
北風がとても冷たい季節に入ってきた(これを書いたのは冬)。北風が吹くのは日本だけではない。地球上空の大気の循環により、世界各地でさまざまな方向の風は吹く。当然ギリシアにも、古代から風はあった。風とは何か?当然生じてくる超人間的な問いに、人々は「神」の姿を重ねる。そうして登場したのが、「ギリシア四風大神」である。
ノトスは南風。霧と雨を司る風神である。
エウロスは東風。ギリシアにおいてあまり東風は吹かなかったのか、エウロスについての記述はあまり無い。
前二者と比べて、西風と北風は性格がはっきりしている。
西風のゼピュロスは非常に温和な性格であった。恋の神エロスが始めて恋をした、プシュケという娘が神界へわたるとき、橋渡しをしたのはゼピュロスである。また、その優しい性格が気に入られたのか、花の女神フローラの恋人でもあった。花と風…なんとも絵になる話ではないか。
対して、北風のボレアスは粗暴な性格であった。海戦が起こると姿を現し、船を転覆させるほどの嵐を呼んでは狂喜する。また、高校の世界史で習う『ペルシア戦争』にも彼は協力していたらしい。あるときにはギリシア軍の追い風となり、あるときにはペルシア軍を壊滅させ、アルテミシオンの海戦でギリシア軍に快勝をもたらしたという。もちろん伝説に過ぎないだろう。大学受験などには出ないので安心していただきたい。
さらに彼は、人様の娘を強奪し、二人の子をはらませるという暴挙をやってのけた。そうして生まれたのがゼテス・カライスという有翼人であった。彼らはハルピュイア(ハーピー)を退散させる力を持っていたが、ギリシア最強の英雄ヘラクレスによって殺されてしまった。
…困ったことに、風の神に関するエピソードは思ったより少なかった。本当は『自然界の神』という題にしようと思っていたのだが、それはそれで書くことが多すぎてまとまらない。まぁ、他のものが長文であった分、たまに短いことがあってもいいだろう。