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二百回忌 渇水 原色の街 午後の最後の芝生 一房の葡萄 忍ぶ川 闘牛 流れる ダイヤモンドダスト 砲撃のあとで 北帰行 廃市 異人たちとの夏 泥の河 海に夜を重ねて 黒い雨 限りなく透明に近いブルー 玩具 風の又三郎 海辺の光景 プールサイド小景 蟹 蒼氓 オキナワの少年 星への旅 死者の奢り 兎 砂の女 |
笙野頼子 河林満 吉行淳之介 村上春樹 有島武郎 三浦哲郎 井上靖 幸田文 南木佳士 三木卓 外岡秀俊 福永武彦 山田太一 宮本輝 若一光司 井伏鱒二 村上龍 津村節子 宮沢賢治 安岡章太郎 庄野潤三 河野多恵子 石川達三 東峰夫 吉村昭 大江健三郎 金井美恵子 安部公房 |
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[001] |
スキ度★★★★★ 砂の女安部公房(新潮文庫)僕がこの小説と出会った十数年前の衝撃は忘れられない。そして今もなおこの小説が好きです。《砂丘へ昆虫採集に出かけ砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる男》と、《家を守るために男を引き止めておこうとする女》が展開する物語。逃げようとするがうまく逃げられない夢を誰でも見たことあると思うんですが、あの感覚がこの小説にはあります。世界二十数カ国に翻訳された名作。 |
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[002] |
スキ度★★★★☆ 兎金井美恵子(集英社文庫)これはかなりマニアックな文学作品だと思う。《兎を絞め殺し、その血を全裸になって浴びることに甘美な快楽を得る少女》が主人公で、常軌を逸しているが芸術性の高い純文学小説としてまとまっている。短編だが改行は少ないので一気に読むしかない。 |
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[003] |
スキ度★★★★☆ 死者の奢り大江健三郎(新潮文庫)僕が最初に出会った大江文学だという理由で、たくさんある大江文学のなかからこの作品を最初に選んでみた。死体処理室で古い水槽から新しい水槽へと死体を移すアルバイトをすることになった主人公の僕(学生)と女子学生と管理人の話である。難解だといわれている大江文学のなかでもかなり読みやすい短編だと思う。 |
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[004] |
スキ度★★★★☆ 星への旅吉村昭(新潮文庫)物憂い虚無感を抱えたまま毎日を過ごす予備校生の圭一は、ある日共通の感情を持った同年代の男女のグループと知り合う。やがて《無動機の遊戯性》によって集団自殺を企て、死への旅立ちをするためトラックに乗り込む。誰にでもある死への希求。当時十代だった僕にとって残酷な結末をむかえる物語とこのタイトルが衝撃的すぎた。 |
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[005] |
スキ度★★★★☆ オキナワの少年東峰夫(文春文庫)戦後の沖縄を描いた芥川賞作品。純真無垢な少年つねよしの視点で描かれた複雑な沖縄の状況が、一見痛々しいはずなのに全体にただよう明るさと沖縄弁の台詞によってさっぱりとしていると思う。米兵相手の飲み屋を営む家族の日常の端々に、島、軍機、軍用道路、そして海の強い匂いが感じられる。 |
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[006] |
スキ度★★★★☆ 蒼氓石川達三(新潮文庫)《僻遠の農村はこの世から隔離された別世界》だと全国の貧農の人々が、《土地は肥沃だし気候は良いし物価は安い》《地上の楽園》ブラジルへと向かうため、神戸の移民収容所に集まるところからこの物語ははじまっている。社会悪を痛烈に、けれど静かに批判している石川文学の中でもこの作品がいちばん好きだ。プロレタリア文学衰退期の秀作だと思う。第一回芥川賞作品である。 |
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[007] |
スキ度★★★☆☆ 蟹河野多恵子(新潮文庫・「幼児狩り・蟹」収録)三年前・結核に罹った主人公悠子は、だんだん治癒に向かっていながらも、ひと月だけという条件をもとに外房海岸で転地療養することになる。夫が数日後に後を追ってやってくるまでに、義弟夫婦の息子で小学一年生の武とともに蟹捕りを約束するが浜辺で蟹がなかなか見つからない。日常の気鬱さから逃れるため海での生活に強くこだわった女が現実では小さな子どもと蟹に翻弄されてしまう、という短編である。 |
