OFF会リポート!
「シュガー大帝パトリオットOFF!!」

〜君、死にたもうなかれ…〜

2003/7/20〜21 

なんか、久々にOFFレポかくっす。
という事で、何とか無事に終了しましたシュガーボーイ氏帝都来襲OFF!
ひさーしぶりにシルファ節のOFFレポートにお付き合いくださいませ。

1:発端
それは、シュガーさんの一言から始まったのだ。
「帝都いくねん。」

2:迎撃
って、事で関東近郊のモデラー仲間を集めてOFF開催の運びと相成りました。
参加者はシュガーボーイ氏、べー氏、北上氏、K−太郎氏、ぼけひよこ伍長氏、シルバーファルコン、
めこむ氏、エイチアイ氏、ゲンナイ氏、ケンTYPEα氏、そしてシルファの息子、隼将(6歳)<多分、年齢順。
これらの綺羅星の如くのメンバーで迎撃OFFは開催される事となるのだが…。

3:シルファ家 朝。
7月20日。天候は曇り。今にも雨が落ちて来そうな鉛色の空であった。
前夜、思わぬ深酒をしてしまった俺は午前4時、自分の寝床に潜り込んだ。
再び、目が覚めたのは2時間後の午前6時。
出かける準備すらしていなかった俺はせっせと作品を梱包する。
次に、空いたペットボトルへ製作年代不明の梅酒を詰める。
つづいて、リュックに着替え、作品、梅酒、夢幻とOFF会グッズを詰め込みんで、準備万端!
TV前に鎮座して「555」を観る!
その頃、隼将はグスグズと着替えている。
やがて、カミサンから「朝飯!」の声が掛かり、階下へ。
新シルファ家はとにかく広い、なんせ8LDKのバス・トイレ付きだ!(笑)
居間にたどり着く前に「555」の放送が終っちゃうかもしれない!
俺はダッシュした。
到着!所要3.2秒。
さて、555も無事終了し、後は出発するだけなのだが、隼将は相変わらず愚図だ。
飯すら食い終わっていない。
つーか、ナージャ見てやガル。
「早くしないと置いてくぞ!」
というや、隼将は「お腹イタイ、頭がイタイ」などと言い出す。
朝飯食いたく無い時の常套手段なのだ。
するとカミサンの逆鱗に触れる。
「アンタ!御飯食べたくないからって!お腹イタイなら、パパと東京行っちゃダメ!今日は寝てなさい!!」
うわぁ…。ゴジラも裸足で逃げ出すね。(っていうか、靴履いてないだろ)
隼将は泣きそうな顔で俺の顔を盗み見る。
しかし、こればっかりは隼将が悪い。
カミサンは自分の言葉に興奮し始めて益々、怒鳴り散らす。
「ほら!早く!アンタは御飯食べないから、風邪引くのよっ!そんなだから…」
こうなると修羅場だ。
カミサンの怒りは止まらず、隼将は泣きだし、愛美はこれ幸いとばかりに自分の好きな事をしている。
挙げ句に、カミサンの怒りは愛美にも向かい、愛美も泣きだし、阿鼻叫喚地獄と化すのである。
(あぁぁ。当分、出らんねぇぞ…)
そう思いながら、俺は一服つけ上着を羽織る。
そんな姿に隼将は益々、「置いて行かれる!」という危機感を募らせ、グズグズと泣き出す。
「ほら、もう行くぞっ!」
隼将に声を掛け、カミサンをなだめすかし、なんとか家の外に出る。
小雨がぱらつき出していた。

