【おの】〜【おも】

−−−−−−−おの−−−−−−−
・御上りさん
(おのぼりさん) 1.見物などのために、地方から都会に出て来た田舎者を揄(からか)って言う言葉。2.比喩的に、都会に職を得て、その近郊に住むようになった田舎出身の者。また、都会の習慣に中々馴染めない者。
・己達せんと欲して人を達せしむ
(おのれたっせんとほっしてひとをたっせしむ) 自分が事を成し遂げようと思うなら、その前にまず人を助けて目的を遂げさせてあげなさい。仁者は、事を行なうとき自他の分け隔てをしないということ。 出典:「論語−雍也」 「夫仁者己欲立而立人、己欲達而達人」
・己に克ち礼に復る
(おのれにかちれいにかえる) 私欲を克服して、人間生活の基本である「礼」に立ち返るのが、仁の精神である。 出典:「論語−顔淵」 「克己復礼為仁、一日克己復礼、天下帰仁焉」
・己に如かざるを友とする勿れ
(おのれにしかざるをともとするなかれ) 自分より劣った者は、善を求めたり道を修めたりする助けにならないから、友人として交わらない方が良い。 出典:「論語−学而」 「主忠信、壻友不如己者、過則勿憚改」
・己の欲せざるところは人に施す勿れ(おのれのよくせざるところはひとにほどこすなかれ) 自分が好まないことは、きっと他人も好まないことであるから、他人に向かって実行してはいけない。 出典:「論語−衛霊公」 「其恕乎、己所不欲、勿施於人」
・己を空しゅうす(おのれをむなしゅうす) 私情を捨て去り、蟠(わだかま)りのない状態になる。 類:●虚心になる
−−−−−−−おは−−−−−−−
・尾羽打ち枯らす
(おはうちからす)[=打ち枯れる] 鷹の尾羽が傷付いたみすぼらしい様子ということから、零落(おちぶ)れてみすぼらしい姿になる。 用例:咄・
鹿の巻筆−二「永々の浪人にてをはをうちからし」 用例:浄・菅原伝授手習鑑−一「おは打かれし武部(たけべ)夫婦」 類:●零落する●尾も羽もなし 用例の出典@:鹿の巻筆(しかのまきふで) 江戸前期の噺本。5冊。鹿野武左衛門著、古山師重画。貞享3年(1686)刊。29の落語を収める。後に絶板を命ぜられ、著者は流罪となった。 用例の出典A:菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 浄瑠璃。時代物。5段。竹田出雲(二世)・並木千柳(宗輔)・三好松洛・竹田小出雲合作。延享3年(1746)初演。藤原時平の讒言による菅原道真の配流と北野天満宮の縁起を背景に、梅王、松王、桜丸という三つ子の兄弟夫婦や、武部源蔵夫妻の菅原家への忠節などを描く。「菅原」。
・十八番(おはこ) 1.取って置きの、得意とする芸。 用例:人情・
清談松の調−四「大津絵節の踊が、大の得意(オハコ)で」 2.転じて、その人が良くやる動作や良く口にする言葉。また、その人の癖。 例:「また、おはこの泣き言が出た」 ★(箱に入れて大切に保存する意から。また、市川家の得意な芸「歌舞伎十八番」の台本を箱入りで保存したことに由来するともいう)<国語大辞典(小)> 用例の出典:清談松の調(せいだんまつのしらべ) 人情物。・・・調査中。
・お鉢が回る
(おはちがまわる) 順番が回ってくる。 
★人が多いと飯櫃(めしびつ)がなかなか回ってこないからという。<国語大辞典(小)>
・お払い箱
(おはらいばこ) 1.解雇されること。 用例:黄・
啌多雁取帳「寝御座一枚にておはらひばこの身となりしが」 2.不用品を捨てること。 例:「こわれた洗濯機をお払箱にする」 ★(毎年新しいお札が来て古いお札は不用となるところから「祓(はらい)」を「払(はらい)」にかけたしゃれ)<国語大辞典(小)> 用例の出典:啌多雁取帳(うそしっかりがんとりちょう) 奈蒔野馬乎人。江戸の戯作絵本・初期黄表紙集。・・・詳細調査中。
−−−−−−−おひ−−−−−−−
・お膝元(おひざもと) 1.貴人などの傍(そば)。また、そのお傍に仕えている者。 類:●側近●配下 2.君主や天皇、将軍などが居住している土地。江戸、東京を指すことが多い。 類:●首都 用例:雑俳・野の錦「さびしさの秋の届かぬ御膝元」 用例の出典:野の錦(ののにしき) 雑俳。明和4年(1767)。・・・調査中。
帯に短し襷に長し(おびにみじかしたすきにながし)
・お百度を踏む 1.
