
実は、砂糖と小じわと言うのは密接な関係があるのですよ。今回はこの二つの関係について取材しました。
小じわのでき方
コラーゲン線維という言葉をよく聞くと思いますが、このコラーゲン線維の老化が小じわのできる原因です。コラーゲン線維は、線維芽細胞が作る基本的なヒトを構成する蛋白質として、ヒトの持つ蛋白の約50%を占めています。
若いヒトから採取した皮膚と、高齢者から採取した皮膚を顕微鏡で見比べると、若いヒトの皮膚では真直ぐなコラーゲン線維の走行が、高齢者の皮膚では波打っているのがよくわかります。つまりコラーゲンの走行が波打つ事が皮膚の老化の一つの原因です。波打つ原因となるのは、コラーゲン線維同士の結合です。
果糖とブドウ糖が結合したものが「砂糖」ですが、果糖はコラーゲン線維の老化を引き起こす作用が非常に強い糖であるため、砂糖の取り過ぎは結果として小じわを増やす原因となります。
コラーゲン線維の老化
糖とアミノ酸の反応をメイラード反応と呼びます。これは、糖がアミノ酸と溶液中で反応する性質に基づく反応です。メイラード反応は蛋白を老化させます
アミノ酸が多数結合してできた蛋白中の一部のアミノ酸と糖の間でもメイラード反応と同じ反応が起きます。メイラード反応の結果として、糖が付いた蛋白(糖化蛋白)は、本来の蛋白質の持つ生理的な働きを失います。そこまで行かなくても生理的な機能(作用)が落ちる可能性があります。つまり、メイラード反応が起きると、コラーゲン線維(蛋白質)の老化が始まってしまうのです。さらにメイラード反応を起こしたコラーゲン(蛋白質)同士が結合して終末糖化生成物(AGE:Advanced Glycation Endproduct)という物質が最終的に出来ます。
小さな変化なのでAGE状態のコラーゲンができても初めはわかりません。ヒトは、AGE分解酵素をその組織中に持っていないので、時が立つと大きな変化、すなわち小じわの原因となります。AGE状態のコラーゲンは、年を取るにつれて、体が固くなる、すなわち関節の固さにもつながります。残念ながら現在の科学ではAGE状態のコラーゲンの乱れた走行を元に戻すことができません。
問題は果糖!
砂糖は、ブドウ糖と果糖が結合したものです。消化管は砂糖をブドウ糖と果糖に分解して別々に吸収しますので、砂糖を取ることは大量の果糖を取る事と実は同じことになります。なぜ果糖摂取が問題になるのか…。それは、果糖のメイラード反応の起こす作用は、ブドウ糖の約300倍もあることです。
砂糖を控えて老化の防止
例えば、砂糖(または果糖ブドウ糖液)を含んだ清涼飲料水をがぶ飲みした場合はどうなるでしょうか?
前にも述べた様に、砂糖はブドウ糖と果糖が結合したものです。消化管は砂糖を果糖とブドウ糖に分解して別々に吸収します。という事は、砂糖を大量に摂取した時は、消化管は速やかに砂糖を分解・吸収して、その結果として高果糖血症+高ブドウ糖血症になります。
結局のところ、砂糖の大量摂取は長期的にみると生体内のメイラード反応を加速する事になってしまうのです。砂糖の大量摂取は、老化の予防の観点からも控えたいものですね。
台所でメイラード反応を確認してみよう!
それでは、メイラード反応を台所で確かめてみましょう。必要なものは、果糖(またはブドウ糖)と蛋白です。
<糖>
果糖ブドウ糖液が入っている清涼飲料水などをご用意ください。鍋にペットボトルの中身を入れて煮詰めます。強火でやると糖分が炭化して色がつくので、弱火で煮詰めます。適当な所で火をとめます。冷えたらガラスの容器に移します。これで果糖ブドウ糖溶液の完成です。
<蛋白>
卵を割って白身と黄身を分け、白身を使います。卵の白身の蛋白の主成分を卵白アルブミンと呼びます。
白身と果糖ブドウ糖溶液をよく混ぜます。後はラップで蓋をして冷蔵庫に入れます。数日では変化しません。
2週間もすると混合液が黄色から茶色に色づいてきます。メイラード反応の結果として、卵白アルブミンが糖化して糖化卵白アルブミンとなって、着色したものです。この茶色に色づいたものが老化というわけですね。
メイラード反応と老化のまとめ
コラーゲン線維の老化は、小じわの増加だけでなく、顔のくすみにも関係しています。
例えば、目の水晶体は透明ですが、加齢と伴に蛋白が糖化して着色してきます。白内障の手術で片眼に眼内レンズを入れた場合は、手術をしてない方の水晶体に着色があるために、色の左右差に気付くのもメイラード反応が関係しています。
老化を促進させる原因となるメイラード反応を極力避けるためには、砂糖や果糖の摂取をなるべく避けることが大切です。