「ペンを剣に代えて・特攻学徒兵大石政則日記」大石政隆編

2007.08.25 発行

T0Pへ     

    


西日本新聞社定価1,545円)
父が弟のようにかわいがっていた従兄弟、大石政則少尉の日記が本に
なりました。
海軍入隊から出撃前夜まで克明につけられた日記です。


10歳違いの弟政隆は、少年時代兄に連れられて旅をした。
雪の降る北国で、手製のそりに弟を乗せ、懸命に引っ張る
兄の姿が、全盲となった今も目に焼きついて離れない。
弟の中学生姿を見たいと言いながら、ついに見ないまま
特攻隊で戦死した兄。

大学ノートにびっしりと書き込まれた日記は、
「生きたい」と言う証・慟哭の遺書。

この兄の日記を、全盲となっても世に出したい情熱を失わなかった弟。
様々な人達がこの弟の目となり手となり足となり結集して
生まれた本です。


インターネットの力

「父への手紙」掲示板にご登場頂いている、アメリカ在住ニューヨークさん
と言う女性の存在もひとつのきっかけでした。

ニューヨークさんは、遥かアメリカから
「特攻隊員の人達の思い残した事の万に一つでも何かやって差し上げたい」
と、何かにつけて応援して下さいました。


以下ニューヨークさんのメールより


私は政則さんの写真に、「ほら、見てください。あなたの弟さん、やりましたよ。
ご本になりましたよ!」 と、その喜びを伝えておりました。
と同時に…、なぜか無償に悲しくなるのでした。

中略

この「ペンを剣に代えて」という本は、大石政則という人物について初めて
知る方には最高の書物だと思います。
特に、お母様のトクさんの「想いで草」がこうして本になった事は私にとって
も本当に 喜ばしい事です。
大石家のお父上も、お母上も、弟の政隆さんによって兄の政則さんの死を
無駄にせず、世の多くの人々に伝えている…、その姿を天国でご覧になら
れていたら、さぞ息子たちの立派な姿を誇りに思っている事でしょう。
・・・・・・

入隊する日の前夜、二十歳という人生で最も美しい時にあって、政則さんは
自分の若々しい姿とは裏腹な悲運を、独りで嫌というほど感じていたのでは
ないでしょうか。
そして、この運命をどう受け止めるべきなのか…を考えていた。
静かな自分の部屋という安全な空間にいながら、明日早朝をもって永遠に
失われるその空間をゆっくりと眺めまわし、その一駒、一駒を脳裏に焼き付
けていたのかも 知れません。
この愛しい空間が、戦場…という未知の世界に変わるその瞬間、政則さん
は全てをノートに記録しようと決意したのです。
これは、頭の中では常に自分の死を考えているのに、それにはまったく実感
がない という矛盾だらけの時期です。
だから、政則さんは入営する前夜を境に、自分の吐く一言、一言は遺書と
なりうる、自分がこの世に存在していた証、と考えたのでしょう。
恐ろしく忙しい軍隊生活の中で、死ぬまでほぼ毎日書き続けたこの日記
なる遺書は、そういう決意の基にあったのだと思います。


本の中に納められた母親の手記「想いで草」はこちらでも
お読みいただけます。


父と一緒の政則少尉の写真


大石母子については、須崎勝弥著「カミカゼの真実・特攻隊はテロではない」
にも詳しく
掲載されています。

T0Pへ