No. 63
Titre
Maigret au Picratt's
邦題名
(直訳名)
モンマルトルのメグレ
(ピクラッツのメグレ)
Rédaction 1950.12.08; Lakeville, Connecticut, USA
Éditions Presses de la Cité #6; 1995.10
ISBN : 2-265-05444-5
邦訳本 矢野浩三郎・訳、河出書房新社#7、1983.09
ISBN: 4-309-70907-9
矢野浩三郎・訳、河出文庫、2000.05
ISBN: 4-309-46196-4

(←)
プレス・ド・ラ・シテ社版
1995年10月刊のもの
Edition: Presses de la Cité #6;
1995.10
                 (⇒)
           河出書房旧版
       1983年9月刊のもの

物語の季節
Saison
明らかな記述はないが、年末年始のあわただしさが全くない、多分1月
中旬くらいの冬と思われる。空はどんよりと曇り、冷たく細かな雨がずっ
と降り続き、時には雪になったりする。(Paris était toujours aussi fan-
tômatique sous la pluie fine et sale, ...) (Chap.3)
メグレの状態
Son état 
殺された娘が働いていたナイトクラブで手がかりが得られそうな気がし
てつい度を過ごして深酒をしてしまい、翌朝二日酔いになる。酒に強い
メグレにしては珍しい。また最後にメグレが銃をかまえて犯人の棲家
に踏み込むシーンには息を呑む。
事件の発端
Origine
9区サン=ジョルジュ署から回されてきた娘は、殺人をたくらむ話を耳
にしたのでと届け出たが、それに結びつく事件は起きていない。メグレ
はその娘を帰宅させたが、その直後に絞殺されてしまう。この娘を慕っ
て若い刑事のラポワントが店に入り浸っていたことがわかる。彼が悲し
みを見せながら言うところによると、この娘はふつうの子とはどこか違
っていて、冷静で自分の背後に何か隠していたという。そのうえその
近所で伯爵夫人と称する女性も殺されているのが見つかる。
表題の意味
Ça veut dire
ピクラッツ(Picratt's)はパリの歓楽街の一角ピガール街にあるナイトク
ラブの名前である。そこのヌードダンサーの女の子が殺されたことか
ら捜査が始まる。店は狭くて薄暗く、決して一流とは言えないが、パリ
見物の観光客を誘い込むにはちょうどいい。踊り子をそばに侍らせて
得体の知れないシャンペンを法外な値段をつけて飲ます、というあく
どい商売の店である。邦題の「モンマルトル」は丘の上の画家の広場
からふもとまでの広い地域をさすので、「ナイトクラブのメグレ」などの
ほうが原題には近い。全般的に、ある意味でオトコを楽しませる歓楽
街の表裏を描いていて一つの世界を垣間見ることができる。(Cela
constituait un petit monde qui ne connaissait pour ainsi dire pas la
vie de tout le monde.) (Chap.8)

各 章 の 表 題 と 場 所
Table de matière et les lieux cités
1 (朝4時半の届け出)
(Une déclaration à quatre heures et demie du
matin)
フォンテーヌ街 rue Fontaine, 9e
ピガール街 rue Pigalle, 9e
ドゥエ街 rue de Douai, 9e 
ラ・ロシュフコー街
rue de La Rochefoucauld, 9e
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
2 (パリで一番のホットスポット)
(L'endroit le plus excitant de Paris)
ノートルダム・ド・ロレット街
rue Notre-Dame de Lorette, 9e
ピガール街 rue Pigalle, 9e
オルフェーヴル河岸
quai des Orfèvres, 1er
3 (絞殺された伯爵夫人)  
(Une comtesse étranglée)
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
ヴィクトール・マセ街
rue Victor Massé, 9e
4 (ピクラッツに行くんですか?)
(Vous allez au Picratt's?)
ヴィクトール・マセ街
rue Victor Massé, 9e
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
ドゥエ街 rue de Douai, 9e 
ピガール街 rue Pigalle, 9e
5 (リジューから来た老婦人)
( La vieille dame de Lisieux )
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
ピガール街 rue Pigalle, 9e
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
6 (真っ赤すぎる唇に浮かんだ思いがけない微笑)
( Un sourire involuntaire sur ses lèvres trop
rouges)
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er 
7 (主人の寝床に使用人が寝るとき)
( Quand les domestiques couchent dans le lit des
patrons)
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
イエナ通り avenue d'Iéna, 8e
8 (戦略拠点としてのピクラッツ)
( Le Picratt's comme l'endroit stratégique)
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e  
ピガール街 rue Pigalle, 9e
テルトル広場 place du Tertre, 18e
9 (6番テーブルにシャンパン桶を、偶然のように)
(Un seau à champagne sur la table 6, comme par
hasard)
ピガール街 rue Pigalle, 9e
コンスタンタン・ペッカー広場
place Constantin Pecqueur, 18e
ブランシュ広場 Place Blanche, 18e
ロシュシュアール大通り
boulevard Rochechouart, 18e
オルフェーヴル河岸
quai des Orfèvres, 1er