4:高速道路にて
前々日、会社で「高圧・特別高圧電気取扱安全教育」なる研修を受けていた俺は会社の車で自宅へ直帰した為、
会社の車を使用する事とした。
無論、服務規程違反である(笑)
助手席に座った隼将は既にニヤニヤとしている。
「お前、ママを怒らせるなよ。」
俺が言うと、隼将は「ハーイ!」と元気よく、調子だけは良い返事を返す。
荷物を積込み、エンジンスタート!
向かうは千葉市中央区の俺の会社だ!
ところで、会社の車を会社の燃料で走らせる俺も流石に高速代は自腹を切った。
実は、ETCカードなるものも持っていて、コイツを使えば高速代でさえ会社持ちとなる魔法のアイテムなのだが、
流石の俺でもそこ迄はしないさ。
…と、思っていたら、隣のレーンをカットんで行く見慣れた車が居た。
私服を着込んだ家族連れの上司だった。
無論、会社の車であった。
ええと、アナタ、高速代も会社持ちですね?

…しまった。
穴川でおりときゃ良かった…
館山方面へ分岐した途端に大渋滞…。
しかも、車のナンバーは全て他県ナンバー
練馬、品川、所沢、熊谷…
…って、俺も水戸ナンバーだったよ…
しかし、一体、皆ドコへ行くんだろう?

なんとか、渋滞を耐え忍び、松が丘インターへ。
隼将は飽きちゃって、助手席で渇ききった干物みたいになっている。

5:久しぶりの電車
隼将の人生で多分、4回目の電車。
まあ、とにかく、電車には縁の無かった我が家。
つーか、茨城在住時は近所に路線そのものが無かったから。

蘇我といえば、その昔、かの西村京太郎御大が殺人トリックに使った駅である。
蘇我からは内房線、外房線、京葉線と色々なルートで東京にイケルのだ。
隼将に特急に乗せてやりたいなぁ…とも思ったのだが、贅沢は禁物。
いや、これから贅沢しまくるのだから、多少は我慢、と京葉線の各停で行く事とする。
車内に乗り込み、早速俺は京極を取り出し、隼将は窓の外を眺めている。
暫くすると…
「ぱぱぁ!次は、舞浜だってよ!」
デカイ声で隼将が叫ぶ。
「あぁ!ディズニーランドだ!」
案の定、大絶叫だ。
ちょっと恥ずかしかったが、隼将は喜んでいる様なので、そっとしておく。
そして…
「パ、パパァ!ディズニーランドの隣に…ふ、富士急だぁ!」
「えっ?ええっ!???」
流石に俺も驚いて、窓を振り返る。
「…葛西の観覧車かよ…富士急じゃねーってば。」
と゜うも、富士急で乗った観覧車が忘れられないらしい。

やがて、京葉線は東京駅の最深層へのトンネルに突入する。
隼将がつまらなさそうに前を向く。
「パパァ。何も見えない…」
仕方無いだろう京葉線は東京駅14番線、一番地下深いホームへ行くんだもの。

最深部のホームから延々と続く昇りのエスカレーター。
まるで松本零士の「銀河鉄道999」のトレーダー分岐点の様だ。
隼将は動く歩道に嬉々として飛び乗り、青いリュックをフルフルと揺らす。
隼将はニッコリと俺の顔を見上げ一言言った「お腹空いた。」
俺の子だのぉ。

6:秋葉原、汝の名は…
腹八分目程度で再び移動を開始した親子。
デザート無しの隼将はちょっと不服そうだったが、緊急用として携帯電話をリュックにぶら下げてやると御満悦な表情だ。
隼将は携帯の画面を眺めて…
「うわぁ!パパ!今、12時23分だ!」
「おお!そうか、急がなきゃな!」
「うん」
東京駅の通路を馬鹿親子が行く。
「うわぁ!パパ、今12時24分た!」
「おお!そうか、急がなきゃな!」
「うん」
「うわぁパパ!今、12時25分だ!」
「…もういい。」
「え?」
そんなこんなで秋葉原到着。
早速、俺は最寄りのロッカーに荷物を押し込む。
ふぅ、やっと軽くなった…。
シュガーさんに電話する。
実は、シュガーさんは既にアキバへ到着しているらしい。
電話連絡するとすぐ近くに居るとの事。
俺と隼将は暫く、駅前の煩雑な人々を眺めて待つ事とする。

