話
L'extravagante histoire de la morte qui n'était peut-
être pas la morte
ジュヴィジーJuvisy-sur-Orge *
(パリから南東25Km郊外の川沿いにある町)

メグレ警視の事件に明記された店舗・施設(*印は実在のもの)
Les Bonnes Adresses reconnues du commissaire Maigret
ブラッスリ・ドーフィヌ
Brasserie Dauphine
パリ警視庁の近くにあるブラッスリ。メグレも常連。
ドーフィヌ広場 Place Dauphine, 1er
カフェ・デ・ミニステール
Café des Ministères
ほとんどが馴染みの客で一杯やりに出入り。ジョゼフの店
サン=ジェルマン大通り boulevard Saint-Germain, 6e
シェ・レオン
Chez Léon
テーブル席数の多いにぎやかなカフェ。食事もできる。
サン=ジェルマン大通り boulevard Saint-Germain, 6e
ア・レスカルゴ
A l'escargot
小さなレストラン。ブルゴーニュ料理のニンニクの匂い。
サン=ペール街 rue des Saints-Pères, 6e
トリアージュ(操車場食堂)
Restaurant du Triage
郊外の駅前にある普通のレストラン。樽植えの月桂樹。
ジュヴィジー・シュール・オルジュJuvisy-sur-Orge(パリ郊外)

警察関係者の動向
Situation de collègue
ジャンヴィエ Janvier : 最初は、義兄弟にあたるジョゼフからの連絡でカフェに問題の人物の様子を見に行くが、特に大きな問題ではないと判断して戻る。事件が起きてからは、メグレと行動を共にして捜査に加わる。
事件にかかわる登場人物
Personnages dans l'affaire
ジョゼフJoseph : サン=ジェルマン大通りの角にある「カフェ・デ・ミニステール」のギャルソン。10年間ブラッスリ・ドーフィヌで刑事たちの相手をしてきた。妻はジャンヴィエの妻と姉妹同士。

ベルト嬢 Mlle Berthe : ミニステールのレジ係。肉付きよく太った女。髪は脱色している。

モネ氏 M.Monet : ミニステールのオーナー。同じ建物の階上に住んでいる。

ジュール Jules : カフェの相棒の若いギャルソン。3年の経験。

ジャンJean : レストラン「エスカルゴ」のギャルソン。

レイモン・オージェ Raymond Auger : ある朝8時、ジョゼフの店に飛び込んできてテーブルに座ってから一日じゅうほとんど動かず、真夜中の閉店までの16時間にわたりねばった客。

イザベル・オージェ Isabelle Auger : レイモンの妻。育ちのいい美人でしっかり者。

マルト・コンバリュ Marthe Combarieu : イザベルの双子の妹。コンバリュの妻。2年前に病気で死亡。

エルネスト・コンバリュ Ernest Combarieu : 一山当てようとアフリカのガボンへ渡った男。目論見がうまく行かずに帰国する。ほとんど酒浸りの生活を送る。


メグレ警視
のパリへ
メグレ警視の全邦訳
作品文献目録
メグレ警視の
履歴書へ
関連サイト&
相互リンクへ