レファレンス業務支援システムの全体構想(松下試案・私案・思案?:'99.10.13


 以下はあくまでも、松下個人の試案です。

 レファレンス業務支援システムとしてどういったものが必要かという全体 構想(ビジョン)がないと、今回のレファレンス業務支援システムについて も、過小評価あるいは、過大評価される危険性があるように思われます。
 レファレンス業務支援システムとしては、

1)事例データベース(大学共同構築版」と「大学個別版」)
 *ただし、大学共同構築版が大学個別版を基礎としたものでなければならないとは考えない。
2)レファレンス・ツール分析データベース(主として印刷体対象)
3)インタネット学術情報源データベース
4)FAQデータベース(よくある参考質問を整理・体系化したもの)
5)PathFinder(主題分野毎の調査法のガイド・道案内人)

 の5つのサブシステムと、
 各種の中小規模の便利なツール群が必要と考えています。

 また、これらの5つのサブシステムはそれぞれ性質が違い、お互いに相互補完するものですので、どれか1つか2つのデータベースですませられるようなものではないと考えています。

 これら5つのシステムは、九州地区で全て開発できるものではなく、全国 の大学が協力しないと実現できないものです。国立大学が中心になって開発するとしたら、たとえば9つの協議会を5つのブロックに分け、それぞれ一 つずつ分担してプロトタイプを開発することが考えられます。あるいは、学術情報センターが概算要求し、しかるべきセクションをつくって、全国の国公私立大学と協力しながら(向こう3〜5年間で)開発することが考えられます。

 ★以下に書かれた構想をどう思われるか、ご意見がありましたら、松下までお願いします。

DB名(用途・目的)
利用主体
プロトタイプ開発
1)事例DB
(研修・教育用)
図書館職員+図書館学教員+
図書館学学生
<九州・沖縄地区>
九大+熊大+3委員館
2)ツール分析DB
*主として印刷体対象
(参考図書の分析)
主として図書館職員<関西地区>
京大+阪大+3委員館
同志社大学に協力要請?
3)インタネット学術情報源DB
(インターネット情報源検索)
図書館職員+利用者<関東地区>
東大+筑波+3委員館
図情大に協力要請?
4)FAQ−DB
(よくある質問回答集)          
主として利用者<中部地区>
名大+静大+3委員館
愛知淑徳大に協力要請?
5)PathFinder
主題分野毎に調査法を解説
利用者+
図書館職員
<北海道・東北地区>
北大+東北大+3委員館
6) レファレンスに役立つツール群主として図書館職員<中部地区?>

1)事例データベース

 少なくない数の人が誤解している可能性がありますが、事例データベー スは、参考質問のFAQデータベースとは全く別のものです。
 FAQとは違い、事例データベースの場合は、事例データが万のオーダー になったとしても、「利用者から質問を受けたがよくわからないので、デー タベースを検索して答えを探す」 ということはほとんど無理だろうと思われます。
 事例データベースで参考になるのは、あくまでも回答にいたるまでのプロ セスであり、これらの事例をザットとブラウジングすることで(=他大学のすぐれた事例を参照することによって)、レファレンサーとしての力をつけることが最も重要なことであると考えています。
 そういう訓練を日常的にしていけばしだいにレファレンスに必要な推理力・応用力がつくと思われます。

2)レファレンス・ツール分析データベース

 *印刷体の参考図書を中心としたレファレンス・ツールの分析データベース
 この場合は一般的な参考図書の解題データベースでは不十分だろうと思われます。九州地区で今回開発したシステムにもレファレンス・ツール・データベース(今回のモニター対象外)も事例データベースと同様な方式で蓄積できるようにしてありますが、個人的にはデータ項目をいくつか変更するとともに、検索システムもいろいろ工夫する必要があろうかと思います。
 また、事例データベースの場合は大学図書館の現場の担当者が共同構築していく以外ないですが、レファレンスツールの場合は、どこかの業者が全国のベテランのレファレンサー(もちろんインタネット上の情報源に詳しい人を含める必要あり)を20〜30名組織化して営利ベースで構築することも可能です。その方が良いものができるような気もします。

3)インタネット学術報源データベース

 インタネット上の学術情報源を組織化して分類・整理し、キーワード等で 検索できるようにしたデータベース
(例:東京大学でつくったインタネット学術情報資源インデックス)

4)FAQデータベース

 1)に書いた理由で、やはりFAQデータベースは別に必要となります。 このFAQにも検索機能が必要ですが、テーマ毎に整理・分類されたものを、利用者がブラウズすることによって大きな利益を得ることができると思われます。

5)PathFinder

 (1)〜(4)だけではまだ不十分です。
 やはり主題分野毎に、どのような調査のし方をすればよいか系統的に解説・案内したシステム(これにも検索機能が必要)を別途につくる必要があると考えます。サブジェクト毎に調査研究のための道案内人が必要です。米国ではこのようなものを PathFinder と呼んでいるようです。

 米国の大規模な大学図書館の参考調査部門には、General Reference と Subject Reference の部門があり、後者には主題の博士号+図書館学の修士号を持った人が数人います。「毎週水曜日の14:00〜16:00までは、ドクター**が政治学関係のレファレンスを受け付けます。」 といった感じです。General Reference(一般参考) をやっている人も 主題の修士号と図書館学の修士号はみんなもっています。
 日本の場合は米国のようなわけにはいきませんが、20、30年のスパンで 考えると米国のようになっていかないとも限りません。米国の場合も、1970 年代でしたか、学生の数がへっていき、つぶれる大学がどっと増え、行き場 のなくなった研究者達が、(主題専門家を求めていた図書館の思惑と合致し、それらの主題専門家がどっと図書館に入ってきたという話しを聞いたことがあります。日本も、不幸なことではありますが、後5年もすればつぶれる私立大学もかなりでてくるのではないかと予想しています。

6)その他

 その他レファレンス業務を支援するための中小規模のいろいろなツールが 必要ですが、それらは適宜開発をすればよいと思われます。
 メーリングリスト電子掲示板もそれらのツールの一つです。

●以上、私が言いたかったのは、レファレンス・サービスに役に立つ多くのシステムをひとつのまとまったシステムとして、大学で共同構築するか、学術情報センターのようなところが、レファレンス業務支援システムとして構築すべきではないかということです。事例データベースだけなら、七大学等の大規模大学の協力を得ながら、九州地区が主体で継続的的にメンテナンスしていくことも不可能ではないですが、レファレンス・サービスのレベルアップのためには、以上のような統合システムを開発していかないといけないと考えているしだいです。