No. 90
Titre
Maigret se défend
邦題名
(直訳名)
メグレたてつく
(メグレの自己弁護)
Rédaction Epalinges, Vaud ; 1964.07.28
Éditions Presses de la cité #41; 1985.07
ISBN : 2-258-00077-7
邦訳本 榊原 晃三・訳、河出書房新社#9、1983.05, 1978
河出文庫#10; 2001.04

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シテ社版
1985年07月刊のもの
Edition: Presses de la Cité
1985.07


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        河出書房新社旧版
            1983年5月刊

物語の季節
Saison
夏も間近な6月末の最も気持のいい季節。先週末からバカンス・シー
ズンが始まっていて、レストランやブラッスリは席がすいている。刑事
仲間でも何人か休みを取っている。宵には窓辺で人々が涼んでいる
が、夜空には時々雷が光り、遠くでゴロゴロ鳴ったりする。
メグレの状態
Son état 
52歳。勤続30年になる。カレンダーに合致するのは1949年。とする
とメグレは1897年生まれとなる。定年まであと3年。友人のパルドン
医師に診てもらい、健康の維持のためには酒の量を減らすよう勧告
される。今回は警察の最上層部を利用した巧妙な罠で、メグレが辞職
に追い込まれそうになり、精神的にもかなり圧迫を受けるが、夫人の明
るい心の支えが救いでもある。
事件の発端
Origine
6月28日(火)のさわやかな朝、メグレは突然警察庁の長官から呼び
出しを食う。エリート校出身で秀才の若い長官は笑顔で彼を迎えたが、
ある政府高官筋からの訴えでメグレが不始末をしでかしたことで詰問
しはじめる。前夜メグレは自宅にかかってきた電話によって呼び出され、
カフェバーにいた田舎出の若い娘が困り果てている様子に手を貸し
てやったのを思い出した。その娘が実は政府高官の姪で、メグレにホ
テルへ連れ込まれて乱暴されそうになったと言うのだ。
表題の意味
Ça veut dire
部下から「辞職するんですか?」と訊かれて「いや残るね。私をやめさ
せない、限り自分を正当化することに決めたよ。」(Je reste. Tant qu'on
ne me flanque pas à la porte, je suis decidé à me défendre: Chap.3)
長官からは審判がはっきりするまで不用意に動くなと言われたのに反
してメグレは自分への嫌疑を晴らすために動き回る。しかしどうしても
立証できる糸口がみつからないままに、今度は総監から叱責される羽
目となって・・・

各 章 の 表 題 と 場 所
Table de matière et les lieux cités
1 (笑顔の新任警察長官からの召喚状)
(La convocation du Préfet de Police,
un nouveau, qui souriait)
ポパンクール街 rue Popincourt, 11e
シュマン・ヴェール街 rue du Chemin-Vert, 11e
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
2 (店主のひざのうえに大きな三毛猫が
いた感じのいい古風なビストロ)
(Un adorable bistrot à l'ancienne mode
où il y avait un gros chat tigré sur les
genoux du patron)
裁判所大通り boulevard du Palais, 1er
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
セーヌ街 rue de la Seine, 6e  
エコール街 rue des Ecoles, 6e
3 (金釘亭の元経営者のもとへの一週間
で三度目の訪問)
(La troisième visite en une semaine
chez l'ancien patron du Clou Doré)
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
セーヌ街 rue de la Seine, 6e
エコール街 rue des Ecoles, 6e
アカシア街 rue des Acacias, 17e
4 (バルナクル刑事の写真家としての才能
とその貧相な身なり)
(Les talents de photographe de Bar-
nacle et son air miteux)
アカシア街 rue des Acacias, 17e
クールセル大通り boulevard de Courcelles, 17e
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
ムッシュー・ル・プランス街 rue Monsieur-le-Prince, 6e
5 (百の鍵倶楽部の赤い皮張りの会員
名簿)
(Le registre du club des Cent Clefs,
relié de cuir rouge)
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
グランダルメ通り avenue de la Grande Armée, 17e
アカシア街 rue des Acacias, 17e
テルヌ広場 place des Ternes, 17e
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
6 (まったく健康な歯の診察)
(Une consultation aux dents parfaite-
ment saines)
アカシア街 rue des Acacias, 17e
7 (病気休暇) 
(Un congé de maladie)
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
バスティーユ広場 place de la Bastille, 11e
8 (まともなゲーム)  
(Le franc jeu)
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
フラン・ブルジョワ街
rue des Francs-Bourgeois, 4e
9 エピローグ  
Epilogue
ペレ街 rue Perrée, 3e
リシャール・ルノワール大通り
boulevard Richard Lenoir, 11e
オルフェーヴル河岸 quai des Orfèvres, 1er

