かんしゃかんげき
観炙感劇
2008年

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. 長月の
観炙感劇
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宝塚歌劇 花組全国ツアー
宝塚ロマン
外伝 ベルサイユのばら -アラン編- 』
原作:池田理代子
外伝原案:池田理代子
脚本・演出:植田紳爾

グランド・レビュー
エンター・ザ・レビュー
作・演出:酒井澄夫
宝塚歌劇 月組 日生劇場公演
ミュージカル
グレート・ギャツビー
ーF.スコット.フィッシュジェラルド作“The Great Gatsby”よりー
脚本・演出:小池修一郎
宝塚歌劇 雪組公演
ショー
ソロモンの指輪
作・演出:荻田浩一
ミュージカル
マリポーサの花
作・演出:正塚晴彦

2008.09.23
宝塚歌劇 花組全国ツアー
宝塚ロマン
外伝 ベルサイユのばら -アラン編- 』
原作:池田理代子
外伝原案:池田理代子
脚本・演出:植田紳爾

グランド・レビュー
エンター・ザ・レビュー
作・演出:酒井澄夫
出演:(花組)真飛 聖、桜乃 彩音、壮 一帆、愛音 羽麗、夏美 よう、絵莉 千晶、未涼 亜希、桜 一花、望月 理世、花野 じゅりあ、扇 めぐむ、祐澄 しゅん 、愛純 もえり、朝夏 まなと、月央 和沙、白華 れみ、天宮 菜生、華月 由舞、芽吹 幸奈、彩城 レア、瀬戸 かずや、鳳 真由
   (専科)星原 美沙緒
大宮ソニックシティ

『外伝 ベルサイユのばら -アラン編- 』
 フランスの貴族であるアラン・ド・ソワソンは貴族と言っても、平民よりも貧しい、名ばかりの下級貴族であった。
 士官学校を漸く卒業して、衛兵隊に少尉として任官する。
 父を早くに亡くし、母と美しい妹ディアンヌとの三人暮らしだったがディアンヌは自殺し、アランは心の中でディアンヌの魂と語らうようになる。
 ある日、近衛隊からオスカルが赴任してくる。
 「女の下では働けない」と荒くれ者揃いの衛兵隊士は一斉に反発し、アランとオスカルの一騎打ちとなる。
 勝負はオスカルの勝ちに終わるが、アランの腕前にオスカルは感動を覚える。
 剣を家族のために売り払ってしまった兵士たちをオスカルは叱責するが、彼らの貧しさを知り、己の無力さを恥じる
 。隊員たちは少しずつオスカルに心を開いていき、またアランとアンドレも男同士の友情を育てていく。
 そして、アランの心も漸くオスカルに対して開かれるようになっていくが、それはやがてオスカルへの報われることのない恋心へと変わっていく。
 緊迫するフランスの情勢。オスカル、アンドレが銃弾に倒れる。
アランは、理想を求めたはずの革命が混乱の序曲となるのを感じずにはいられなかった・・・・・・。



 アランって、後に「隻腕の将軍」と呼ばれるようになっていたとは知らなかった。
 池田作品を追っかけているわけじゃないので知らなかったけど、どこかの作品で登場していたんですね。
 そして、彼もまたオスカルに恋していたとは。
 原作から受ける印象だと、友情だと思っていましたよ。
 ジェローデル編でもナポレオンが登場してきましたが、アランはナポレオンと共に働いてきたというのは、革命派として軍に功績を残しただけのことはあるということでしょうか。
 オスカル達が携わった革命の理想は、結局は権力というモノに侵食されてしまった現実を、目の当たりにしてきたアランが、オスカル達を懐かしく思うのもわかる気がする。
 そんなアランを、邪魔者扱いにするナポレオン。やっぱり時代の流れってヤツなんでしょうか。
 アランが主役ではありますが、彼の生き様というより、革命への思慕といった雰囲気の物語になっていました。

『エンター・ザ・レビュー』

 レビューの原点であるパリ・レビューのエスプリを生かしながらも、現代の感覚に合わせて、テンポあるお洒落な宝塚レビューを展開。
 シャンソン、ジャズ、クラシックなどをアレンジして構成し、21世紀版レビューを目指した作品。
 2005年に春野寿美礼を中心とする花組で上演され、好評を博した作品。



 全国ツアーですから、メンバーも少なく、本公演の『エンター・ザ・レビュー』に比べると、少々物足りなさを感じてしまいます。
 でも、メインテーマのメロディーは、覚えやすいし、男役トップが女装(?)して登場するのは変わりなくて、楽しかった。
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2008.09.11
宝塚歌劇 月組 日生劇場公演
ミュージカル
グレート・ギャツビー
ーF.スコット.フィッシュジェラルド作“The Great Gatsby”よりー
脚本・演出:小池修一郎
出演:(月組)瀬奈じゅん、越乃リュウ、一色瑠加、遼河はるひ、涼城まりな、青樹泉、城咲あい、憧花ゆりの
     (専科)汝鳥伶、磯野千尋、梨花ますみ
日生劇場

