諏訪由布子

はとりん心の短歌(笑)



大阪府出身。
1985年、デラックスマーガレットで
「ブルーな気持ちがよくわかる」でデビュー。

■Introduction ■Review ■Links ■Bibliography
■Introduction
 
諏訪由布子さんの名前も「少女マンガ大索引」で初めて目にしました。検索してみると諏訪さんが運営されていると言う公式サイト「すわハウス」に辿り着けて、いろいろ拝見しているうちに「別冊マーガレット」でデビューされた後、現在は「ヤングユー」で活動されていることを知りました。
 それからしばらくして、諏訪さんの単行本を読む機会があったので手にとってみることにしました。

■Review
 ひと昔前のレディースコミックと言うと、子供ではなくなった男女によって繰り広げられるドロドロした世界が描かれていたようですが、ここしばらくは「少女漫画の大人版」とも言えるタイプの作品も増えて来て、ドロドロした世界が描かれた作品ばかりではなくなって来ているようです。
 最近は「男女の世界」以上にごくごく身近で、「男女の世界」以上にドロドロした「嫁姑もの」も登場しています…。
 現在、1冊読んだだけなので、断定するのは控えるべきでしょうけれど、諏訪さんの作品は「少女漫画の大人版」とも言えるタイプです。絵柄はもりたゆうこさんのように淡々とした感じなのですが、もりたさんの作品に見られるようなドロドロした世界が描かれている訳ではないし…(もりたさん自身がその系統では別格だと言う意見は置いておくとして)。
 多くのレディースコミックの漫画家さん同様に、諏訪さんも恋愛ものの作品を描いているのですが、作品中でいろいろとアクシデントが起こっても、どこかほんわかした感じが漂っていると言うか。ドロドロしたものを求めている方には敬遠されるかもしれませんが、私のようなあまりレディースコミックを読まない人間や、ほんわかしたタイプの作品が好みな方は読み進めてゆけるのではないのかと思います。

 

マリア様には内緒 諏訪さんの初単行本です。
・マリア様には内緒 (別冊ヤングユー1994年EARLY SUMMER掲載)
 キャリアウーマンの花木京香@主人公は、密かに同期の木村進一と交際を始めて2ケ月近くになる。ところがある日突然、京香は木村に別れを告げる。「会社の上司の間(はざま)と結婚する」と。
 別れを告げたものの、社内恋愛なだけにその後もちょこちょこ接触をせざるを得ない二人。理由も告げずに別れを告げた京香に複雑な思いの木村。京香にプロポーズの返事を迫る間。どうやら全ての鍵は京香が握っているみたいなのだけど…。

 京香さんの名刺には「大阪営業所」ってあるから大阪が舞台になっているのかな。登場人物がみんな決して悪い人ではない、ほのぼのとした作品です。単にほのぼのしているだけでなく、ところどころでほどよく、笑える部分があったり、パンチが効いていたり。作品の中で京香さんが時々見せる体調不良…ネタバレに繋がるからあまり詳しくは書かないけれど、これが「鍵」かもしれません。
 一方、キャラクターでは
「(脂症なのを京香さんに指摘されて)
カラっと揚げたろか このアブラで(--〆)
「(地下鉄に乗車中に倒れた京香さんを駅務室に運んであげた際に)
お礼 いってね
 クールなやり手タイプの間主任とは対照的な、太眉でメガネで暖かそうな雰囲気の木村さんがいい味を出しています。(引用したセリフを見ると ”どこが!?”って感じですが ^^;) 実際、とても子供に好かれているし。

 作品自体のテーマとは別なのですが、私自身が営業もどき(販売応援ですね)の仕事もしていたことがあったので、営業の方針をめぐっての木村さんと間主任との対立のシーンはいっそうリアルに伝わってきました。大顔の人は出世するって本当かな。

 

・エイリアンの恋 (別冊ヤングユー1993年AUTUMN掲載)
 舞台は(私服の)とある高校。トレンディ−ドラマの話題で盛り上がっている女の子たち。エッチな話で盛り上がっている男の子たち。二人の世界に浸って盛り上がっているカップル。趣味の話で盛り上がっているオタクな子たち…と、クラスメートがそれぞれ盛り上がっている中、主人公の塚田妙子は適当に話に付き合えるものの、今ひとつ盛り上がりについてゆけない。
 そんな妙子の後ろの席にいるのは「悪い子ではないのだが」「妙になれなれしい」坂口なるみ。古典の担任である工藤に憧れている彼女は、クールで頼りがいのある妙子に絶えず相談事を持ちかけている。なるみの頼み事をひとつひとつ聞き、親身に接しているうちに「自分でもよく分かっていなかった恋愛」への姿勢を改めてゆく…。

