友達っ子


空は青く広がって、流れる風が気持ち良い。
今日は、県の運動公園で毎年行われる、東小と西小のサッカーの対校試合。僕は、東小学校五年生の部代表でグランドに立っていた。ホイッスルが鳴って試合が始まると、みんなが応援している中でとても大きな声で叫んでいる女の子が一人。それは、なんと幼なじみのなつかしい顔。
(あっ、ミーコだ!)
でも、僕を応援してはくれない。ミーコは西小に通っているから。
チームメイトがペナルティエリアの手前で倒されてフリーキック、得点のチャンス。いつも、練習している得意の位置だ。僕がボールを置いて前に立ち、そしてけった。ねらっていたゴールのすみには行かず、ボールはキーパーの正面へ。キーパーは胸でキャッチして大きくけった。ボールがつながってシュート、ゴール! 一点入れられた。
僕はミーコが応援してくれないことに、なぜだかイライラしていた。
失点の後も、僕はボールを取られ、パスミスにシュートミスと失敗ばかり。
(かっこいいところを見せたかったのに)
大負けした試合直後、肩を落として歩く僕に、
「タク、だめじゃない、ミスばかりして。エヘッ、お久しぶり」
そう言ってミーコが話しかけてきた。
(あれ、昔より笑顔がかわいくなったな。でも、今の僕はカッコ悪い)
と、そこへ今日二点入れて大活躍した西小の男子が現れて、
「ミー、俺のシュート見てくれた?」
「すっごくカッコ良かったよ! あっ、タク、またね」
そしてミーコと二人で歩いて行ってしまった。
(あいつのことが好きなのかな…? ミーコが僕のこと応援してくれていたら、ぜったいかつやくできたのに)
遠ざかるミーコの後ろ姿見た。すると心臓がぞうきんしぼりをされたみたいにいたくなった。


僕とミーコは同じ日に、同じ病院で生まれ、そこで知り合った母親どうしが友達になり、僕とミーコは友達っ子どうしになった。
幼いうちは家族ぐるみで付き合い。一緒に旅行も行き、僕とミーコも仲が良くて大きくなったら結婚させようなんていう話もしていた。
だけど、別々の小学校に入り、お互いだんだんといそがしくなって、少しずつ会わなくなっていった。


もともと勉強には身が入らなかったが、あの試合の日から大好きなサッカーも、やる気が出なくなって、一人残ってがんばったフリーキックの練習もしなくなった。毎日がとてもつまらなく感じた。

そして何ヶ月かたち、新学期が始まる日の朝。休みが終わってしまい、今日もつまらなそうにしていると。
「元気無いぞー、休みボケかな。タク、今日は良いことあるわよ。行ってらっしゃーい」
母さんはそう言って僕を送り出した。

いつもより長く感じた通学路歩いて、重い足取りでたどり着いた校門の影から、とつぜんミーコが現れた。
「タク、おはよー。ビックリした?」
「ああっ」
「東小の学区にあるおじいさんの家を、新しく建て直して一緒に住むことになったの。タクしか知っている子いないから、いろいろ教えてね」
「ああっ」
とつぜんだったので、それしか言葉が出なかった。でも、僕は体中からだんだんやる気がわいてくるのを感じていた。

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