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「復活」「違法行為」「今年の注目株」 「不意になった千載一遇のチャンス」「梅雨の日の夜に見た最悪の闘牛」 |
闘牛観戦記
アリカンテ、サン・フアン祭.。この日、登場する闘牛士はマヌエル・カバジェーロ、エル・コルドベス、ミゲル・アベジャンの三人である。最後のミゲル・アベジャンは今年(2000年)のサン・イシドロ祭でプエルタ・グランデを果たし、特に注目されている若手である。彼が正式闘牛士に昇格した闘牛場が、このアリカンテ闘牛場でもある。縁起を担ぐ闘牛士にとって、思い出のある闘牛場に出場することは特別な意味を持つ。どんな闘牛をやるのか楽しみだ。
闘牛が始まる頃、気温計は40度を越えていた。刺すような強い日射しがテレビの画面を通して伝わってくるようだ。
1頭目:「ファントーチェ」96年6月生まれ、526kg、ダニエル・ルイス牧場
純白の光の衣装を着たマヌエル・カバジェーロがカポーテを始める。ベロニカは長く、ゆっくりと牛の前を翻る。出だしとしてはなかなか。
この牛は力が足りない。走りながらすぐに足を止めてしまう。その様子を見たマヌエル・カバジェーロはスエルテ・デ・バーラを1回で終わらせることを要求する。血もほとんど流れていない。
大丈夫かよ、この牛。うわっ。途中で膝ついちゃうよ。ムレータも十分に下げられない。これじゃマヌエル・カバジェーロの技が披露される前に電池が切れちゃうね。
お、なかなかやるな、マヌエル・カバジェーロ。デレチャソもナトゥラルもきれいにまとめあげる。リズムが途切れない。牛も力はないけど、真っ直ぐにムレータに向かってくる。弱いくせになかなかノブレだ。
あぁぁ。エストカーダ、2回連続で失敗。うわっ!牛が前足を骨折した!足首があらぬ方向に曲がっている。痛そう。客席から非難の口笛が鳴る。牛の不必要な苦痛は不快感を引き起こすのだ。頭の後ろの急所を刺し、早々とトドメを刺す。牛と闘牛士に拍手が送られる。
2頭目:「アニモーソ」95年6月生まれ、450kg、ガビラ牧場
やる気いっぱいのエル・コルドベス。足を揃えて華麗なカポーテ捌きを見せる。うまくなったもんだ。というのも本来、エル・コルドベスといえばカエル跳びなる技を得意とするドタバタ闘牛で人気を集める闘牛士だからだ。あ、チクエリーナなんか連発してやがる。あんな技、エル・コルドベスらしくない。けど、巧い!客席から「オーレ!」の声があがる。
エル・コルドベスは闘牛場の中央に進み、牛を観客に捧げることを意味するブリンディスを行う。観客の割れんばかりの拍手。ポーンと後ろにモンテラ(帽子)を放り投げる。モンテラはくるくると回りながら、口を下にして落ちた。「ビエーン!(いいぞぉ!)」観客の拍手が一層激しくなる。帽子がきちんと落ちるのは幸運の印なのだ。
お!いきなり膝をついた。即座に逃げられないこの格好はかなりの度胸と自信がないとできない。観客はすぐに音楽を要求するブーイングで反応する。期待が膨らんでいく。
この牛、やばい。足を前に出す代わりに頭をぐっと持ち上げる。ムレータを通り過ぎないから技が続かない。それに、頭を持ち上げるってことは闘牛士が角に引っかけられる可能性が高くなるのだ。ダメだな。エル・コルドベスは頑張って演技を続けようとするけど、牛がついてこない。
エストカーダは一発で決まった。剣が少し左側にずれて刺さったけど、牛はすぐに倒れ込む。ラバに引きずられ退場する牛にはブーイング、エル・コルドベスには熱い拍手が送られた。5頭目に期待だな。
