「異常性愛の精神医学」という本の紹介
(引用文献)小田 晋:異常性愛の精神医学,ふたばらいふ新書:25-29&64-84,1998.

性の異常も時代とともに変わってくる
男と女の1対1の人間的な関係があくまで基本とされています。
すこしずつ逸脱していくのが異常性愛です。

例えばオナニーについては「旧約聖書」にもみられるように、昔から罪悪とみなされてきた。
オナンが膣外に射精して罰せられた,と書かれてあるらしいです。

ユダヤ教・キリスト教の影響で19世紀から20世紀初頭のヨーロッパの生化学や教育学では、
自慰は精神障害の原因になるとされ禁止された。

現代の欧米の性科学では、自慰に害はないといわれている

日本では、江戸時代までは自慰は悪趣味とされているだけで、病気などとは考えられてはいなかった。
明治以降は西洋的な考えが輸入されて、日本でも西洋と同じ様な傾向となった。

1987年にアメリカの精神神経学会が「精神障害診断統計マニュアル第3期修正版(DSM−掘治辧砲髻発刊。
新しいものとしてテレフォン・スカトロジアが加えられた。(詳しくはもみじ新聞を参照)

ここではまだ「自我異質性同性愛」という、同性愛である自分を悩むことによるものも精神障害とされていた。
しかし同性愛そのものは異常性愛から外された。

1990年に第4版(DMS−検砲制定され、同性愛はすべて異常性愛ではないとされた。

 
ただし性転換症(詳しくはもみじ新聞参照)については異常性愛とされた


現代の同性愛者の愛の形とは?
ニューヨークやサンフランシスコのゲイコミュニティについて書かれていました。

レインボー・フラッグという旗が掲げられている一角が同性愛者が集まって住んでる地域ということです。
その地区は高学歴・高収入のひとたちが集まっていて、住民の平均納税額・博士号取得率も住民のそれよりはるかに高いそうです。

街を歩けば同性どうしのカップルばかりだそうです。


生物学的に同性愛になるタイプ
同性愛の原因として生物学的・社会学的・社会心理学的な説明がされていますが、その生物学的原因について

生物学的な要因で同性愛者になることは少ないようです
副腎性器症候群(Adrenogenital syndrome)とクラインフェルター症候群(Klinefelter's Syndrome)についてのケースについての説明です。

副腎性器症候群は女性の仮性(偽性)半陰陽(解剖学的には男女両性を備えた奇形の一種)の一種だそうです。
外見上は普通の女の子だが、副腎アンドロゲン(ホルモンの一種)の分泌過剰により、成長するにしたがって、心身共に男性的になる。

クラインフェルター症候群は性染色体の異常によって男性におこり、ホモセクシュアルな関係を持った場合には、女役が多い。

また脳の側頭葉に異常がおこると自分の性別を認知できないことがある。


どんな環境で同性愛が生じやすいのか
社会的な要因としては欠乏同性愛について、そして心理的な要因についての説明

欠乏同性愛とはたとえば拘置所・兵営・船内生活・僧院など同性同志で暮らさなければならないときに異性のかわりとして限られた期間だけ同性を求めるような行為をいう。
僧と稚児との愛情関係、中性ヨーロッパ騎士団での生活、薩摩・会津藩の若い武士階級、旧日本軍の幼年学校、尼僧院など

心理学的な要因としては、1)自分の男性性を強く否定してしまうような、去勢コンプレックスをもつことがあげられる。
2)母親との同一化が強すぎたために、自分の役割が女性であると決めてしまうことによりおこる。


同性愛的な感情は被害妄想の土台になる?
現実のケースとしてはまれのようですが、「シュレーバー・ケース」というのが有名のようです

同性愛が被害妄想を生むのではないようです。シュレーバーが示した病態は同性愛が差別される社会で適応するために心の中で同性愛症状を抑制することによって起こされたと考えられるようです。


同性愛はなぜ増えてきたのか
社会の規制が弱くなってきたこと、男女関係の変化の影響によるようです

同性愛は「自我親和性同性愛」と「自我異質性同性愛」に分けられる。
自我親和性同性愛者は異性にはまったく興味がなく冷淡・嫌悪感を示したりするひと。
自我異質性同性愛者は異性を愛することによって子孫を残そうとする人たち。

とくにキリスト教的なモラルが強かった国々では教会の社会的権威が弱くなるに連れ、禁圧に対して異議を唱える人が増えてきた。
そのために社会的に認知されていなかった同性愛の権利を求める人々が多くなってきたことによる。

母親と密着して育ってきた現代の若い人たちは女性に優しさを求めている。しかし一方女性の社会進出などにより、女性はますます強くなってきている。
自分のことを気ずかってくれるようなひとなら、優しさを求めている男性にとって同性でもかまわない、という人もいるようなのです。

女性の場合は父親との同一化がきっかけになることが多いようです。父親のようになりたいという気持ちが、男性的な行動をとらせ、同性である女性に関心を示すようになるようです。

  文献:
ステッドマン医学大辞典. 改定第4版.メジカルビュー社:1998
標準生理学.第3版.医学書院:1996

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開設日 1998年9月14日
クイアサムライ英語ページ
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