祈願のためにお百度参りをする。2.頼みを聞いて貰うために、同じ人を何度も訪問する。3.同じことを何度も繰り返す。 類:●お百度を上げる●お百度を打つ
・お開き(おひらき) 1.開くことを丁寧にいう語。2.落ち延びること。また、逃げることの忌み詞。 類:●退却 用例:太平記−一五「只先づ筑紫へ御開(ヒラ)き候へかし」 3.宴会などが終わること。会が終わって帰ることの忌み詞。 類:●閉会 用例:滑・膝栗毛−発端「わっちらあもふおひらきにいたしやせう」
・尾鰭が付く
(おひれがつく) 事実以上に種々のことが付き加わる。複雑にする。 例:「話に尾鰭が付く」 類:●尾に尾を付ける●尾に尾を添える
−−−−−−−おふ−−−−−−−
・オブラートに包む 
苦い薬を苦く感じないようにオブラートで包むということから、比喩的に、人を強く刺激するような表現を避けて、婉曲な言い方をすることをいう。 類:●オブラートでくるむ
−−−−−−−おへ−−−−−−−
・おべっか 
上司や強い人のご機嫌を取ること。また、その時の巧みな言葉。 類:●諂(へつら)い●
おべんちゃら●追従(ついしょう) 用例:「上役におべっかを使う」
・おべんちゃら 
口先だけの巧い言葉を言うこと。誠意のないお世辞。 類:●
おべっか
−−−−−−−おほ−−−−−−−
・おぼこ育ち 
世間ずれしないで成長すること。また、その人。
・覚束ない(おぼつかない) 1.景色などがぼんやりしていて、はっきりしない。ぼうっとしていてよく見えない。 用例:万葉−1952「今夜(こよひ)の於保束無(オホつかなき)に霍公鳥(ほととぎす)鳴くなる声の音の遥けさ」 2.気掛かりだ。不安だ。心細い。 類:●頼りない●もどかしい 例:「暗くて足許がおぼつかない」 用例:万葉−1451「水鳥の鴨の羽色の春山の於保束無(オホつかなく)も思ほゆるかも」 用例:源氏−桐壺「若宮の、いとおぼつかなく、露けきなかに過ぐし給ふも」 3.疑わしい。不審である。また、不確かである。現代では、多く物事が巧くいきそうにない。 類:●いぶかしい 例:「今日明日の復旧は覚束ない」 用例:蜻蛉−上「過ぎにし年、月ごろの事もおぼつかなかりければ」 用例:源氏−賢木「六十巻といふ文読み給ひ、おぼつかなき所々、解かせなどしておはしますを」 4.疎遠で相手の様子が分からない。訪れがない。無沙汰である。長らく対面していない。 類:●うとうとしい 用例:蜻蛉−下「それも著(しる)く、その後おぼつかなくて八九日許(ばかり)になりぬ」 5.会わずにいる状態がもどかしく待ちどおしい。早く会いたい。 用例:−六三「やがてもろともに率(ゐ)ていきて、昼のほどのおぼつかなからむことなども、言ひ出でにすべり出でなんは」 
★(「おぼ」は、「おほに」「おほほし」「おぼろ」「おぼめく」などの「おほ(おぼ)」と同じく、ぼんやりした、不明確な状態を表わす。「覚束」は当て字。古くは「おほつかなし」) 対象の様子がはっきりせず、つかみどころのないさまをいい、また、そのためにおこる不安な気持を表わす。<国語大辞典(小)> 
溺れる者は藁をも掴む(おぼれるものはわらをもつかむ)
−−−−−−−おま−−−−−−−
・お前軽薄
(おまえけいはく)[=追従(ついしょう)] その人の面前で媚び諂(へつら)うこと。
・お負け
(オマケ) 1.商品の値を安く売ったり、景品、付録を付けたりすること。また、その付けた品。 例:「百円おまけしましょう」「おまけにキャラメル一箱」 2.大袈裟にものを話すこと。また、その話。 用例:雑俳・柳多留−一一「女郎屋のおまけは内義申ます」 3.お世辞。おべっか。 用例:滑・浮世床−初「おまへさんがたへお負(まけ)を申すぢゃないが」
−−−−−−−おめ−−−−−−−
・お眼鏡に適う
(おめがねにかなう) 目上の人から気に入られる。認められる。
・お目玉 叱られること。 類:●お小言●御目 例:「お目玉を食う」