…?
何やら怪しげな人影発見。
と思ったら、案の定、シュガーさんだった。
メッシュのアミアミベストがやらしい(笑)
そういや、高速の酒々井PAで裏ビデオ売ってたオヤジもこんな姿…。
あ、いや。なんでもないっす。
3年振りの邂逅。あの頃、3歳だった隼将も小学生。
いやぁ、実に時の移ろいとは早いもんですな。
そして、シュガーさんと一緒に居るのがベーさんだ。
べーさん、お初です。
チャットではお話しているものの、御本人とは初めて。
こちらはシュガーさんと対照的に物静かな印象の御方でありました。
さて、取り敢えず、4人は秋葉原の電気街口に移動。
かねてからの打合せ通りの場所に落ち着く。
そして…。
「こんちわ〜」
にこやかな笑顔で近づいて来る好青年。
エイチアイ氏である。
俺はういっす!と声を掛けると、エイチ氏も「隼将君、こんにちわ〜」と眩しすぎる程の笑顔を振りまく。
しかし、シュガーさんの表情が冴えない。
冴えないというか、反応していないのだ。
「ああ、こんにちわ。」
なんとそっけない返事を返すのか。
そんなシュガーさんの態度に俺は少々戸惑った。
(ま、まさか…)
シュガーさんはエイチ氏を横目にキョロキョロと誰かを探す素振り。
(いや、まさか、そんなハズは…)
益々、俺の不安が募る。
そして、再び、シュガーさんの表情を盗み見る。
すると、シュガーさんの視線が一点を凝視している。
そう、彼はエイチ氏を凝視しているのだ。
そして、シュガーさんはついに禁断の一言を発してしまった!
「お、お前、エイチか!?」
チュドーーーーーーンッ!
なんと、シュガーさんは眼前の人物をエイチアイ氏と認識していなかったのである。
4年前、帝都OFFで出会い、3年前は淡路まで乗り込んで行ったというのに…。
しかし、それは、まあ、仕方あるまい…
エイチ氏が変貌しすぎたのだ。
そうなのだ。3年という年月は隼将はおろか、エイチ氏までも変えてしまったのだ。
いや、俺は予備知識として言っておいたんだけどなぁ…。

さて、遅刻組、寝坊組と様々なメンバーの人間模様を踏まえ、取り敢えず、全員−1名が揃った。
シュガーさん、ベーさん、K−太郎さん、伍長殿、めこむさん、ケン君、俺、隼将。
尚、北上さんは作品の最終仕上げ時点が発生し、多少遅れるとの事。
我々は先ず、ラジオ会館を襲撃する事とする…。

7:我に架せられし試練。
ボークス。
その店内の豊富な在庫は子供の探究心を刺激して止まない。
かといって、エロフィギィアは隼将には見せられない。
と、杞憂していたら、隼将は反応せず。
こいつぁ、とことん「ガンダム」のみらしい…。
今回の隼将の狙いは「1/60ストライカーウェポンセット」
クリスマスの1/60ストライクを完成させた彼はストライカーウェポン三種も欲しくなってしまったのだ。
しかも彼は計画的に昨晩、バア様にスリスリして1万円奪取しているのだ。
しかし、店内をグルグルする隼将はプリプリと怒っている。
何を怒っているのかと思えば、「ウエポンセット」が無い!と怒っているらしい。
確かに、身長110センチソコソコの彼にはちょっと気付かない所にレイアウトされている。
だけど、見つからないからってプリプリしても仕方ないじゃないか。
「ほら、ココにあるよ。」
そう言って、指さすと、隼将の表情が一転、ニンマリとする。
この笑顔を見ると、ついつい、甘くなっちゃうんだよなぁ…。
とにかくデカイ箱を取り上げ、隼将に渡してやる。
隼将は自分の身体の2/3程もあるデカイ箱を嬉しそうに抱き抱える。
7,000円のキットが2割引きで5,600円。
お買い得ではあるけど、ちょっと待ってくれ…。
この時、既に俺は自分の背負わされる試練を予感していた…。