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[008] |
スキ度★★★☆☆ プールサイド小景庄野潤三(新潮文庫・「プールサイド小景・静物」収録)会社の金を使い込んだのがバレて突然クビになった会社員の夫を、不甲斐ないと思いつつも次第に《いったい自分は夫に取ってどういう存在なのか知ら?》と自分の至らなさを反省するようになりやさしく見守る妻。浮気をしてるのでは? と妻は疑うが、夫は、自分もかつて通っていて、いまはふたりの息子が通っている学校のプールで時間を過ごしている。小市民のもろく崩れやすい生活を描いた秀作。芥川賞作品。 |
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[009] |
スキ度★★★☆☆ 海辺の光景安岡章太郎(新潮文庫)東京から高知湾近くの海辺の病院へ、信太郎は危篤の母を見舞いに来た。母は老耄性痴呆症で鉄格子のついた病棟に入院していて、信太郎は父とともに病室に泊り込む。夕暮れの残光がつつむ海辺で、患者たちにまぎれて信太郎は海を眺める。そして敗戦で帰還してきたころの父と母との想い出を思い出す。死によって苦しみから逃れた母を虚無的な眼差しで見つめる信太郎の九日間を描いた戦後文学。芥川賞作品。 |
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[010] |
スキ度★★★★☆ 風の又三郎宮沢賢治(新潮文庫)谷川の岸の小さな小学校に、赤い髪、鼠色の上着に白の半ズボンに赤い革靴のかっこうをした転校生がやってきた。変わったふんいきの転校生・高田三郎はみんなから「風の又三郎」と呼ばれる。みんなで葡萄採りにいったり川で水遊びをしたりして過ごすが、数日後突然また別のところへ転校していってしまう。昭和6年に発表された賢治童話の代表作。おとなになったいま読んでもこの作品の魅力は変わらない。 |
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[011] |
スキ度★★☆☆☆ 玩具津村節子(集英社文庫)妊娠中の春子は人嫌いで我儘な売れない同人誌小説家の夫と小さな部屋で細々と暮らしている。夫は結核の手術で5本の肋骨を失い肉体的にも健康ではない。小動物や金魚の世話と骨に対して執着心があり、春子はその奇異な嗜好に疑問を抱きながら夫の顔色ばかりを窺っている。夫婦の不安定な心理状態がやがて出産というひとつの結末に向かって安定していく過程を女性の観点から巧みに描いた文学。芥川賞作品。 |
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[012] |
スキ度★★★★★ 限りなく透明に近いブルー村上龍(講談社文庫)麻薬、セックス、暴行。日夜狂気の宴が繰りひろげられる米軍基地の街で、主人公のリュウやリリーは何かに憑かれたかのように虚ろな非現実感のなかで生きている。村上龍24歳のデビュー作である。僕は高校生のときこの小説をはじめて読んだ。妙に生々しい性的な表現と、読み手にからみついてくるような匂い(化粧、香水、パイナップル、酒、血液)が鮮烈だった。カッコイイと思った。群像新人賞、芥川賞作品。 |
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[013] |
スキ度★★★☆☆ 黒い雨井伏鱒二(新潮文庫)この小説はいくつもある原爆小説のなかでもベストな作品だ。広島に落とされた原爆によって被爆した平凡な主人公の一家(重松とその妻、姪の矢須子)を焦点にあてて、刻明な原爆記録のような小説になっている。爆心地から遠く離れていたため直撃的な被災を逃れた矢須子が、やがて《黒い雨》に打たれて《原爆病》に蝕まれてゆく。縁談が解消されたり病状が深刻だったりこの作品はかなり重い。でもこれが目を背けられない現実だ。 |
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[014] |
スキ度★★★★★ 海に夜を重ねて若一光司(河出書房新社)本の帯には《性を晒して生きるドサ廻りのストリッパーと知恵遅れの青年。》と書いてある。学生のころ古本屋で見つけて読みはじめたが最後まで一気に読んでしまった。民夫が大切にしている小石をマミに差し出して《これをあげるから、ぼくをどこにも行かさないで》と懇願するシーンが印象的だった。飾らない言葉とひとのぬくもりのあたたかさを感じさせる文藝賞作品。 |