・お目出度い(おめでたい) 1.縁起が良い。お祝いをすべきである。 「おめでとうございます」などの形で、慶事や新年を祝福する言葉として使われる。 用例:
松翁道話−四・上「御目出たい御目出たいというて」 2.お人好しである。馬鹿正直である。また、愚かである。 例:「おめでたい人」「おめでたくできている」 3.考え方が甘い。楽観的過ぎる。 例:「おめでたい理想主義者」 用例の出典:松翁道話(しょうおうどうわ) 文化11年(1814)。八宮斎編。心学者布施松翁の道話を筆録したもの。5編。その後の心学者らに影響を与えた。Household Industries 歴史館
・お目に掛かる 1.「会う」の謙譲語。お会いする。目上の人に会う。 用例:狂言記
磁石「明日御目にかからう」 2.目上の人から認められる。注目される。 類:●目に留まる 用例:曾我物語−一「院・内の御目にかかり」 用例の出典:磁石(じしゃく) 狂言。各流。上京の途中人買いに売られそうになった男が、太刀を持って追い掛けてくる人買いに、自分は磁石の精だと言い、太刀を飲み込むといって威かし、その太刀を奪う。
・お目に掛ける 「見せる」の謙譲語。お見せする。 類:●ご覧に入れる
−−−−−−−おも−−−−−−−
・思い余る
(めにあまる) 1.あれこれ考えたがどうしても良い考えが浮かばない。 類:●思案に余る 例:「思い余って死を選ぶ」 2.恋しさに耐え切れなくなる。 用例:伊勢−五六「臥して思ひ、起きて思ひ、思ひあまりて」
・思い内にあれば色外に現わる
(おもいうちにあればいろそとにあらわる・ほかに〜) 心の中に思っていることがあると、それが自然に顔色や動作に現われる。 出典:「大学」 「此謂誠於中、形於外」 出典:
大学(だいがく) 中国の経書。四書の一つ。孔子の遺書とも子思または曾子の著作ともいう。もと「礼記」の一編(第42)で学問の根本義を示す。朱子の校訂によって現形に固定。明明徳・止至善・新民の三綱領をたて、それに至る格物・致知・誠意・正心・修身・斉家・治国・平天下の八条目の修養順序をあげて解説する。
・思い立ったが吉日
(おもいたったがきちじつ) 何かをしようという考えが起きたら、直ちに着手すべきである。暦を見て吉日を選ぶまでもなく、思い立った日を吉日として行なえということ。また、何かを決めたら、直ぐにでも実行に移せということ。 類:●思い立つ日が吉日●思い立つ日に日咎(ひとが)なし・日咎めなし●善は急げ 用例:謡曲・唐船「(下歌)思ひ立つ日を吉日と船の纜(ともづな)解き始め」 用例の出典:唐船(とうせん) 能楽の曲名。四番目物。各流。外山(とび)吉広作と伝える。九州箱崎の男の捕虜となっている唐人・祖慶官人(そけいかんにん)を慕って、子ども二人が唐から来て、官人は帰国することになる。しかし、日本で儲けた二人の子どもが引き留めるので、海に身を投げようとする。最後は許されて父子五人喜んで船出する。
・思い半ばに過ぐ
(おもいなかばにすぐ) 考えてみて思い当たることが多い。凡(おおよ)そは推測できる。 出典:「易経−繋辞・下」 「知者観其彖辞。則思過半矣」
・思いの丈
(おもいのたけ) 思いの全て。思慕や愛情のすべて。 例:「思いの丈を綴る」 類:●思いの山
・思いの外
(おもいのほか) 1.思い掛けないこと。 類:●意外 用例:
土左「いとおもひのほかなる人のいへれば」 2.上の句を「と」で受けて、「と思ったが意外にも」という意味で下を修飾する。 用例:談・古朽木−五「定めて影人形碁盤人形などの御馳走にこそと思ひの外、〈略〉能い物尽しの座敷狂言」 3.思い掛けず。思っていた以上に。案外にも。 用例:人情・閑情末摘花−初「女にかかっちゃア思ひの外強いかも知れねへ」 用例の出典@:土左日記(とさにっき・とさのにき) 紀行日記。1巻。紀貫之(きのつらゆき)作。承平4年(934)12月21日、任国土佐を発して翌年2月16日に京都に着くまでの見聞や、海路の辛苦のさまに、亡児への追想や歌論などをおりまぜ、女性に仮託して仮名書きで作品化したもの。 用例の出典A:古朽木(ふるくちき) 談義本。5巻合1冊 朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ) 。安永9年(1780)。・・・詳細調査中。 用例の出典B:閑情末摘花(かんじょうすえつむはな) 人情本。松亭金水。天保10年(1839)〜12年。・・・詳細調査中。