 レディースコミック入門編のそのまた入門編みたいな、微笑ましさいっぱいの作品です。レディースものどころか、恋愛ものが苦手な人でさえも読み進めてゆけるかも。高校を舞台にして始まっているのだけど、小学校・中学校など「友達」の手を借りて「恋愛」を成就させていたような時代を思い起こせそう。
 また、読んでいる途中で「何もレディースコミックで発表しなくとも…」と思ったのですが、最後まで読んでいると「やっぱりこの作品はレディースコミックで発表されるべき作品なのだろうなあ」と思わせられます。お姉さんから妹(や弟)に語りかけるような感じがうまく表現されていて。
 「ひたすらクール 友達の応援にまわる妙子ちゃん」「友達に頼り 嘆きつつも健気に頑張る奥手のなるみちゃん」 どちらのタイプもリアルに描写されているので、この作品を読んでゆくうちに、自分が付き合って来た「友達」の顔を思い浮かべる女性もいらっしゃるかもしれませんね。
男性はどうなのかよく分かりませんが…。
 この単行本に収録されている作品の中で一番好きな作品です。
 それにしても「男女17人夏物語」ってどんなドラマですかい(^^;)

 

・KISS AWAY (別冊ヤングユー1994年EARLY SUMMER掲載)
 新條なつみと斉藤義弘は交際をスタートさせて6年になる。周囲の友人知人がどんどん結婚してゆくにも関わらず、身を固めようとはしない2人。義弘と身を固めたいと願いつつも「もっとイイ男が現れるのでは!?」と思うなつみ。なつみの要望を知っていながらも「も少し自由でいたいだけ」とそ知らぬフリを決め込む義弘。
 2人揃って迷走モードにどっぷりつかっていたある日、なつみは昔の恋人と再会し、それを知った義弘も、情熱的だった昔を思い出し始める…。

 と、書くと適齢期の女性読者多きレディースコミックでは「定番」の作品かもしれませんが、扉絵のアダルトな雰囲気を見事に覆すくらいに、くすくす笑えてほのぼの出来てしんみりとさせられる作品です。
 調子がいいと評される義弘さん(「さん」と言うよりも「くん」の方が似合いそうなタイプなのだけど)が、学生時代になつみさんに行ったアプローチの方法…「調子のよくない」人が行ったらストーキングと思われるだろうけれど、義弘さんのキャラクターにすごく似合っているために、読んでいるそばから「情熱的だ…」と肩を震わせて笑い声さえ出てくるほどです(^^;) 
キャラクターに合ったアプローチが大切なんですね。ろろろ。
 ここまでされたら「淡白な男性の方が好み」な婦女子以外は結構、コロっとまいってしまうのでは(^^;)

 

・地球に優しく (ヤングユー増刊1994年スペシャルNo.1掲載)
 
と、言ってもエコロジカルまんがではないです(^^;)

 大学を留年してしまい、見事に5回生となってしまった沢渡裕。そんな裕に恋人の有森ちづる@看護婦見習いは呆れ顔。一方、裕が家庭教師のアルバイトをしていた時に教え子だった木暮今日子もこの春から同じ大学に通うことに。些細ないざこざのために、家庭教師を辞めさせられた裕だったが、それ以後も今日子は兄のように裕を慕っている。
 裕を慕う後輩(ただし今は同学年)の悟の話では、今日子は魅力的なタイプだけに、学部内でも話題になっているそう。そんな彼女は高校時代は「(成績は悪くないのだけど)内向的な子であまり学校にも行きたがらない」こともあって「相談相手になって下さるだけでも…」と彼女の母親に懇願された経緯もある。単に内向的なだけでなく、どこか陰のあった今日子。愛人宅で生活している議員の父親との確執も影響しているようだ。大学に進学してからも父親との溝は依然、深いまま。父親へ当てつけるかのような振る舞いを重ねるうちに、家族だけでなく裕も、ひいてはちづるも悟も振り回すことになって…。

 とにかく「猫のような女性」とも言える今日子さんの存在感が際立っています。のんびり屋なようで繊細な裕さんや、ほんわかとしていながらもしっかり者なちづるさんや、軽いけれど根が純朴な悟くん以上に。裕さんでも悟くんでもない第3の(?)男性と結ばれてしまう分、つかみどころのなさが更に倍、みたいな。
 少しばかり特異なキャラクターの今日子さんですが、心の奥底で彼女が求めていたものは「特異ではない」人々が日常で求めているものと同じものだったのかもしれません。淋しさと向き合うために必要な、暖かいエネルギーのようなもの。
 前出の数作品とは趣きが違うのですが、それでもラストはハッピーにまとまった作品です。
ある人物を除いて。

 

・或阿呆の日常
 これは書き下ろし。漫画家諏訪さんの日常を描いたエッセイマンガ。
題字は鴨居まさねさん(の左手)によるものだそう。
 「百面相」…までは行かなくとも、昔、なりゆきわかこさんのエッセイマンガ「笑うかどには勝利の女神」で、漫画家であるなりゆきさん自身も買い物しながらぶつぶつ呟いていたシーンがありましたよ(^^;)

 

■Links
 
すわハウス
 
上の文章にも出てきた諏訪さんの公式サイト。諏訪さん御本人が作成されたとのことです。
 表現について興味のある方は「すわハウス」で紹介されている関連サイトのチェックもどうぞ。
 

■Bibliography
「マリア様には内緒」(ヤングユーコミックス)
各マンガのセリフの引用、およびプロフィールを参考にさせて頂きました。