ロマン主義の時代

徒弟時代にもたとえられる18世紀ロシア文学からの脱皮は、ロマン主義の旗の下に行われた。古典主義の狭い文学規範からの脱出は19世紀初頭のナポレオン戦争の結果生れた民族的覚醒によってはずみをつけられた。1810年代、カラムジーン派に属するジュコフスキーV.A.Zhukovskii、ビャーゼムスキーP.A.Vyazemskiiらがロマン主義への道を開き、プーシキンA.S.Pushkin、ルイレーエフRyleevらが加わる形で1820年代にロマン主義は最初の高揚期を迎える。1825年のデカブリスト反乱はむしろロマン主義的イデオロギーを強めることになり、これ以後のロマン主義はそれまでの文体論議中心の文学的現象から脱し、より思想的哲学的色彩を強めていく。西欧派対スラブ派の論議、チュッチェフレールモントフに代表される思索的哲学的傾向はその所産である。詩の黄金時代を開いたロマン主義は30年代には散文の時代を迎える。プーシキンに代わってロシア文学の中心となったのがゴーゴリである。40年代初頭ゴーゴリの影響下に‘自然派’と呼ばれる文学グループが形成された。この流派は世界観的にはまだロマン主義に属しているとはいえ、文学的タブーをいっさい取り払って低級卑俗なものを含め、細部描写に関心を寄せる点でリアリズムへの架橋の役を果たした。リアリズム作家グリゴロービチD.V.Grigorovich、ネクラーソフN.A.Nekrasov、ドストエフスキーらもこの派から出発した。


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