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私たちはポエトリーリーディングのCD制作、詩を発表するためのあらゆるツール制作、イベントなどを行っています。

About a poem Vol.1

ときどき、いとおしんでいる自分に気がついてあわてる。
あれ? あたし、なにがこんなにいとおしいんだっけ。
無条件に手を伸ばして触れて、素敵可愛いだいすきだって口にするのは
すこし、
気分がよい。
気分のよさにまかせて、いとおしんでると
あれ? あたし、なにがこんなにいとおしいんだっけ。

そう気がついた時に立ち止まれないなら、悲惨だ。
立ち止まらずに、「だって、みんなすきなんだもん」って言い訳したそばから
世界は色褪せてしまうから。


「なんでもかんでも理由をつけていとおしむのはもうやめにしたんだ」
これは、あたしのお気に入りの詩人カワグチタケシさんの
「INTERNATIONAL KLAIN BLUE」という作品(詩)の1行。

この決意した人の言葉が あたしの胸を衝いたのは、
あたしがたくさんのものに囲まれているだけで、
何かを失くしたくなくて、何も手に出来ていなかったときを思い出したから。
失くすものもまだ持ってないんじゃないの?って、気づいたときは
ちょっと焦って、とても情けなかったな。


世界を台無しにしないために、大切なのは、
ひとつ ラインをひくことだ。
それは選ぶことに似てるけれど、
たくさんある中から具体的ななにかを選ぶというよりも、
自分の許容量や限界を受け容れることかもしれない。
だけど、素直にラインをひけるときばかりじゃなくて、
目の前にあるものに対して、自分のものにしてしまえない一種の未練と、
同時に、自分のものにできないふがいなさとか、情けなさ、を感じてしまうから、
時々、ラインをひくことをためらってしまうね。

それでも、ラインをひくことは、決して世界を限定することじゃないと思う。
きっと、自分といういれものを世界に明確に(こっそりとでも)示すこと。
抱えられるかどうかも確かめずに、手あたりしだいに手を伸ばすのは
無責任だから、ラインをひいて枠をつくって、
そうして、また自分で越えていくんだ。
そうやって、世界はいとしいものに広がっていく。
ほんの すこしずつでも。


ひいたラインで手に入れたもので、
あたしの世界は今日もいとしさを増していく。


わたしの好きな詩人

詩人ってどういう人なのか、ちょっとだけわかった

先日、もらったばかりのテープをずっと聴いている。
「Half Asleep」
左鳥さんのよむ「The Garden」がとびきりいい。
touching? ううん、もっと pierced なかんじ…って、
ぴったりくる言葉を探しあぐねて、何回も何回も聴いていたら、「エモーショ
ナルだよね」って言う人がいた。 

すきな詩人は?と 尋ねられて、誰かひとりだけを挙げることなんてできない
けど、今すぐ挙げるとしたら、断然、前述の左鳥話子さんだと思う。

彼女のことは作品しか知らない。
彼女自身に、共感したり、親近感を持つような材料(よく紹介されがちな生い
立ち等)は知らないのだけど、彼女のよむ詩は、胸のまんなかに入ってきて、
あたしの胸のまんなかから、世界を見せてくれる。あるいは、世界に気づかせ
る。その覚醒感はほかにはない。
それまで、あたしは、詩人が差し出す詩をうけとり、目の前で鑑賞するような、
お互いのポジションが明確で、近づいたって「寄り添う」くらいの関係しかと
ったことがなかった。だから、なんでかな、なんでこんなに、胸がふるえるん
だろう、って何度も、左鳥さんの詩を聴いていたのだけど、「エモーショナル
だ」っていうのを聞いて、それって素直になることなんだと思った。感情を込
める、とかいうことじゃなくて、自分に素直になること。自分にどれだけ素直
になれるか、その精度の高さ。
たとえば、「冷たい」と口にするまでに、「たったひとつ」という言葉に行き
着くまでに、どれだけ余分なものを取り去って、気持ちを傾けられたか、とい
うこと。取り去る作業は、無視することとは違う。「冷たい」や「たったひと
つ」をとりまくいろんなものを尊重して、そういったものも丁寧に取り除きな
がら、「冷たい」や「たったひとつ」まで向き合わなければ、「冷たい」や
「たったひとつ」だって、存在し得ない。 詩を書くこと、ってそういうこと
なのかもしれないけど。
それでも、多くの人が、何度も道を行き来したり、時間をかけて行き着くよう
な回路を、左鳥さんは、一度で針の穴に糸をすっと通すみたいな正確さをもっ
てやってくる。そのぶれのなさが、彼女のよむ詩があたしが息を整える前に胸
の中に入ってくる強さなのだと思う。


左鳥話子 さま

日常生活において、高い精度で素直でありつづけること、は時々むつかしいで
す。
たとえば、最悪な気分で目が覚めたって、朝が来たら電車に乗って出勤しなけ
ればならない。どんなにかなしくても、電車に乗り合わせる人たちに対して失
礼であってはならない。だから、泣き止んで、ボディショップのアイ・ジェル
でマッサージして、はなをかんで、帽子を目深にかぶるくらいはゆるされるだ
ろう。そうしながらも、素直でありつづけることは、ほんのすこし、孤独であ
ることに似てると思う。だから知らず知らずに、素直になることをセーブして、
ちょっとだけ精度を落とす日もある。(それは別段に悪いことじゃないけど。)
 
素直になることは、その孤独も知ることなのかもしれない。その孤独をどれだ
けひきうけるか、というバランスで素直になるのだとしたら、詩をかくって孤
独に踏み込んでいく勇気のいることなんだわ、ってすこしさみしくなりました。
それでも、左鳥さんの詩を聴いて、こんなふうに素直になる機会が与えられて
るのだとしたら、あたし、詩を書いてて良かったな、って思うのです。

藤坂萌子


〔執筆者略歴〕
<藤坂萌子(ふじさか・もゆこ)>
1978年生まれ。 関西在住。
2002年6月「Happy?Hippie!in Osaka」出演をきっ
かけに、詩を書いたりよんだり。
ウェブマガジン「心太」に日記コラム「モユマニ!運命論」連載中(毎月14
日担当)。9月以降「変身願望・異装万歳」「Good WORDS Only
Collection」 等に出演予定。 詳細は広報サイト(下記URL)
にてお知らせします。 
URL http://homepage3.nifty.com/unbalance
E−mail matildabox@livedoor.com
「心太-tokoroten-」 http://mypage.naver.co.jp/tokoroten/
メールマガジン「さがな。」(http://sagana.reply-jp.com/)51号掲載

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