No. 55
Titre
Maigret et son mort
邦題名
(翻訳名)
メグレと殺人者たち
(メグレと彼の死人)
Rédaction 1948.01; Tucson, Arizona, USA
Éditions Presses de la Cité #12; 1974.04
邦訳本 長島良三・訳、河出書房新社#1、1976.09
河出文庫、2000.04

(←)
プレス・ドゥラ・シテ社版
1974年4月刊のもの
Édition: Presses de la Cité #12
1974.04

                  (⇒)
        河出書房新社旧版
        1976年9月刊のもの

物語の季節
Saison
 2月にしては日差しも柔かで春のきざしが感じられるが、ま
だ寒気の戻りもある。空が曇れば時々氷雨が降ったりする。
(On était en février. Le temps était doux, ensoleillé, avec
parfois au nuage mou de giboulée qui humectait le ciel.)
(Chap.1)
メグレの状態
Son état 
 50歳を超え、警視という地位になりながらもみずから事件の
捜査に身を挺する癖は抜けない。今回の事件は場所の変化が
目まぐるしく、メグレもパリ中を振り回され、ろくに睡眠も取れな
い状態が続く。一方で気管支炎を患ったと公言して自宅で静養
し、頭を整理して、情報が手中に入ってくるのを待つ。自分で
解決しないうちは、天敵のコメリオ判事にまともに報告をしよ
うとしない。
事件の発端
Origine
 もうすぐお昼という時間に、突然メグレのところに電話が入る。
「殺し屋に追われている。助けてくれ。」とその男は取り乱して途
中で話を切ってしまう。部下のジャンヴィエに電話をかけてきた
カフェに走らせるが、もう男はいない。そしてまた電話。今度は
ヴォージュ広場からだった。そうして男は逃げ回りながら救いの
電話を方々のカフェからかけてくるのだった。メグレ自身、その
一軒に出向いてみたが、男は見つからなかった。
 そうしているうちにその日の深夜、コンコルド広場で男が殺さ
れていると通報があった。…
表題の意味
Ça veut dire
 原題を直訳すれば「メグレと彼の死人」となる。ふつう殺人現
場に駆けつけてからはその担当の警部がその死体の面倒を見
ることになるので、あたかもその死体が彼の所有物になったか
のような言い方が警察仲間で交わされることになる。
(On eût dit que le corps lui appartenait, que ce mort-là
était son mort.) (Chap.2)
 この事件の場合には、よその場所で殺されてから運ばれたらし
いので、死体のほかには手がかりがなく、彼はその夜から検死
解剖に付き添い、徹夜までしてしまう。次の日には総監からも、
「それでメグレ君、君の死人は?」( - Alors, Maigret, et
"votre mort" ?) (Chap.2)

各 章 の 表 題 と 場 所
Table de matière et les lieux cités
1 (カフェをはしごする日)
(Le jour des cafés)
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
グラン・ゾーギュスタン河岸 
quai des Grands-Augustins, 6e
ヴォージュ広場 place des Vosges, 4e
ビラーグ街 rue de Birague, 4e
バスティーユ広場 place de la Bastille, 4e
レピュブリック広場 place de la République, 3e
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
コンコルド広場 place de la Concorde, 8e
2 (青豆のスープ、鱈のクリーム煮、ポテト添え)
(Une soupe aux pois, de la brandade de
morue et une pomme)
コンコルド広場 
place de la Concorde, 8e
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
サン・ミシェル大通り
boulevard Saint Michel, 5e
グラン・ゾーギュスタン河岸 
quai des Grands-Augustins, 6e
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
3 (コメリオ判事からの電話)
(Un entretien téléphonique avec le juge
Coméliau)
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
シャラントン河岸(パリ12区と隣接)
quai de Charenton, Charenton
4 (名だたる張り込みに匹敵する張り込み)
(La planque aussi fameuse que les autres)
シャラントン河岸(パリ12区と隣接)
quai de Charenton, Charenton
5 (群集のうごめく街路での追跡)
(La chasse à l'homme dans la rue qui
grouillait d'une foule)
ベルシー河岸 quai de Bercy, 12e
アンリ4世河岸 quai Henri IV, 4e
サン・タントワーヌ街 rue Saint-Antoine, 4e
ロケット街 rue de la Roquette, 11e
アルシーヴ街 rue des Archives, 4e
ロジエ街 rue des Rosiers, 4e
シシリー王街 rue du Roi-de-Sicile, 4e
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
モーブージュ街 rue de Maubeuge, 11e
ジョワンヴィル Joinville-le-Pont
(ヴァンセンヌの森の東側に隣接の町)
6 (夜のガサ入れ)
(La rafle de la nuit)
シシリー王街 rue du Roi-de-Sicile, 4e
モンパルナス大通り
boulevard Montparnasse, 14e
大時計河岸 quai de l'Horloge. 1er
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
7 (レンネック病院の産婦と赤子)
(Une accouchée et son bébé à l'hôpital
Lænnec)
セーヴル街 rue de Sèvres, 7e
シシリー王街 rue du Roi-de-Sicile, 4e
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
シャラントン河岸(パリ12区と隣接)
quai de Charenton, Charenton
8 (叔母夫妻の予期せぬ訪問)
(Une visite imprévue de sa tante avec
son mari)
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
ヴァンセンヌの森 bois de Vincennes
9 (フォリー・ベルジェール劇場の事務長)
(Le secrétaire général des Folies-
Bergère)
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
フォーブール・モンマルトル街
rue du Faubourg Montmartre, 9e
セーヴル街 rue de Sèvres, 7e
ロンシャン街 rue Longchamp, 16e
10 (天文学的数字のタクシーのメーター)
(Un compteur qui marquait un chiffre
astronomique)
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
コルベィユ Corbeil (パリ南東39Km)
シャラントン河岸(パリ12区と隣接)
quai de Charenton, Charenton
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e