メグレ警視の事件に明記された店舗・施設(*印は実在のもの)
Les Bonnes Adresses reconnues du commissaire Maigret
(カフェバー) パリ警視庁の通りをはさんだ向かい側にあるカフェバー。
裁判所大通り boulevard du Palais, 1er
ブラッスリ・ドーフィヌ
Brasserie Dauphine
パリ警視庁の近くにあるブラッスリ。メグレも常連。
ドーフィヌ広場 Place Dauphine, 1er
シェ・デジレ
Chez Désiré
外見は感じのいい古風なビストロだが店主は無愛想。
セーヌ街 rue de la Seine, 6e
ホテル・ド・サヴォワ
Hôtel de Savoie
田舎出の娘を泊まらせた学生街にある安ホテル。
エコール街 rue des Ecoles, 6
クルー・ドレ(金釘亭)
Clou Doré
元顔役のパルマリが買い取ってバーから格上げした
高級レストラン。フォンテーヌ街 rue Fontaine, 9e
クラブ・デ・サン・クレ
Club des Cent Clefs
ミシュランで星付きのレストランの地下にある会員制
ダンスクラブ「百の鍵」。
グランダルメ通り avenue de la Grande-Armée, 17e

警察関係者の動向
Situation de collègue
リュカ Lucas : 運転手役でメグレに同伴してパルマリの自宅に何度か行く。ソルボンヌの守衛の一人が身内であるのを手がかりに問題の女子学生の身辺の聞き込みをする。

ジャンヴィエ Janvier : 長官の執務室から戻ったメグレの様子がおかしいのを直感する。速記の能力があり、メグレの抗弁報告書をタイプで仕上げる。連続宝石店強盗団を追いかけている。

ラポワント Lapointe : バカンスで不在。

ほうき長官 Préfet-Balai : エリートコース出身の若い警察庁長官。就任会見の際に「パリを大掃除する」と発言してあだ名がついた。健康的なスポーツマンで毎朝テニスで汗を流してから出勤する。

ロラン・ブリュテ Roland Blutet : 警視総監。官僚意識丸出しの上司。

バルナクル Barnacle : あと数カ月で定年の風采の上がらない老刑事。写真の腕前があり、人からあまり注目されないことを利用して容疑者の撮影をする。

ルールティ Lourtie : アカシア街で張り込みをする太目の刑事。買い物に出たアリーヌを尾行して地下鉄駅で撒かれてしまう。

ジャクマン Jacquemain : アカシア街で夜間張り込みをする刑事。

バッサン Bassin : パリ3区警察署の警視。

パルドン医師 Dr. Pardon : メグレ夫妻が月一回交代で夕食に招き合う町医者。49歳。中肉中背で茶髪に白髪が混じる。顔に皺が刻まれている。メグレが心を許せる数少ない友。
事件にかかわる登場人物
Personnages dans l'affaire
ニコル・プリゥール Nicole Prieur : パリ17区の瀟洒な叔父の居宅に住むソルボンヌの女子学生。理由はわからないが、田舎から出てきた娘ニコル・カルヴェ (Nicole Carvet) と名乗って深夜メグレの自宅に電話をかけ、呼び出して、辞職に追い込むような被害届を出す。

ジャン=バティスト・プリゥール Jean-Baptiste Prieur : 国家諮問院の参事官。同居している姪のニコルからの申し出で、警察庁長官にメグレの不品行を訴える。

デジレ Désiré : パリ左岸のセーヌ街にある古風なビストロの店主。無愛想な応対で捜査に非協力的な態度をとる。

ロール・デュビュイッソン Laure Dubuisson : 田舎出のニコルの友だち。

マルティーヌ・ブゥエ Martine Bouet : ニコルの学友。医師の娘。事件の前の晩にレコードを聴きに遊びに行っていた先。

マヌエル・パルマリ Manuel Palmari : モンマルトルの顔役。「金釘亭(クルー・ドレ)」というレストランの元経営者。3年前に銃で撃たれて瀕死の重傷を受け、以後車椅子で隠居生活をしている。メグレとは古くからの顔なじみ。

アリーヌ Aline : マヌエルの情婦。22歳。連日刑事に尾行されている。女の第六感が働く。

オスカー・クータン Oscar Coutant : ソルボンヌ大学の守衛。80kg 40歳 リュカ警部の義理の甥。

マルセル・ランドリー Marcel Landry : 2つ星レストラン「百の鍵倶楽部」のマネージャー。過去に新聞記者として警視庁に出入りしていてメグレとは顔なじみ。

フランソワ・メラン Francois Mélan : アカシア街の歯医者。口腔外科医の看板をかけている。

モット Mlle Motte : 歯科医の受付。顔つきが恐いが、読書が趣味の独身女性。

カロラ Carola : 歯科医のある古い建物の女管理人。スペイン人。

ヴィヴィエ Vivier : パルドン医師の旧知の口腔外科教授。


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