啓蒙主義(けいもうしゅぎ)
enlightenment

17世紀後半から18世紀にかけて西ヨーロッパを支配した上昇期ブルジョアジーの典型的な思想で、ことばの意味からいえば、啓蒙とは、理性の光または自然の光が、中世的暗黒をやぶって、人類の進路を照らしだすことであり、したがって啓蒙思想あるいは啓蒙主義は、進歩に思想であるとも合理主義であるともいわれる。 啓蒙思想は、ルネッサンスおよび宗教改革が旧秩序を解体したあとをうけて、理性を原理とする人間の平等性と一体性と進歩とを主張するものであり、政治的には自然権および啓蒙的専制の思想をもって、宗教的には寛容と理神論=自然宗教をもって、歴史的には進歩とともに古代および自然の崇拝をもって特徴付けられる。

啓蒙主義を代表する思想家としては、まずフランスでは、デカルトからベイルにいたる先駆者をもった18世紀の思想家群があり、そのため啓蒙思想の代表者として、ヴォルテール、モンテスキューからコンドルセにいたるこのフランス思想家群があげられることもある。

この思想が西ヨーロッパから周辺へ移殖拡大されていくにつれて、多様性は、挫折をも含めて、増大するのである。例えば、ロシアでは、エカテリーナ女王がヴォルテールやディドロの保護者であったにもかかわらず、土着の啓蒙思想家は一般に弾圧の対象であったし、日本では、明治初期に主として命六社の人々によって輸入された啓蒙思想は、明治10年代にはすでに教育の場から排除され、人権論は国権論に席をゆずるのである。現代アメリカにおける自由の守護者意識は、啓蒙主義の残骸であるともいえよう。