ボークスはキットこそ2割だが、その他の商品は値引き無し。
俺としては、ちょっと高価なエッチングパーツ等が欲しかった為、どうしても買物はラオックスでしたかった。
しかし、子供の欲望は押さえる事は出来ず、隼将は嬉々としてウェポンセットをレジへ持っていく。
おばあちゃんから貰った1万円札を誇らしげに渡すと己の物となったプラモを誇らしげに担ぎ上げたのだった。
だが、そんな隼将の運搬作業に対する決心などは10分持たない。
次の移動時には「パパ、持ってて。」
くぅぅ。やはり、やはりそう来たか。息子よ…。
まあ、馬鹿みたいにデカイ箱なので、持ちあるいて転んだり、転んでキットの上に乗り掛かって、中身を壊しても
ナンなので、素直に持ってやる事にする。
と、北上さんがここで合流。
メンバーが全員揃った事となる。

一行は、ラジオ会館を出、ラオックスホビー館へ。
ここで、俺は日頃世話になっている、しかも前日には「お誕生日祝い」として、1/100フリーダム&ガンダムトランクスを
くださった藤田さんへ御中元と称してディティールアップパーツの詰め合わせを購入。
続いて、エッチングパーツ、HGジャスティス、SD−FAガンダム、寒冷地仕様GMを購入。
そういや、寒GMはメンバーがこぞって購入。
メンバーの心中としては、めこむ氏の「1個師団買い」が期待されたのだが、それは叶わなかった。
ちなみにK−太郎さんは「学卒あがりの小隊長はやられちまったぜ小隊買い」であった。
全員がめこむ氏に非難の声を上げるが、めこむ氏にはいい迷惑だあったろう。
ただ、個人的には越後の買物王との一騎討ちが見たかったのも正直なトコロ。

ラオックスで満足いく買物を済ませ、更に荷物が膨れ上がった俺と一行は次の目的地、アソビットシティへ。
ここは本年度のG王会場となる店舗であるが、エントリーを忘れていた俺には何ら関係の無い建物だ。
8F、プラモフロアーへ。
ここまでで「ガンプラ」については、全員がほぼお腹イッパイ状態。
まぁ、行く店、行く店、みんな、品揃えもレイアウトも似た様なモンだしね。
この感想は翌日のあの方の店舗へ行く事で実感する事となる。
プラモ、マテリア調査もソコソコに、一行は2Fの店内カフェへ。
この後の段取りとして、既にシュガーさんがイッパイイッパイになっていた為、早めにホテルへ
チェック・インする事となった。
という事で、俺は一旦、秋葉原駅へ戻り、自分の荷物を取りにいく事とする。
ケンに隼将と荷物の面倒を頼んで、単身、秋葉原駅へ戻る事とした。
てくてく。てくてく。
人って、何故、狭いトコがすきなんだろう?
今日はホコ天で広い道路は目一杯、歩けるハズなのに、みんな歩道をゴチャゴチャと歩く。
と言って、俺もそのゴチャゴチャ組なんですが。
さて、ロッカーに辿り着き、リュック×2+紙袋×1を取り出した俺は再び、アソビットシティに向かって歩く。
今度は広い方を歩く。歩く。歩く…。
飽きた。
同館へ到着、2Fに辿り着くと銘々がお茶をしている。
俺が到着するとケンはお役御免とばかりにエロ同人誌を探しに飛び出していった。
隼将はケンにアイスを奢ってもらったらしい。
すまんな。ケン。
しかも、先程のラオックスでクイックモデルデュエルまで買って貰ったみたいで、隼将がパッケージと格闘している。
いやぁ、ホントすまん、ケン。
でも、エロ同人誌&フィギィア収集はホドホドにしといた方が良いと思う。
赤い玉でちゃうから。
さて、一服もソコソコに一行は再び、ノロノロと宿を目指して歩き出す。
それにしても、俺の大荷物はこの時、リュック×1,紙袋×3となっていた…。
ああ、我に架せられし試練よ…。