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[015] |
スキ度★★★☆☆ 泥の河宮本輝(新潮文庫・「蛍川・泥の河」収録)昭和30年、大阪。河に浮かんだ薄暗い廓舟に住む喜一と友達になった小学2年生の信雄。天神祭の夜、舟べりで数匹の蟹を燃やすところを喜一に見せられ、信雄はおそろしくなって逃げ出す。それ以来喜一とは気まずくなるが、信雄は家族とともに引っ越す日が近づいたある日、舟の家を曳いたポンポン船が遠ざかっていくのを見つけ追いかける。泥の河から見た街の風景とあたたかい大阪弁がとてもよい。太宰賞作品。 |
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[016] |
スキ度★★★★★ 異人たちとの夏山田太一(新潮文庫)妻子と別れたシナリオライターの原田は、仕事場として使っていたマンションを住居としていた。ある日、幼い頃死別した両親に似た夫婦に出逢い、やがてその夫婦宅に通うようになる。恋人のケイは原田の異様な消耗と憔悴ぶりに気づき、夫婦に会いに行くのを止めるよう約束させる。怖くて不思議なこの小説を僕は数え切れないぐらい読んだ。ドラマの名手である山田太一の文学小説。山本周五郎賞作品。 |
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[017] |
スキ度★★★★★ 廃市福永武彦(新潮文庫・「廃市・飛ぶ男」収録)卒論を書くためひと夏だけ訪れた田舎の町。そこは小さな運河をいくつもめぐらせた、滅びたような町だった。旧家で知り合った安子をはじめ、訳あって菩提寺に身を匿す姉の郁代、家をでた婿養子の直之、直之の愛人の秀。4人が織りなす複雑な人間模様と《廃市》の美しい風景に魅せられ幻想のような夏を過ごすひとりの大学生の視点から描いた小説。芸術性の高い筆致だと僕は思う。 |
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[018] |
スキ度★★★☆☆ 北帰行外岡秀俊(河出文庫)北海道の炭鉱の町の中学校を卒業して東京へ集団就職した青年は、石川啄木の本に出会ってから啄木のすべてと自分の日々を重ね合わせるようになる。上京後の閉塞された日々は挫折のくりかえしで、青年の痛い気持ちが伝わってくる。ふるさとへと帰る汽車の中で回想するシーンも、由紀という少女への甘美な初恋、父を亡くした炭鉱の落盤事故と苦い想い出ばかり。当時23歳だった作者の文藝賞作品。 |
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[019] |
スキ度★★☆☆☆ 砲撃のあとで三木卓(集英社文庫)軍隊、銃砲、血痕。激しい市街戦のあと、主人公の幼い少年(小学生)は外務省の建物に忍び込む。戦争のなまなましい部分と幻想的な部分が織り交ぜられていて、不思議な感覚にとらわれる小説だ。少年の眼に映る瓦礫と化した街、意味のない戦いをくりかえす兵隊、男装する女たち。死の危険がつきまといながらも建物内の食物や紙幣を漁る少年はなぜか冷静だ。 |
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[020] |
スキ度★★★☆☆ ダイヤモンドダスト南木佳士(文春文庫)高原の町の病院で看護士として働く和夫は医療現場で逝く者の死に立ち会う。単線の電車の運転手をしていた父親・松吉が脳卒中で和夫の病院に運び込まれる。松吉と同じ病室には肺癌患者でマイクという宣教師がいる。おだやかな緑の町の病院のなかでくりひろげられるやさしい人々の生と死のドラマが感動的だ。医者でもある作者のリアリティーのある描写がなかなかよい。芥川賞作品。 |
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[021] |
スキ度★★★☆☆ 流れる幸田文(新潮文庫)寮母、掃除婦、主婦代理、犬屋の食事係を経て芸者置屋に住み込みで働くことになった《四十すぎの未亡人》梨花が垣間見る花柳界のうらとおもて。芸者たちの生態と人間模様をこまやかに描いている。《くろうと》の世界と《しろうと》の世界の境界線がはっきりしていて、《しろうと》である梨花が《くろうと》の世界に驚愕するさまざまな出来事が読みどころだと思う。新潮社文学賞作品。 |
