No. 72
Titre
Maigret et la Jeune morte
邦題名
(翻訳名)
メグレと若い女の死
Rédaction 1954.01.18; Lakeville, Connecticut, USA
Éditions Presses de la Cité #23; 1976.04
邦訳本 北村良三・訳、早川書房、1972

(←)
プレス・ドゥラ・シテ社版
1976年4月刊のもの
Edition: Presses de la Cité #23
1976.04


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  ハヤカワ・ポケット・ミステリ版
      1996年3月発行のもの

物語の季節
Saison
 3月、春先の季節で寒さは和らいでいるが、細かい雨がしとしと
降り続き、夜出歩くには薄着ではまだ寒い。 
(On était en mars. L'air était plutôt doux, pas assez,
cependant, pour qu'on se promène la nuit, surtout sous la
pluie, avec une robe légère - - - ) (Chap.1)
メグレの状態
Son état 
 事件の最初からモンマルトル・クリシー地区担当の無愛想な
(malgracieux) ロニョン刑事との腕比べとなる。片やパリ警視庁
の組織的な捜査、片や地味ないでたちの刑事の冴えない聞き込
み捜査である。睡眠もろくに取らずに、風邪をこじらせながら聞き
込みに歩き回るロニョンに対し、メグレは憐れみを感じつつ、
先々で彼に出くわす度にあせりも感ずる。
事件の発端
Origine
 窃盗団の男たちへの30時間近くかけた取り調べが午前3時に
終わって、夜食でも取りに行こうとしたところに電話が入る。クリ
シー大通り裏手の小さな広場で若い女の死体が発見されたと
いう。まだ家に寝に帰る気になれなかったメグレは部下のジャン
ヴィエと現場へ向かう。そこには管内警察署のロニョン刑事も
来ていた。新聞に被害者の写真が掲載されたが、彼女が誰な
のかまったく情報が得られなかった。まるで存在していなかった
かのように…(c'était comme si elle n'aurait jamais existé.)
(Chap.2)
表題の意味
Ça veut dire
 原題のLa jeune だけで(fille を省略して)「若い女/娘」を指す
ことも多い。直訳では「死せる娘」(la jeune fille morte) 田舎から
都会に出てきて素晴らしい人生を夢見た娘が、偶然も重なって
無残にも虫けらのように殺される事件。捜査をするうちに、同じ
立場のもう一人の美人の娘がうまく玉の輿に乗ってしまう話と
対照的に浮き彫りにされ、人生の諸相を感じて気分が重くなる作
品である。

各 章 の 表 題 と 場 所
Table de matière et les lieux cités
1 ロニョン刑事が死体を見つけること、あるいは仕
事を横取りされるのを嫌がること。  
Ou l'inspecteur Lognon découvre un corps
et ou il se plaint qu'on le lui chipe.
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
ヴァンティミル広場 place Vintimille, 9e
(現在名はアドルフ・マックス広場place
Adolphe-Max, 9e)
ブランシュ広場 place Blanche, 9e  
オーステルリッツ河岸 quai d'Austerlitz, 13e
リシャール・ルノワール大通り boulevard
Richard Lenoir, 11e
2 無愛想な刑事が旧知の女に出会うこと、あるい
はラポワント刑事が奇妙な指示を受けること。
Ou le malgracieux rencontre une vieille
connaissance et ou Lapointe est chargé
d'une curieuse mission.
ラ・ロシュフーコー街 rue de La
Rochefoucauld, 9e  
ドゥエ街 rue de Douai, 9e  
コンスタンタン・ペッカー広場 place
Constantin-Pecqueur, 18e
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
サン・フロランタン街 rue Saint-Florentin, 1er
リシャール・ルノワール大通り boulevard
Richard Lenoir, 11e
3 電話のかけ方がわからない若い女中とクリシー
街の老婦人
La petite bonne qui ne sait pas
téléphoner et la vieille dame de la rue de
Clichy.
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
クリシー街 rue de Clichy, 9e
4 公園のベンチの若い女とナイトクラブにいる花
嫁とが問題となること。  
Ou il est question d'une jeune fille sur un
banc et d'une mariée dans une boîte de
nuit.
クリシー街 rue de Clichy, 9e
トリニテ広場 square de la Trinité, 9e
オルフェーヴル河岸 quai des
Orfèvres, 1er
コーマルタン街 rue Caumartin, 9e
リシャール・ルノワール大通り boulevard
Richard Lenoir, 11e
5 ルーレットで日々の糧を稼ぐ女のこと、洗いざら
いを話す老嬢のことと、ベッドの下に隠れる女
の子のこと。  
D'une dame qui gagne sa vie en jouant à la
roulette, d'une vieille fille qui tient à tout
dire et d'une gamine qui se cache sous le lit.
オルフェーヴル河岸 quai des
Orfèvres, 1er
サン・ラザール街 rue Saint- Lazare, 9e
シュマン・ヴェール街 rue du Chemin
Vert, 11e (緑道街)
6 妙な父親のことが語られることと、メグレの心
配。  
Ou il est parlé d'un drôle de père et des
scrupules de Maigret
リシャール・ルノワール大通り boulevard
Richard Lenoir, 11e
*ニース、グルーズ街 rue Greuze, Nice*  
オルフェーヴル河岸 quai des
Orfèvres, 1er
7 メグレの先を越す刑事のことと、運命との出会
いに赴く若い女。
D'un inspecteur qui va de l'avant et la
jeune fille qui a rendez-vous avec le destin.
ポンテュー街 rue de Ponthieu, 8e  
オルフェーヴル河岸 quai des
Orfèvres, 1er
8 言ったことの意味を追及する人たちの間で起こ
ること、あるいは無愛想な刑事のことをもう一度。
Ou tous se passe entre gens qui suivent
ce que parler veut dire et ou il est encore
une fois question du malgracieux.
エトワール街 rue de l'Etoile, 17e
9 階段が重要な役割を果たすことがわかったこ
と、あるいはハンドバッグがさらに重要な役割を
果たすこと。  
Ou il est demontre qu'un escalier peut jouer
un rôle important et ou le sac à main en
joue un plus important encore.
オルフェーヴル河岸 quai des
Orfèvres, 1er