8:事件は会議室で起こっているんじゃ無いっ!
稲荷町。徒歩5分にそのホテルはあった。
曇天の空が背景に良く似合うホテルだった。
ツ○バホテル。
年代を感じさせる外壁。
一歩踏み入れるとまぁ、そこそこにビジネスホテルだ。
我々は銘々でチェックインし、カードキーを手にそれぞれの部屋に向かう。

狭い階段を3階まで上がると、一層に異様な雰囲気を感じる。
整然と並んだ木目の扉。
廊下がぼんやりとした照明の中に浮かび上がる。
なんだろう。この不自然さは…。
俺は言い様の無い何かを感じていた。

部屋割りは誰が決めたと言う訳でもないが、以下の通り。
シルファ親子。シュガーさん&ベーさん組&K−太郎さん組。伍長&エイチ氏組。ケン&めこむ氏組。
間違ってたら、指摘よろしく。
俺はあてがわれた自室に入ると、やっと大量の荷物から解放された。
ふぅぅ。と一息つくと、とにかく一服付ける。
一服付けるとトイレに向かう。
このトイレがまた異様。
ドアを開けると、三つの洗面台が並ぶ。
一番奥に斜めに仕切られた扉。
扉を開けると様式便座がポツンと一つ。
人が入って、便器の前に立つと扉が背中に当たるほどの狭さだ。
トイレというか、洗面所なのだろうか…?
用を足し、トイレから出ると、隼将が部屋から出てくる所だった。
「パパァ!」一人で怖くなったのか、廊下をパタパタと駆けてくる。
(あっ!)
俺は慌てて、部屋の扉に飛びつく。
バタン。シマッタ。
このホテルは見た目に似合わずオートロックドアなのだ!
うわぁ…。閉まっちゃったよ…
と思ったら、カードキーは胸ポケットに入ってました。ヨカッタ。

部屋に戻り、隼将とテレビを見ていると、入れ代わりに皆が遊びに来てくれる。
そして…
「シルさん、寒ジム見せて〜」
めこむ氏がやってくる。
「はいよ〜。袋の中にあるから、出していいよ〜。」
めこむ氏は寒ジムを購入しなかったので、パーツ構成等をチェックしたかったらしい。
俺はTV画面から目を離さずに煙草をスパスパしていた。
と。
「あひゃあ!」
素っ頓狂な声。
「シルさん、もう完成しているよ。」
「はあ?」
何の事やら判らない俺。
視線をめこむ氏の手元に向ける。
・・・・?
あれ?
買ったばかりのキットの中身が無い。
無いというか寒ジムが完成体に化けて張り付けられている。
ええと。
事態が全く飲み込めて無い俺。
そこへ伍長&シュガーさんが入って来る。
「ありゃあ!めこむ、開けちまったか。」
「ネタがネタで無くなってしまったやないか。」
どうやら、アソビットで俺が席を外している時に、中身をすり替えたらしい。
んで、箱を開けた俺がビックリ!という段取りだったらしいのだが…。
めこむ氏の偶然の行動でバレてしまったという訳だ。
(この辺りは伍長の「チキン オンザ ランのOFFレポを併読されると一層楽しめまする。)