3頭目:「ロシエロ」、96年5月生まれ、497kg、ダニエル・ルイス牧場
ノソノソと歩きながら登場したこの牛、人に向かって襲いかかる様子が全くない。どんなにカポーテを振っても「僕、怖いよう」てな感じで、怖がって逃げてしまう。やる気ゼロ。闘牛場全体にブーイングの嵐が巻き起こる。うわ、なんにもしないまま交替されちゃったよ。
3頭目補欠:「アルメヒート」95年12月生まれ、510kg、ガビラ牧場
げっ!膝をついてラルガ・カンビアーダやりやがった!いきなり見せつけてくれるよ、ミゲル・アベジャン。上から下に叩きつけるようなベロニカもきれいに決まる。
この牛、頭がピンと上がってて体形は美しいんだけど、走り方からして力がないんじゃないか。そう思った瞬間、横にバタっと倒れた。脚力が足りない証拠だ。ピカドールに突撃しながら、またもや横に倒れ込む。こんなんじゃ、使いもんになんねえよ。
ミゲル・アベジャンがモリネーテなんて技を使ってみても、牛がついて来れないんじゃどうしようもない。力がない上に途中でバシラール(躊躇)するような危険な牛はどうしようもない。解説者は「la faena imposible(不可能なファエナ)」と喩えた。ミゲル・アベジャンの1頭目はエストカーダを一発で決めただけに終わった。
4頭目:「アルテサノ」96年5月生まれ、509kg、ダニエル・ルイス牧場
なんか、飽きてきたなぁ。牛はどれも使いものにならないくらい悪いし。そう思っていたら、このアルテサノっていう牛、なかなか機敏に突っ込んでくる。しかし、ピカドールの槍にかかると、すぐに膝をつくようになる。速さと強さは関係ないってことだ。
闘牛で牡牛に要求されるのはスピードじゃなくて力強さだってのに、それを備えた牛が一頭も登場しない。つまらん。「No puede ser(こんなのあり得ない)」って解説者が言うほど牛が悪い。実際に闘牛場にいたら、叫んじゃうんだろうなぁ。「金返せぇ!」って。
マヌエル・カバジェーロも頑張るなぁ。こんな牛相手に観客に「オーレ!」言わせるんだもん。パセを終える度に距離をおいて牛に一息つかせる。牛が呼吸を整えたところでゆっくりと近付き、次のパセを繰り広げる。この落ち着いたリズムはなかなかできるもんじゃない。
「ムシカ!」音楽を求める観客の声は次第に大きくなり、闘牛場全体に響きわたる。楽隊がパソ・ドブレを演奏し始めると、闘牛場を包み込む感動は
来た!エストカーダを見事なボラ・ピエで決める。トドメを刺されながら、なおも立ち続ける牛の背にマヌエル・カバジェーロは静かに手を置く。牛は倒れない。静かに、死に対抗している。見つめていると、涙が浮かぶ。牛はしずしずと歩を進め、そして倒れ込んだ。闘牛場が白いハンカチで埋まる。
いい闘牛だった。あんなにいい闘牛だったのに、耳が出なかった。プレシデンテに対して盛大なブーイング。あれで耳を出さないってどういうことだ!
5頭目:「モリスケト」96年5月生まれ、502kg、ダニエル・ルイス牧場
エル・コルドベスの技術は格段に向上している。これだったら正統派の闘牛ファンも納得させられるんじゃないか。ベロニカからチクエリーナに続く見事なパセに観客の「オーレ!」の声援も大きくなる。
(↑この文章はここで中断してしまいました。かなり前に書いたものなので、続きを書くのを断念します。次の文章が書けないっつうねん!)
クーロ
この日が来ることはわかっていた。クリスタ(クーロ主義者)という単語が生まれるほど熱狂的なファンを持つ闘牛士、クーロ・ロメーロが引退したのだ!
クーロの伝説のカポーテ捌きを見ることができなかったことが悔やまれる。