・思いを馳せる
(おもいをはせる) 遠く離れている場所や人に自分の気持を向ける。思い遣る。
・思うたり叶うたり
(おもったりかのうたり) 思っている通りになる。 類:●願ったり叶ったり
・思う壺
(おもうつぼ) 予期した状態。目的としたところ。また、期待した通りになること。 類:●思う図 例:「思う壺にはまる」 
★[壺]は、賽子(さいころ)賭博で振る壺のことで、思った通りの賽子の目が出るという意味から転じて言う。<国語慣用句辞典(集)>
・思えば呪う
(おもえばのろう) 人を愛するあまり、却ってその人を憎み、また、呪うようになることがある。 類:●可愛さ余って憎さ百倍
・面影の人
(おもかげのひと) いつまでも思い出される懐かしい人。
・重きを置く 
多く「〜に重きを置く」の形で使われ、〜を重大なことと考える。貴重と思う。重視する。
・玩具にする(おもちゃにする) 好い加減に弄(もてあそ)ぶ。相手を慰み物にする。
・面が立つ(おもてがたつ) 他に対して名誉が保たれる。 類:●顔が立つ面目が立つ
・表に金色の交わりを結び、心に是非の錐を使う(おもてにこんじきのまじわりをむすび、こころにぜひのきりをつかう) 表面は親密を装っているが、内心では相手を冷たく品評していること。
・面に泥を塗る
(おもてにどろをぬる) 面目丸潰れにする。名誉を傷付ける。恥を掻かせる。 類:●顔に泥を塗る
・面を犯す(おもてをおかす) 主君などの意に逆らうのも憚(はばか)らずに諫(いさ)めること。目上の人に、敢えて自分の考えを申し上げる。
・面を曝す
(おもてをさらす) 1.人々の面前に顔を露(あらわ)にする。 2.公衆の面前で恥ずかしい思いをする。恥を晒(さら)す。 用例:光悦本謡曲・
千手「あづまのはて迄も、かやうに面をさらす事」 用例の出典:千手(せんじゅ) 能楽の曲名。三番目物。各流。喜多流では「千寿」と書く。作者不詳。一谷の戦いで生捕られた平重衡を、手越の長者の娘千手が、歌い舞って慰める。やがて勅命によって都に送り返される重衡を千手は泣きながら見送る。
・面を汚す(おもてをよごす・けがす) 体面を傷付ける。 類:●面に泥を塗る●顔に泥を塗る●顔を潰す
・重荷に小付け
(おもににこづけ) 重荷に小付け 大きい荷物に小さな荷物を上乗せすること。重い負担があるところに、更に新たな負担が加わること。 類:●大荷に小付け●泣き面に蜂弱り目に祟り目 用例:浄・寿の門松「恋の重荷に小付して親子の哀れ打乗せて」
・重荷を下ろす
(おもにをおろす) 重大な責任、義務を果たして負担を免(まぬが)れる。心配事がなくなってほっとする。 類:●肩荷が下りる
・思惑話
(おもわくばなし) 思うところがあってする話。裏に何らかの目的を持ってする話。
・思わしい 1.心に何かを思っている状態である。 類:●物思わしい 2.思い通りで望ましい。良いと思われる。普通、下に打ち消しの言葉を伴って使う。 例:「病状が思わしくない」 3.好ましいと感じる。良いと考えられる。 用例:
兼盛集「いとおもはしかりける女に」 用例:−四九「ただ口つき愛敬づき〈略〉声憎からざらん人のみなん思はしかるべき」 用例の出典:兼盛集(かねもりしゅう) 私家集。平兼盛。正暦元年(990)。後撰集時代の代表的歌人で、三十六歌仙に名を連ねる。恋歌が多いのが特徴。「平兼盛集」。

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