チェックインして三十分程が経過しただろうか。
俺の部屋にフロントから電話が掛かってくる。
「あのですねぇ、予約した人数とお金もらった人数が合わないんですよ。」
とフロントのオヤジが言う。
予約した人数は10人。
宿泊メンバーは9人。
なるほど、一人足りない。
そういや、居ないわ。
ナリタモノ君。
彼は直前で体調を崩し、キャンセルとなったのである。
その事を伍長に報告し、伍長と俺でフロントへ向かう。
フロントでは外人客を連れた2〜3人のグループがフロントのオヤジと揉めている。
「ここは、現金前払いなんですよ!」
オヤジが言うと、ガイジンさんは何やら納得出来ないという素振りを見せる。
暫く、すったもんだした後、そのグループは出て行った。
そして…。
一人のオヤジがチェックインしている。
その隣に若い女性が佇んでいる。
(お?不倫カップルか?)
と俺はしばし、その二人を観察する事に。
と、先にフロントに立っていたオヤジはスタスタとエレベーターに乗ってしまった。
その後、残された女性がフロントのオヤジと何かを会話していると別の男性が現れる。
女性は歳の頃、22〜3位か。後から来た男性と共に、エレベーターに乗って消えた。
この男性にしても、ちょっと年配風で、女性とは釣り合わない印象を俺は受けたのだった。
人が居なくなったフロントで俺と伍長は一人、体調不良で欠員となった事を告げると、フロントのオヤジは快く了承してくれた。
最悪はキャンセル料、若しくは一人分の請求をされると覚悟していた俺には朗報であった。

伍長と俺は再び、それぞれの自室に戻る。
さしあたり、心配事も無くなったので、俺は隼将に声を掛ける。
「隼将、風呂はいろっか。」
「うん。」
隼将の下着を着替えさせ、タオルを掴むと、部屋を出る。
エレベーターホールに立つと、一基しか無いエレベーターがすんなりと降りて来る。
扉が開くや、一人の男性が飛び出して来る。
「あの、ここ3階ですよ。」
俺が声を掛けると男性は「ああ。」と言って表示を確認し再び、エレベーターに乗り込んだ。
風呂のある1階に到着。
扉が開く。
俺の眼前に異様な光景が広がった…!

「これから、現場に入ります。」
俺の目の前には一人の若い警官が立っていた。
フロントの奥の出入口ではパトカーの赤色灯が回っている。
(な、何事?)
呆気に取られた俺はつい、一緒にいた男性に声を掛ける。
「あの…、何かあったんですか?」
すると男性はすっと、振り返り、小声で言った。
「何階か判らないんですけど、上の方で、精神障害者らしいんですが、首を吊ったらしいですよ…。」
「ええっ!?」
男性はそういうと、フロントの方へ駆けていく。
警官は俺達と入れ違いにエレベーターに乗り込んで行った。
隼将は不思議そうに俺を見上げている。
俺は心の動揺を見せまいと、隼将の背中に手を回して、風呂の方へ誘った。

風呂場へ着くと、先客が居る。
シュガーさんとべーさんだった。
俺は今、見聞した事を報告した。
「伍長、キメてくれるな〜」
シュガーさんが苦笑いしながら、絶叫する。
俺はハハハと笑いながら、服を脱いだ。
頭の中では色々な思いが逡巡する。
(このタイミングで風呂入って、出る頃のタイミングでホトケさんが降りて来るよな…)
なんとしても、隼将とホトケさんの御対面だけは避けたい。
俺は湯船に浸かりながら、外の音に集中する。
パトカーのサイレン、続いて救急車のサイレン。
隼将は広い湯船の中をプカプカと浮かんでいる。
誰一人として風呂に入って来る人物は居ない。
異様な雰囲気が風呂場まで侵入してくる様だ。
「もう、あがろう。」
潜水艦ごっこにも飽きた隼将が俺を見る。
「そうだな。」
外はホトケさんの搬送が終った頃だろうか…。
俺はノロノロと脱衣場へ向った。
そこへ。
「うへぇ…。」
鳥口君登場。
いや、嘘。
浴衣姿に着替えためこむ氏&ケン君ペアが登場。
「いやぁ、見ちゃいました。」
ボソリとめこむ氏が呟く。
「うわぁ、見ちゃった?」
全てを悟った俺が聞き返す。
「ええ、一応、救命処置してましたけどねぇ…。」
「心臓マッサージしてましたね。」
二人の言葉に、「へえ。」と言いながら、俺は服を着る。
どうやら、一命は取り留めたのか?
あまり、大袈裟な態度で隼将に気付かれたく無い。
俺は隼将に服を着せると、頭をゴシゴシ拭き、普段通りに振る舞う。
すると、めこむ氏とケン君は何を思ったか、再び表に飛び出して行った。

