No. 65
Titre
Maigret et la Grande Perche
邦題名
(翻訳名)
メグレと消えた死体
(メグレと背高女)
Rédaction 1951.05.08; Shadow Rock Farm, Lakeville,
Connecticut, USA
Éditions Livre de poche #14223; 1999.06
ISBN : 2-253-14223-9
邦訳本 榊原晃三・訳、河出書房新社#14、1982.11
河出文庫、2000.07

(←)
リブレリ・ジェネラル・
フランセーズ社版
(リーヴル・ド・ポッシュ)
1999年06月刊のもの
Edition: LGF-Librairie
Générale Française
Livre de poche #14223
1999.06
                  (⇒)
        河出書房新社旧版
           1982年11月刊

物語の季節
Saison
夏も本番となって晴れて暑い日が続く毎日、おそらく7月末くらいと思われる。
署内の職員もかなりの数が休みに入ってようで、大きく開けた窓からときおり
川風が吹き抜ける。受付のジョゼフ老人以外は皆ワイシャツ姿で(en bras de
chemise)仕事をしている。
メグレの状態
Son état 
長官も例年通りピレネー地方に休暇に出かけてしまい、あまりスタッフ
もいないので自ら事件に取り組む。第3章の冒頭で、それぞれの自宅
の窓際に夕食のテーブルを置いて真夏の夕べをくつろぐパリ市民の風景
が描かれていて楽しい。
事件の発端
Origine
ある朝メグレのもとに面会を希望する女性が現れる。のっぽのエルネスティ
ーヌだと言うが、最初まったく記憶になかった。しかしすぐ17年前にリューヌ
街で捕まえた女のことを思い出した。彼女は金庫破りの常習犯の男と結婚し
ていたが、その夫が前夜忍び込んだ家でサロンに女性の死体があるのを見
つけてあわてて逃げ出した、という。そこはパリに隣接するお屋敷町で、その
家に調べに行ってみたが、何事もなかったふうできちんとした態度で応対す
る母親と息子がいた。しかし息子の妻は前夜、故郷のオランダに帰ってし
まったという。
表題の意味
Ça veut dire
一応「背高女」(La Grande Perche)と訳してみたが、この単語(perche)
は元々女性形(竿、棒)で、このままで「のっぽ」の意味で男女両方に使う。
昔馴染みとはいえ、親しい間ではない彼女が夫の遭遇した事件の相談に
メグレを訪ねて来るのは、彼の頼れる人間性にある。事件の解明に協力
しようと所々に出没する彼女の姿は、別な意味で魅力ある人物に描かれて
いる。

各 章 の 表 題 と 場 所
Table de matière et les lieux cités
1 メグレが昔、独特のやり方で捕まえた女に再会
すること、「寂しいフレッド」と死体らしきものに
関すること
Où Maigret retrouve une ancienne connais-
sance qui a fait une fin à sa façon et où il
est question de Fred-le-Triste et d'une
probable dépouille mortelle.
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
リュヌ(月)街
rue de la lune, 2e
2 まずちょっとボワシエ刑事について、そして鉄柵
と前庭のある屋敷について詳しく、またその鉄
柵の前での出会いについて
Où on parle un petit peu de l'inspecteur
Boissier et davantage d'une maison précédée
d'un jardin, d'une grille, et d'une rencontre
que fut Maigret devant cette grille.
オルフェーヴル河岸
quai des Orfèvres, 1er  
フェルム街(ヌィイ市)
rue de la ferme, Neuilly-sur-Seine
3 エルネスティーヌがつつましく部屋着をまとうこ
と、そしてヌィイの老婦人がメグレのもとを訪ね
ること
Où Ernestine met pudiquement une robe de
chambre et où la vieille dame de Neuilly
rend visite à Maigret.
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
フェルム街(ヌィイ市)
rue de la ferme, Neuilly-sur-Seine
ジュンマプ河岸
quai de Jemmapes, 10e
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
4 すべての訊問が符合しないことが判明すること
そしてユジェニーの意見は歯科医のシラを切っ
た説明をくつがえせないこと
Où il s'avere que tous les interrogatoires
ne se ressemblent pas et où les opinions d'
Eugénie ne l'empêchent pas de faire une
déclaration catégorique.
アシル・ペレッティ広場
Place Achille Peretti, Neuilly-sur-Seine
フェルム街(ヌィイ市)
rue de la ferme, Neuilly-sur-Seine
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
リシャール・ワラス大通り
boulevard Richard-Wallace, Neuilly-
sur-Seine
ピュトー橋 pont de Puteaux
ロンシャン街(ヌィイ市)
rue de Longchamp, Neuilly-sur-Seine
5 メグレはジャンヴィエの代わりにマリア・セール
(旧姓ヴァン・アエーツ)の自分の夫に関する奇
妙な意見を知ること、そしてそれに続く法的手
続について
Où Maigret, à la place de Janvier, apprend
l'étrange opinion de Maria Serre, née Van
Aerts, sur son mari, et où il est aussi ques-
tion des formalités qui s'en suivent
フェルム街(ヌィイ市)
rue de la ferme, Neuilly-sur-Seine
ロンシャン街(ヌィイ市)
rue de Longchamp, Neuilly-sur-Seine
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er 
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
ケニグ将軍大通り
boulevard General Koenig, Neuilly-sur-
Seine
6 メグレが部下を驚かせるような決断をすること、
そして彼の部屋がリングの様相を呈すること
Où Maigret prend une décision qui stupéfie
ses collaborateurs et où son bureau prend
l'aspect d'un ring.
フェルム街(ヌィイ市)
rue de la ferme, Neuilly-sur-Seine
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er 
7 控え室に最初は一人、次いで二人の女性がい
ること、そしてそのうちの一人がメグレに見知ら
ぬふりをするよう合図すること。 
Où l'on voit une femme, puis deux, dans la
salle d'attente, et où l'une d'elles fait signe
à Maigret de ne pas la reconnaître.
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
ゲィ・リュサック街
rue Gay Lussac, 5e
8 「背高女」が話を聞き出させること、そしてメグレ
がついに訊問相手を変えるようになること
Où l'on voit la Grande Perche se laisser
tirer les vers du nez, et où Maigret se
décide enfin à changer d'adversaire.
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er
9 メグレが自分の仕事を誇らしく思わないこと、し
かしある人物の命を救った満足感を少なからず
感じたこと
Où Maigret n'est pas fier de son boulot,
mais où il n'en a pas moins la satisfaction
de sauver la vie à quelqu'un.
オルフェーヴル河岸 
quai des Orfèvres, 1er

