『スキャットマン』/スキャットマン・ジョン


『スキャットマン』/スキャットマン・ジョン



スキャットマン・ジョン氏逝去

 スキャットマン・ジョン氏(本名ジョン・ラーキン氏)が1999年12月3日、がんのため亡くなりました。57歳でした。

 ラーキン氏は、米ロサンゼルス生まれで、吃音を逆手にとった「スキャット」の歌唱法で歌った「スキャットマン」を94年にヨーロッパで大ヒットさせました。日本では95年にブレイク。アルバム「スキャットマンズ・ワールド」は日本で200万枚を超える売上げを記録しました。(輸入盤を含む)

 プロモーションなどで来日中に東京言友会と全言連のメンバーが幾度かお会いしましたが、同じ吃音者としていつも暖かく接してくださり、日本ゴールドディスク大賞の新人賞を受賞された時には、賞金をそのまま御寄付いただいたりもしました。いつかワークショップのゲストにと思っていたのですが、もうかなえることはできなくなりました。ラーキン氏の吃音を持ちながらの 前向きな生き方に、励まされた方も少なくないと思います。

 日本、そして世界の吃音者に勇気を与えてくださったジョン・ラーキン氏に改めて感謝するとともに、ご冥福をお祈り致します。

(全国言友会連絡協議会運営委員会)
上の文章は『日本吃音臨床研究会』のホームページより転載したものです。


私的語り

 もうすでにスキャットマンの名前を知らない人間の方が多いかもしれない。
また彼の名前は知っているが、その死を知らない人も多いことだろう。
多くの人にとってそれはもう、どうでも良いことだった。
ワイドショーは(大衆は)阿呆な芸能人の離婚話の方が大事らしい。

 そして退屈な大学で退屈な毎日を送る私にも、どうでも良いことだと思っていた。
でも彼の死を知ったその日は、彼の歌を聞かないわけにはいかなかった。
前向きな歌詞と心地よいリズム、そして小気味よいスキャット。
いつも通り。
いつも通りすぎるから、余計悲しかった。

ふいに耳に入るフレーズ。

If the Scatman can do it so can you
スキャットマンができるなら 君にだってできるさ


 スキャットマンは幼い頃から吃音、つまりどもりだった。
誰ともまともに話せなくて、いつもビクビクしていたという。
そこで彼は、コミュニケーションの手段として音楽を用いた。
音楽は彼の言葉だった。
ジャズ・ピアニストとして細々と生計を立てつつ、ついにデビューを果たしたのは52歳。
彼が亡くなる5年前だった。

Everybody stutters one way or the other
誰だって吃音する事くらいあって当然

So check out my message to you
いいかい、僕のメッセージをよく聞くように

As a matter of fact don’t let nothin’ hold you back
実際どんなことがあっても身を引いちゃいけない

If the Scatman can do it so can you
スキャットマンにできるなら 君にだってできるさ


 私は叫びたかった。
おい、偉大なるスキャットマンが死んだんだぜ!?、なんで誰も見向きもしないんだよ!!
今では彼のアルバムは中古ショップで50円で並んでいる。

 生きている人間は裏切れても、死んだ人間は裏切れない。
意味は少し違うかもしれないが、スキャットマンは死んでしまうことによって私の中で絶対的な存在になった。

 私は中古CDショップに行くとき、必ず何枚かスキャットマンのCDを買ってしまう。
少しでも多くの人間に認識して欲しい。
彼は道化ではない、違うんだ。
ミュージシャンとしても、人間としても。
少しでも多くの人に、彼の背中に触れて勇気を受け取って欲しい。
私の友達でスキャットマンのCDを持っていない者はすでにいない。

 皆さんもCDラックの底で眠っているであろうヒゲの紳士を目覚めさせてください。
辞書を片手に彼は何を訴えているのか、考えてください。
そして・・・そして少しの間、黙とうを・・・








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