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[022] |
スキ度★★☆☆☆ 闘牛井上靖(新潮文庫・「猟銃・闘牛」収録)終戦後の関西が舞台。新聞社の編集局長・津上は興行師田代に誘われて闘牛大会を主催することになる。津上には鳥取に疎開させたままの妻とふたりの子どもがいるが、大会の準備で忙しいさなかでも愛人のさき子との逢瀬を重ねる。社運を賭して事業をすすめていくシーンが大半を占めるが、ラストは巨大スタジアムでの闘牛シーンとなる。《賭ける》とはなにかを考えさせられる小説。芥川賞作品。 |
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[023] |
スキ度★★★☆☆ 忍ぶ川三浦哲郎(新潮文庫)姉や兄たちのあいつぐ自殺や失踪という暗い過去をもつ大学生の青年は、料亭「忍ぶ川」で志乃という女性と知りあった。志乃には婚約者がいたが青年は志乃にすこし強引な告白をし、婚約を破談させる。まっすぐで純粋な青年とけなげでかわいらしい志乃は、青年のふるさとである雪国へとふたりで向かいそこで結ばれる、という純愛小説。ストレートな愛の台詞がとにかく凄すぎる。芥川賞作品。 |
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[024] |
スキ度★★★★☆ 一房の葡萄有島武郎(角川文庫)横浜の山の手の学校に通う《ぼく》はある日、同級生ジムの持っている西洋絵の具に魅了されて出来心で盗んでしまう。からだも心も弱くおくびょう者の《ぼく》は同級生たちに引っ張られ、大好きな女の先生のところへ突き出されてしまう。そして泣きじゃくる《ぼく》に先生がくれた《一房の葡萄》。父性愛的なやさしさをもって描かれた有島童話の名作。僕が小学生のときはじめて自分のおこづかいで買った文庫本です。 |
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[025] |
スキ度★★★★★ 午後の最後の芝生村上春樹(中公文庫・「中国行きのスロウ・ボート」収録)長距離恋愛をしていた彼女と別れたその年、大学生の《僕》は芝刈りのアルバイトをした。仕事はきついが給料がよく、そのうえあまり他人と口をきかずに住む《僕》向きの仕事だった。アルバイトを辞めることになって最後の芝刈りをするため、言葉づかいのすこし荒い女の家を訪問することになった。小気味よく流れるような文章のなかに爽やかな感傷があふれている短編小説。 |
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[026] |
スキ度★★☆☆☆ 原色の街吉行淳之介(新潮文庫・「原色の街・驟雨」収録)元木英夫は大学教授の娘・瑠璃子と見合いをし、その美貌に惹かれて恋人になった。一方、娼婦のあけみとも知り合い、瑠璃子にはない魅力に惹かれてしまう。めぐまれた家庭で育ち教養もある瑠璃子には奔放な娼婦性ももちあわせる。あけみは《原色の街》で暮らす娼婦でありながら元木にしか惹かれない一途な心の持ち主である。対極をなすふたりの女性の精神と肉体を巧みに表現した小説。 |
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[027] |
スキ度★★★★☆ 渇水河林満(文春文庫)水道局員の岩切と木田は毎日、水道料金を滞納しつづけている家を訪れ、給水を停止する。止水栓の蓋を開け、開栓器をさしこんでひねり、簡単に水を止める。停水対象者は恭順、ふてくされ、反抗などさまざまな者がいる。ある日、給水を停止するため小出家を訪れたふたりは、幼いふたりの娘の前で気がとがめながらも停水執行する。予想外の結末には、小出家の悲哀が込められている。水の渇きと心の渇きを描いた短編小説。 |
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[028] |
スキ度★★★★★ 二百回忌笙野頼子(新潮文庫)父方の家では二百回忌の時、死んだ身内もゆかりの人々も皆蘇ってきて法事に出る。法事の仏間に集まった親戚たちは百人以上もいて誰が死者で誰が生者がわからない。烏の鳴き声のような読経、踊る僧侶、トンガラシ汁など奇妙なことずくめな小説である。文章に独特のリズム感があり、読む者を一気にクライマックスへと導く。しかし唖然呆然とされられたまま、気がついたら読み終わっている。三島由紀夫賞作品。 |
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