メグレ警視の事件に明記された店舗・施設(*印は実在のもの)
Les Bonnes Adresses reconnues du commissaire Maigret
(小さなレストラン)
(Un petit restaurant)
ヌィイの閑静なお屋敷町にあるビストロ
rue de la ferme, Neuilly-sur-Seine
カッスクルート
Casse-croûte
サン・マルタン運河沿いの緑に塗った壁が目印のビストロ
quai de Jemmapes, 10e
バー・デュ・ルヴァン
Bar du Levant
北駅のそばのモーブージュ街にあるバー
rue de Maubeuge, 10e
ブラッスリ・ドーフィヌ
Brasserie Dauphine
パリ警視庁の近くにあるブラッスリ。メグレも常連。
Place Dauphine, 1er

警察関係者の動向
Situation de collègue
ジャンヴィエ Janvier : 6月に親戚の結婚式で先に休暇を取っていたので、休まずに出勤している。

リュカ Lucas : 暑いのでパナマ帽子をかぶっている。午後から夏休みに入る。

トーランス Torrence : 夏休みを終えて出勤したところ、すぐ張り込みに行かされる。

ムルス Moers : 鑑識課員。通報のあった家の家宅捜査を徹底的に行う。

ボワシエ Boissier : 盗難課の刑事。「寂しいフレッド」を何度か捕まえている。最初の捜査に同行したあと休暇に入る。
ダンボワ Dambois : 鑑識課写真班の職員。

ヴァシェ Vacher : セーヌの河岸沿いに手がかりを捜す。

ヴァノー Vanneau : ヌィイ署の刑事。メグレからの連絡で歯科医を参考質問に署まで連れて来る。
事件にかかわる登場人物
Personnages dans l'affaire
エルネスティーヌ・ジュシオーム Ernestine Jussiaume (Grande Perche) : 「背高女」というあだ名の女性。かつてメグレが若かりし頃、連行しようとしたときに全裸になって抵抗した、という逸話がある。今回は夫のアルフレッドが忍び込んだ家で死体を見たという話を持ってメグレに相談に来る。

アルフレッド・ジュシオーム Alfred Jussiaume (Fred-le-Triste) : 「寂しいフレッド」というあだ名の金庫破りの常習犯。もと金庫会社の従業員。

ギヨーム・セール Guillaume Serre : ヌィイの屋敷街にある歯科医。トルコの太守のような巨漢で尊大な態度を見せる。

セール夫人 Mme Serre : ギヨームの母親。78歳。早くして夫に先立たれ、息子のギヨームと一緒に暮らしている。

マリア・セール(ヴァン・アェーツ) Maria Serre (Van Aerts) : オランダ人女性。長くパリのホテル住まいをしていたが、2年半ほど前にギヨームと結婚。しかし、家庭内の不和からオランダに帰るといってそのまま行方が知れなくなる。

ユージェニー Eugénie : セール家の家政婦。毎日9時から17時まで働く。川向うのピュトーから通う。

ジェルトリュード・オースティング Gertrude Oosting : 失踪したマリアの親友。アムステルダム在住で、ほとんど毎日長文の手紙をマリアから受け取っていた。彼女と駅で会うはずの約束に到着しなかったと心配している。

デュビュック Dr.Dubuc : マリアの主治医。

オラン Orin : 隠居の身の代訴人。


メグレ警視
のパリへ
メグレ警視の全邦訳
作品目録へ
メグレ警視の
履歴書へ
関連サイト&相互リンクへ