警察関係者の動向
Situation de collègue
リュカ Lucas : 庁内で事件に関する通報を待ちながら、イレーヌの前歴を調べる。

ジャンヴィエJanvier : メグレと一緒に事件現場に駆けつけてから、捜査に同行する。運転手兼務で訊き込みメモを取る。

ラポワントLapointe : まだ2年の捜査経歴、いつも「若い」"le jeune" と呼ばれる。被害者の生前の姿に似せて手配写真を作るよう指示される。

ロニョンLognon : クリシー・モンマルトル地区を担当する刑事。無愛想(malgracieux) ながら粘り強い精神力で独自の捜査を行う。ある意味ではメグレのライバルであり、今回もメグレは先を越されて少々あわてる。

トーランス Torrence : クリシー・モンマルトル地区の下宿屋を片端からあたる。

ポール医師 Dr. Paul : 深夜にかかわらず殺された女の司法解剖を冷静に行う。

ムルス Moers : 鑑識課のベテラン。被害者の生前そっくりの写真を作る。
プリオレ Priollet : 警視庁の風紀課の警視、メグレの同僚。

リュシアン Lucien : プリオレの部下の刑事。妻がメグレ宅の近所で薬草店を営んでいる。

フェレ Féret : かつてメグレの部下。妻の健康上の理由から南仏ニースへ転勤。
事件にかかわる登場人物
Personnages dans l'affaire
イレーヌ Irène (本名エリザベート・クマールElisabeth Coumar): ドゥエ街で衣装店を営む。被害者の衣服はここの店が貸したものと判明する。

ヴィヴィアヌ Viviane : イレーヌの店に小間使いとして住込む娘。

ルイーズ・ラボワヌ Louise Laboine : 田舎から出てきた娘。ある雨の夜、撲殺されて広場に棄てられているのを発見される。

クレミュー夫人 Mme Crêmieux : 70歳前後の未亡人。家主に内緒で部屋を又貸ししている。

ローズRose : 子守としてノルマンディの田舎から出てきたばかりの15歳の娘。

ラルシェ夫人 Mme Larcher : 2ヵ月前に3人目の子を産んだばかりの夫人。夫は保険会社の要職。ローズを雇っている。

レオン・ジルクト Léon Zirkt : タクシーの運転手。ナイトクラブの前で被害者を見かける。その後夜道を凱旋門の方に歩きつづける姿を何度か目撃する。

マルコ・サントーニ Marco Santoni : イタリアのヴェルモット酒のフランス販売代理店の社主。パリの社交界で派手な生活を送る。ジャニーヌと結婚式を挙げる。

ジャニーヌ・アルメニゥ Jeanine Armenieu : パリに向かう列車でルイーズと一緒に乗り合わせた。叔母のもとで働き口を捜す。目を見張るようなスタイルの美人。サントーニと結婚するに至る。

アリス・フェイヌルー Alice Feynerou : ニースの魚屋の女将。

ジェルメーヌ・ラボワヌ Germaine Laboine (リリLili): ルイーズの母親。昔はショウダンサーで鳴らした。今はカジノで日々の糧を稼いでいる。

ポレ嬢 Mlle Poré : ジャニーヌの叔母。電話局の交換手。

ユリウス・ヴァン・クラム Julius Van Cram : ルイーズの父親。オランダ人。欧米各国を名前を自由に変えながら飛び回る詐欺師。

マルセル夫人 Mme Marcelle : ジャニーヌのアパートの管理人。

アルベール・ファルコーニ Albert Falconi : コルシカ出身の前科のある男。凱旋門そばの裏小路でバー・ピクウィック Pickwick's を営む。


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