9:みんな名探偵。
さて、俺の憂いは余所に、現場は全て終了していたらしい。
俺と隼将はその後、何ら衝撃的な光景を目にする事も無く、部屋に戻った。
だが、俺は部屋に戻るなり、室内の装飾品の全ての裏面をチェックする。
(御札でも貼ってあったらOUTだよな…)
出る部屋というのは、部屋の装飾品の裏等に御札が貼ってあるそうである。
が、取り敢えず、怪しげな物は発見出来なかった。
再び、一服していると、シュガーさんがやってくる。
「現場が判ったでぇ〜」
…この御方は…(笑)
「えっ?どうやって、判ったんです?」
「警官の無線を立ち聞きしてきた。」
「はは。で、ドコです?」
「この上。」
「は?」
「910号室。」
「きゅう・いち・まる?」
「そう。」
ええと、俺の部屋が310号室だから…
「真上じゃないですか!」
「そや。」
したり顔でシュガーさんが頷く。
そんにゃぁぁ…。
「どうもなぁ…扉のドアノブに浴衣の帯掛けて、括ったらしいなぁ…。」
そんなとこまで、情報収集してきたんですか…。
「なんや、ツレがドアの隙間から括っとるの見て、騒いだらしいわ。」
「はあ…。」
いや、生々し過ぎるっつーの。
シュガーさんは「きっついのー」と一言残して退室していった。
暫くするとエイチ氏とめこむ氏がやってきた。
「なんか、伍長が当人を見ているらしいですよ。」
「えぇ?」
「なんかですねぇ、さっきフロントに居た女の人が泣きながら、事情聴取されてたって言ってました。」
「あ?ちょっと待て。それって、さっき、俺と伍長がフロント行った時じゃねーの?」
俺は愕然として、問う。
「ああ、そうかもしれませんねぇ。」
エイチ氏がノンビリと答える
(うわぁ、マジかよ。あの不倫(勝手な想像)カップルなのか…?)
エイチ氏とめこむ氏は隼将と暫く遊んで、自室に戻って行った。
「鑑識きたよ。」
言いながら、伍長が風呂上がりの態でやってくる。
「知ってた?このホテルの裏さぁ、墓場なんだよね。」
はい?
「めこむの部屋から良く見えるよ。」
いや、そんなトコ、良くみえなくたって…。
自室の窓から、めこむ氏の部屋の方向、更に奥の方を覗いてみる。
まぁ…
立派な墓石だこと…。

「さっきさぁ、お前と俺でフロント行った時にいた女、いたじゃん?」
伍長が続ける。
「どうも、あんときに一緒に居た男みてぇだなぁ…。」
はあ、そうすか。もう、何言われても驚かないぞ!
「…俺さぁ。」
伍長のトーンが変る。
「見えるじゃん。」
な、ナンスカ!貴方は何を言い出そうとシテイルノデスカ!
「いや、今はそうでもないんだけどさぁ…。」
イヤ、ヤメテ、それ以上はぁぁぁ!
「でも、なんかさ、このホテル入ってから、調子悪くてさぁ…。」
ヒィィィィ!
「なんか、頭が重いんだよねぇ…。首筋あたりがピリピリしてさぁ…。」
キ、キャァァァァーーーーーーーー。
「そ、そうすか。あのぉ伍長…。現場ドコだか知ってます?」
俺は恐る恐る訊ねる。
「シンネ。ドコ?」
伍長はサラリと答える。
俺は天井を指さして行った。
「910号室、この真上だそうですよ…。」
すると、伍長は首筋をさすりながら、
「そっか、シル、大当たりだな…。」
と呟いて退室していった。

皆、名探偵なのね…。

つづく。