メグレ警視の事件に明記された店舗・施設(*印は実在のもの)
Les Bonnes Adresses reconnues du commissaire Maigret
ピクラッツ
Picratt's
ピガール街の小さなナイトクラブ。観光客目当ての商売。
Rue Pigalle, 9e
ブラッスリ・ドーフィヌ
Brasserie Dauphine
パリ警視庁の近くにあるブラッスリ。メグレも常連。
Place Dauphine, 1er
シェ・フランシス
Chez Francis
モンマルトルの観光客で賑わう広場にあるブラッスリ。
Place du Tertre, 18e
シェ・マニエール
Chez Manière
モンマルトルの丘の北側にある瀟洒なレストラン
Rue Caulaincourt, 18e

警察関係者の動向
Situation de collègue
リュカ Lucas : 9区のサンジョルジュ署から最初にアルレットの一件を引き継いだが、ジャヴェルの倉庫の強盗事件を担当する。

ジャンヴィエJanvier : メグレと共に殺害現場に急行する。アルレットの日常の行動を尋ね歩く。

アルベール・ラポワント Albert Lapointe : 熱を上げていた恋人アルレットが殺されて、その犯人探しをしたいと申し出たが、メグレとしては興味本位で捜査に加わらせたくないし、地道な聞き込みで惨めな思いをさせたくないと思う。

トーランス Torrence : たまたま手が空いていたので、メグレの指示でオカマ気のある男を搾り上げて、自白させるように頼まれる。

ロニョン Lognon : パリ9区サン・ジョルジュ署の刑事。殺人現場に真っ先に駆けつけるが、2件ともパリ警視庁が直接手がけることになり、落胆を身をもって表わす。猟犬さながらに独自の地道な捜査で糸口をつかむ。

ポール医師 Dr. Paul : アルレットの司法解剖の結果を知らせてくる。実際は20歳そこそこの女であることが判明。

シモン Simon : パリ9区サン・ジョルジュ署の当直の巡査長。アルレットの申し出を調書に取る。

ブーラン Beurant : パリ9区サン・ジョルジュ署の警視。
事件にかかわる登場人物
Personnages dans l'affaire
アルレット Arlette : ピガールのナイトクラブ「ピクラッツ」のダンサー。来店客の会話を聞いて近くの警察に申し出るが、自宅に戻ったところを絞殺される。ラポワント刑事が熱を上げていた相手だった。ジャンヌ・ルルーJeanne Lelou という身分証明書があったが、身元はよく判らない。

ブエ夫人 Mme Boué : アルレットのアパートの管理人。第1発見者。

フレッド・アルフォンシ Fred Alfonsi : ナイトクラブ「ピクラッツ」の経営者。

ロザリヌ(ラ・ローズ) Rosaline (La Rose) : アルフォンシの妻。元ダンサー。ピクラッツの調理場と会計を担当。

マドレーヌ・ラランド Madeleine Lalande : フォン・ファルンハイム伯爵夫人。年老いた夫の死後、モンマルトルで一人住まいをしている。かつてニースに豪華な別荘があった。彼女も絞殺される。

オーバン夫人 Mme Aubain : 伯爵夫人の住むアパートの管理人。

ブロック医師 Dr. Bloch : 伯爵夫人の主治医。

バッタ La Sauterelle : ピクラッツの客引き、やせた小男。

ベティ・ブルース Betty Bruce : ピクラッツのダンサー。

タニア Tania : ピクラッツのホステス、兼ピアノ奏者。

デジレ Désiré : ピクラッツのウェイター。

トロシャン夫人 Mme Trochain : アルレットに心当たりがあるノルマンディの老婦人。

フィリップ・モルトゥマール Philippe Mortemart : 伯爵夫人の情人。ホモ気がある。

オスカー・ボンヴォワザン Oscar Bonvoisin : 伯爵の別荘の執事兼運転手。

ロザリー・モンクール Rosalie Moncœur : 伯爵の別荘の料理人。

ジュヌヴィエーヴ Geneviève : ピクラッツの新人ダンサー。


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