「喜多嶋隆って鯵好きなのかな、魚喰うシーンだと鯵がしょっちゅう出てくるけど」
ある日友人が言いました。

「ほお?」

開きはなんと年間で4億枚も食される大衆魚「鯵」
管理人「窯猫」は猫であるので当然のごとく魚喰いであります。

ということで鯵のお話。

鯵と一口にいっても一般的なマアジの他にシマアジ(高級魚)ムロアジなどがいます。
ムロアジはクサヤの材料だと思っている方が多いと思いますがムロアジのクサヤは稀です。
実はクサヤムロという近親種が使われているんですね。ちなみにシマアジさんは料亭か鮨屋に直行です。



鯵好きもそうでない人も、ゆっくり堪能してくださいネ。

  ―喜多嶋作品から鯵を考える― 

さて喜多嶋作品ではひんぱんに登場する鯵ですが
たしかに 氏も相当な鯵好きなのだろうと思われます。
食し方も心得ておられるし、作品の中で鯵刺しの登場するシーンではその描写の見事さに思わずツバをごくり。




魚が新鮮なのでショウガはつかわない。
薬味は、刻んだ葱と唐辛子だけだ。醤油に一味唐辛子を散らす。
刺身と葱をそこにつけ、口に放り込む。

この時期の鯵には、しっとりとした脂がのっている。けれど、くどくはない。
口の中に残らない脂だった。後の重いものを何も残さない。
風のような味、風味とは、こういうことをいうのだろうか。。。   「ドラゴン・フィッシュを釣りあげろ」



どうです。思わず早起きして市場へGO
もしくは竿を片手に飛び出していきたい衝動に駆られるはずです。
いやぁたまりません。
鯵刺しに喜多嶋作品ではジントニック、ビールがよく合わせられます。
これも正解。昔に比べて舌の塩梅が変わってしまったのか今や日本人は猫も杓子も脂のノリ。
しかし少なくとも鯵のさっぱりした脂、旨み、くせのないけっこうな味わいにはくせの強い酒ではいけません。
空も陸も静かなるものなのです。

とまぁ食欲をそそる鯵なのですが喜多嶋作品にはとんでもない鯵が登場します。

それは。。。

コマセ太りジャンボ鯵 (天使のリール)

おぉぉこれはどんな鯵だ。




体長40センチ以上ありそうな大きく太った鯵だった。
<あれっ>と思った。魚体が妙に柔らかいのだ。
それでも、刺身にしようとしはじめて、さらに驚いた。
身がぐずぐずに柔らかくて、さばいているうちに崩れてしまうのだ。
そして、出刃包丁には、脂が、べったりとついた。 「天使のリール」





しかし、もともと鯵はけっこうでかくなります。防波堤でのサビキ釣ではせいぜい20cm止まり(回遊性)でしょうが
九州沖合いの島付近では60cmを越える鯵(地付き)が釣れます。
釣り方は針は一本。コマセなど使わないけっこう男前な釣りです。
しかもより男前を目指す「窯猫」、電動リールを拒否。80mの水深を体で思い知りました。。。巻けども巻けども。。。
泣きません。釣りという芸術は忍耐を要求するわけですから。
上がってきたのはハマチかと見まごうばかりの大物、「太かぁぁ」船上で捌いて刺身、「うまかぁ」
まぁジャンボ鯵がすべてコマセ太りというわけではないんですね。
しかし味はやはり大味になります。
ちなみに回遊性は背が黒、腹は銀。地付きは背が青、腹は金色です。一応の目安として。

しかししかし、窯猫はもっと恐ろしい鯵を知っています。 まさに恐怖の極みです。ふっふっふっ。。。

それは。










ダンゴ太りジャンボ鯵

釣りに関して節操のないかま猫は筏のチヌ(黒鯛)釣もやります。
昔は赤土のダンゴを使っていましたが汚染の観点からヌカ団子を使います。
アケミ貝をばんばん撒き、餌をヌカ団子で包み煙幕をはり、目のよいチヌを釣るのですがそのダンゴに鯵がよってきます。
サビキなんぞ下そうものならそれこそ無尽蔵に釣れます。しかしこの鯵喰えません。
身はぐちゃぐちゃで異臭のする脂、見かけでは判らない良型の鯵。
一度捌いたことがありますが腹からヌカが出てくるんですぜ、うぇぇーっ。
コマセはまだ餌なので「養殖物の鯵だわなぁ」と想像がつくと思いますがこれはもう魚ではありません。
喰ったら死にます(たぶん。。。)
あ〜思い出しても気色悪りぃ。
ただし誤解の無いように、魚に罪はありません。
↑脚色なし


新鮮な鯵の写真で心を癒して。





気を取り直して料理の話を。

新鮮な鯵はたたきにすべきではない!

これも喜多嶋作品の中で頻繁に登場するフレーズです。
身を小さくたたき、薬味とともに味わう「タタキ」非常にポピュラーでおいしい料理です。
たしかに魚本来の旨味を味わうということになると刺身に軍配が上がるでしょう。
しかも新鮮な素材ならなおさらですし刺身は間違いなくきわめて高度な料理です。

しかし窯猫はあえて言います。「タタキ」では甘い。中途半端だからダメなんだ。
もっとたたけ!たたけ!たたけばたたくほどうまくなる。そんな料理がある。


ご存知の方も多いと思います。房総漁師の大傑作!!




なめろう  妖怪の名前ではない


あえて説明させていただきますと新鮮極まりない鯵をタタキにして味噌とネギ、生姜などを加えさらに細かくたたいたものです。

たたけばたたくほど美味くなる。皿までなめたい「なめろう」

では登場していただきましょう。




↑妖怪(目玉親父)ではない。。


自家製のためパッとしませんが窯猫の鯵料理一番のお薦めです。
ちなみにこれをアワビなどの貝殻に盛り焼いたものが鯵の「サンガ」焼きです。
「サンガ」も喜多嶋作品に良く登場しますね。
どちらも新鮮な素材が手に入れば挑戦していただきたい料理です。

なんだかわけの分からない内容になってしまいましたが、とにかく鯵は美味いんですよ。


新井白石先生曰く 「鯵とは味なり」 う〜ん深いですね。




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