現実の少年事件はどうなっているのかということで、その実際を聞きに子どもの権利条約ネットワーク主催の「少年事件と子どもの権利」という学習講座に参加してきた。
この講座は、少年事件を担当している弁護士・日弁連子どもの権利委員会の坪井節子氏を迎えて、「衝動的暴力事件を契機に注目されている少年法。子どもの成長の為に必要な法システムの在り方を学ぶ。」というもので、その時の内容を多少の省略はあるが、以下にまとめることにする。
2少年法とはどういう法律か
〓少年法の理念
何故少年は犯罪を起こすのか、それは、教育の不足にあると思われる。子供に必要なのは、環境を直して、もう一度成長させることである。それは、刑法の刑罰主義に対して、少年法の健全育成主義・保護主義と一致する。
〓傷つけられた少年の人権の回復
〓意見表明権、成長発達権の保障
意見表明権を保障することは、自分のことを自分で表現できるかということであり、人間として大切にされていないことに傷ついて、自分や他人に危害を加えてきている少年に対して、「自分は大切であり、それは他人も大切にすることである」ということを気付かせるきっかけになるものである。
人間として大切にされてこなかった子供たちは、「自分はどうなってもいい。自分は価値ある存在とは思えない。」そういった爆発するほどの怒りやストレスを行動に出さざるを得なかった。そうした彼らにとって、自分の本当の姿を話せる、聞ける、そして、自分が大切にされていることを理解する為に、言葉を理解することは大切なことなのである。
〓手続きの概要
〓観護処置
〓審判―審問構造
審判は、たいてい一度。成人の刑事裁判と違い、裁判官は黒い制服を着ることもなく、ひな壇のない机に座っている。検事はいない。それは、捜査が終了した為と、子供が本当のことをいえる為である。
しかし、ここだけで何が真実で会ったのかは誰にも分かるはずがない。何故なら、少年の動機・背景は、重要視されず、見かけだけが見られるからである。そして何よりも、裁判官は法律の専門家なのである。
〓非公開
〓保護処分
〓少年法の運用の成果
我が国の少年法の成果は、世界的に見ても大成功であるといえる。
3付添人活動の実際
〓例:17才・女性
母親蒸発→父親の飲酒による暴力から、兄弟を守る為自分を犠牲にする→小学5年生でシンナー→中学で覚醒剤→釈放→高校で覚醒剤で再逮捕→鑑別所→少年院
付添人として会う子供達は、親がいない・重大事件の子供たちで、多くの場合家裁から付添人をつけることを要求される(裁判所との協力により、〔財〕法律扶助協会(日弁連の外郭団体)から事件が来る)。子供たちの様子は、頼りなげで、ひ弱であり、子供の口から聞かなければ分からなかったことばかりあった。そして、活動を重ねてく度に思うことは、「子供をそこまで追いつめた大人が悪い」ということである 。
面会する場所は、鑑別所であるが、これは結構まれなケースである。それは、少年事件の逮捕はなかなかされないのが現状だからである。それは、いちいち逮捕していては警察がやっていけないからだそうだ。面会時間は、およそ親が15分、付添人が2時間である。少年は、20日間で取調べを受け、4週間で調査を受け、審判の期日を迎える。調査で得られたあらゆる情報は、裁判官に与えられる。しかしこれらは、裁判所側からの調査であって、子供の側からの視点に立っていない。
この中での、付添人の大きな役目は「通訳」ににている。子供が親や家裁に伝えたいことを伝達するのである。勿論、事件の調査もするが、それは警察で十分であることが多い。それよりもむしろ、言葉が旨く喋れない、誘導的でないとものが言えない、自己を分析して表現出来ない子供たちの言いたいことを伝えて、心を開かせて行くことに力を注ぐことが重要である。
こうして、事件が発生してから、ようやく被害者に会いに行けることになるが、それまでには、およそ3か月をゆうする。会いに行くには菓子折りを持って行くが、もちろん受け取ってもらえないし、今頃よく来られたもんだと怒鳴りつけられる。それから平均2時間の被害者の苦痛などを聞く。その被害者の辛さは、計り知れない。
そして、帰ると必ず、親にも子供にも被害者あてに手紙を書かせるが、幾度も幾度も書いて、持っていて、やっと受け取ってもらえる。それを読むにも時間がかかる。これも、付添人の役目である。
〓付添人を増やしていく為に
現在、付添人がつく割合は1.5%であり、二年前は1%、数年前は0.5%であった。付添人がこのように少ない原因は以下のように考えられる。
〓法律にはあるが知られていない
〓子供の事件に弁護士を付けるなんて飛んでもない。悪いことをしたなら当たり前。という親の考え方が大きい
〓付添人が、その役割を知らせようと努力していない
〓付添人の弁護活動の誤解 〓報酬料の安さ(私選30万、国選8~10万)などが挙げられる。
このような理由により、付添人は少なく、加えて、経験のある付添人も少ない。
付添人の大部分は国選であるが、それは、法律扶助協会が25年前からその活動を進めてきた。初めの活動は、東京都から始まり、大都市を中心に全国へ広がっていった。現在は、年間100件あり、その殆どは、家裁との協力である。因に、東京都は2000万円の扶助を行っている。
子供にとって、最前の結果を与える為に、付添人は必ず付けるような制度にしていくことを坪井さんは強調していた。
4少年法改革の必要性
〓捜査のあり方
ここに一番改革の重点をおくことを主張したい。日本の警察・検察の捜査の仕方は、冤罪を生む最も大きな原因である。取調べに関しては、とにかく怖い。大人でも耐え抜けないくらいである。そこでは、少年に対しても、自白の強要、暴力、だまし 、密室、頼んでも立ち会わせてくれないなどが頻繁に行われている。その中で、自分の意見も十分に言えない少年が、いいたいことをいえるわけがないのである。
また、子供の事件に関しては、「伝聞証拠排除の法則」が当てはまらない。その為、裁判官は全ての書類を見て判断を下す為、子供の様子を見ることもなく、審判前にはほとんどの場合判決を決めている。
〓適正手続き保障
〓被害者救済
これは、現在の少年法のバッシングの大きな原因の一つであり、国民の不安の増大原因でもある。特に、被害者に対しての、損害賠償、情報公開( 重大犯罪に対してもない)、心のケアがあまりにも欠如している。勿論、スキャンダラスな関心などは論外であるが、二度と繰り返さない為には、必要事項は公開したり、そうでないものは公開を控えたりなどして、早急に改善していく必要がある。
〓情報開示
5少年法改正を巡る議論の実情
〓最高裁判所
〓合議制導入
〓審判への検察官関与
〓検察官の抗告権
〓観護措置期間の延長
〓法務省
〓法制審議会の開催を準備。次期通常国会に提出か。
〓自民党
〓厳罰化要求をバックに年齢引き下げも
〓日弁連
〓合議制導入賛成
〓最高裁、法務省案、自民答案への反対
〓改革案は現状では二つある
(1)いかなる形での検察官関与にも反対し、現行審問構造の下で、適正手続き保障のための構造を行う
(2)対審構造(刑事裁判的手続き)を導入し、厳格な証拠ルールの適用を目指す