チュッチェフ、フョードル・イワーノビチ
1803-1873

Tyutchev, Fyodor Ivanovich
Тютчев, Фёдор Иванович

チュッチェフ肖像詩人。

モスクワ大学卒業後、外交官として約20年を西ヨーロッパで送り、1844年帰国後検閲官に転じて生涯を終えた。300余篇の抒情詩を残したが、祖国の文学界と離れていたこともあって、生前は、N.A.ネクラーソフ、ツルゲーネフ、フェートらきわめて少数の理解者しか得られず、自身も詩人の自覚が希薄であった。そのため、むしろ軽妙な警句を吐く社交界の獅子、西ヨーロッパに幻滅して祖国に過大な期待をよせるスラブ派の人物として知られた。詩人としては、主としてドイツ・ロマンティズムの影響下に成熟し、その詩的世界は、限界ある人間存在を圧倒しつつも魅惑せずにはおかない生のカオス、自然、時間、不倫の恋などの諸相を、二元的・対極的形象を駆使してうたいあげ、凝古典的な語彙、スタイルながらアフォリズムに収斂するがごとり論理的構造と象徴性を有する。世紀末に象徴派の詩人たちが自らの始祖をそこに発見し、大詩人の列に加えたゆえんである。


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