メグレ警視の事件に明記された店舗・施設(*印は実在のもの)
Les Bonnes Adresses reconnues du commissaire Maigret
ボージョレの酒蔵
Aux Caves du Beaujolais
パリ警視庁の川向いにあるカフェ
Quai des Grands-Augustins, 6e
ヴォージュの煙草店
Tabac des Vosges
ヴォージュ広場の角にあるカフェ
Place des Vosges, 4e
ラ・ロシェルの四軍曹
Quatre Sergents de
La Rochelle
バスティーユ広場から数分のブラッスリ
Boulevard Beaumarchais, 4e
カフェ・ド・ビラーグ
Cafe de Birague
ヴォージュ広場から南へ抜ける路地にあるカフェ
Rue de Birague, 4e
バスティーユ砦の大砲
Canon de la Bastille
バスティーユ広場に面したブラッスリ
Place de la Bastille, 4e
ブラッスリ・ドーフィヌ
Brasserie Dauphine
パリ警視庁の近くにあるブラッスリ。メグレも常連。
Place Dauphine, 1er
プチ・アルベール
Au petit Albert
田舎屋風の造りのカフェバー
シャラントン河岸 quai de Charenton, Charenton
オー・カドラン
Au Cadran
北駅のそばのブラッスリ。シュークルートがうまい店。
モーブージュ街 rue de Maubeuge, 11e
ラ・クーポル *
La Coupole
24時間開いているブラッスリ
モンパルナス大通り boulevard Montparnasse, 14e
ショープ・モンマルトル
Chope Montmartre
劇場街のブラッスリ
フォーブール・モンマルトル街 rue du Faubourg Montmartre, 9e


警察関係者の動向
Situation de collègue
リュカ Lucas : 当直の夜に殺された男が発見されたと連絡を取り次ぐ。目撃された黄色いシトロエンの乗用車を捜す。被害者の店に現われた不審な男を粘り強く尾行する。

ジャンヴィエJanvier : 結婚して一年。メグレと手分けしてカフェから電話してきた男の足跡を追う。

ムルス Mœrs : 鑑識課員。被害者の衣服の分析を始め、被害者の家に残された指紋を採集。

ポール医師 Dr. Paul : 35年のキャリア。深夜をいとわずに黙々と検死解剖を行なう。メグレとは心の通ったつきあいをする。

コメリオ判事 Juge Coméliau : この事件を担当する予審判事。メグレの天敵。捜査がある程度捗らないうちにメグレから報告しようとはしない。第3章の電話でのメグレとのやり取りの場面は笑いを禁じえない傑作。

エミール・シェヴリエ Emile Chevrier : モレ・シュール・ロワン出身の刑事。両親が宿屋を経営しており、兵役まで手伝っていた。家主のいないカフェバーを開けて罠をしかけるのに協力する。妻イルマとともにカフェを切りまわす。

コロンバーニ警視Colombani : 国家警察に所属。コルシカ出身。メグレとは旧知の仲。ピカルディの連続強盗団を捜査中。協力して犯人を追い詰める。

トーランス Torrence : 平日に魚料理を出す店をしらみつぶしに当たる。

ルクー Lequeux :  パリ1区の担当刑事。コンコルド広場の殺人現場に立合う。

デュボネDubonnet : 若い学卒の刑事。真面目で身なりがきちんとしているが、メグレはわざと地味な捜査を命じる。

ボダン Bodin :  庁内で電話番をする刑事。局留郵便物を事件が解決した後も探し続けていた。
事件にかかわる登場人物
Personnages dans l'affaire
アルベール・ロシャン Albert Rochain : 正体不明の一団に追われてメグレに助けてくれと電話してきた男。

ニーヌ Nine :メグレが知っているはずという女。アルベールの妻。事件直後から行方不明となる。

フレッド Fred :密告屋の男。モンマルトルの安宿のフロント係。

ショーフィエ夫人 Mme Chauffier : シャラントンに住む助産婦。黄色いシトロエンの車を夜間に目撃したと申し出てくる。

デジレ・ルワゾーDésiré Loiseau : 昔アルベールが働いていたパリ北駅付近のカフェの経営者。今は郊外で隠居の身。

ヴィクトール・ポリアンスキ Victor Poliensky : カフェに現われたチェコ人。リュカとメグレが徹底的に尾行する。

マリア Maria : スロヴァキア出身の気性の荒い女。出産の直前に保護される。

カール・リプシッツ Carl Lipschitz : スロヴァキア人の出稼ぎ労働者。

ピエトル Pietr : マリアの愛人のスロヴァキアの少年。

フランツ・レヘル Franz Lehel : チェコ大使館の職員。

ボクサーのジョー Jo le Boxeur : 元ボクサー、アルベールの友人。

フェルディナン Ferdinand : 痩せて長身のガレージの主人。

マルシャン Marchand : フォリー・ベルジェールの事務長。パリの秘密を一番良く知っている人物。

フランシーヌ・ラトゥール Francine Latour : 若い美人女優。フォリー・ベルジェールのショーに出演。パリの山の手16区の高級アパルトマンに住む。

ジャン・ブロンスキー Jean Bronsky : チェコ人。高学歴の映画製作者。フランシーヌの愛人。


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