 1920年、ニューヨーク郊外、ロングアイランド。
 上流階級の人々の話題は、謎の人物ジェイ・ギャツビーの催すパーティである。
 その隣に引っ越してきた堅実なサラリーマン、ニック・キャラウェイと初めて挨拶を交わしたギャツビーは、かつての恋人デイジーがニックのまたいとこであることを知る。
 ギャツビー邸の対岸には、ギャツビーとその夫トム・ブキャナンの大邸宅があった。
 ブキャナン夫妻を訪れたニックは、デイジーの親友ジョーダンから夫妻の関係は既に冷え切っており、富むにハマー取るという愛人がいることを告げられる。
 第1次世界大戦中、ギャツビーはケンタッキー州に駐屯した際、美貌のデイジーと運命的に出会った。
 若い二人の恋はたちまち燃え上がったが、両家の娘と将来の見通しの立たない青年との結婚は、家族の激しい反対にあう。
 その後、5年の歳月が流れる真に、デイジーはトムと結婚し、一方ギャツビーは酒の密売で財を築き、今では闇の世界のボス的存在にまで成り上がった。
 こうして巨万の富を得たギャツビーは、人々の噂に上がるような大パーティを開くことでデイジーとの再会のチャンスを密かに期待していたのであった。
 そしてギャツビーはニックの紹介で念願だったデイジーとの再会を果たし、二人の恋は再燃した。
 しかし、ギャツビーとデイジーの中を怪しんだトムは、ゴルフで勝負をつけようとギャツビーを誘う。
 一方、マートルの夫ウィルソンは、妻の浮気に気付いていて、カリフォルニアに行って、やり直そうと持ちかけるが、マートルはそれを激しく拒否する。
 ウィルソンを拒むマートル。ギャツビーたちの愛を案じるジョーダンとニック。
 それぞれの愛が工作していく。
 ゴルフ場へと向かう途中、一同はマートルの夫が経営するガソリンスタンドで一同が鉢合わせする。
 ギャツビーの車に乗りたいかというと無の問いにうなずくデイジーに、彼は自分とギャツビーの車の交換を提案。
 ところが、彼女はトムの車でギャツビーと共に走り出してしまう。
 マートルはトムに行かないでと呼びかけるが、トムの乗ったギャツビーの車はデイジーを追いかけて走り去ってしまう。
 コンペに勝ったら、自分に人生を預けてほしいというギャツビーのプロポーズを了承するデイジー。
 だが勝負に負けたトムが、激昂しギャツビーを罵倒し彼の過去を暴くと、デイジーはやはり過去は取り戻せないとトムの元へ戻ろうとする。
 しかし更なるトムの悔辱にたまらず、デイジーはその場から走り去り、ギャツビーはあとを追う。
 トムは彼女は帰ってくるさ…とその背中を見送る。
 マートルが車にはねられて亡くなった。
 ウィルソンはゴルフ場への行きがけに目撃された車に似た車に乗っていたトムを攻めるが彼は否定。
 トムは車に心当たりがある様子だったが口ごもる。
 ウィルソンはマートルを殺した相手への復讐心で半狂乱に…。
 マートルはトムが行きに運転していた車だったギャツビーの車に、トムを求めて飛び出したのだった。
 そして、運転していたのはデイジーだった。
 ギャツビーは、動揺するデイジーに運転していたのは自分だということにしよう、自分の車なのだからと言い聞かせて家に送る。
 ニックは犯人が誰か気付きギャツビーに問い質すが、ギャツビーはニックに口止めをする。
 デイジーが犯人だと知ったトムは、ウィルソンに車がギャツビーのものであることを告げる。
 ウィルソンはギャツビーをたずねる。
 ギャツビーは車は自分のものであり、運転していたのは自分だと答える。
 マートルを殺したのは自分だというギャツビーにウィルソンは、銃を撃ち、追って自らも……。



 ギャツビーのデイジーへの愛は純愛だったんだろうな。
 それに対してデイジーのギャツビーへの愛は、ほとんど打算的出しかないのが哀しい。
 若いころの恋愛は純粋だったのかもしれないが、浮気している夫から逃げ出したかったために、ギャツビーへの想いを利用したとしか思えない。
 純愛ならば、ギャツビーがどんな仕事をしていようとも、彼の元へ走れると思うんだよね。
 マフィアとつながりのある職業だからと尻込みしてしまうあたり、自分の保身を考えているとしか思えないもの。
 そんな愚かで浅はかなデイジーのために、彼女の濡れ衣を自ら着込んでしまったギャツビーって…。
 一番徳をしたのは、ぼちぼち清算したくなっていた浮気相手のマートルの死と妻の想い人であるギャツビーの死を手に入れたトム・ブキャナンではなかろうか。
 しかし、トムとデイジーの夫婦は、これで決定的な亀裂が入たのだろうと思うけれど、世間体を気にして仮面夫婦となるか、本当に分かれてしまうか…。
 これで円満な夫婦に戻ったら、夫婦して認否人だよね。
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2008.09.04
宝塚歌劇 雪組公演
ショー
ソロモンの指輪
作・演出:荻田浩一
ミュージカル
マリポーサの花
作・演出:正塚晴彦
出演:(雪組)水夏希、白羽ゆり、彩吹真央、音月桂、飛鳥祐、未来優希、鳳稀かなめ、緒月遠麻、他
    (専科)未沙のえる
宝塚大劇場

『ソロモンの指輪』
第1場
 宝石商たちに誘われて、青年は指輪のせいが支配する世界に美しきミストレスを探し迷う
第2場
 魔法の指輪の中で紳士と淑女が踊る。
第3場
 指輪の中に生い茂るジャングル。
 人とも獣ともつかぬ美女達の饗宴。
第4場
 海に落ちた指輪。
 幾重にも広がる波紋が、夢幻の指輪となる。
第5場
 荒涼とした大地。風が寂しく旋回する。
 旅人は無情を歌い、天使は悲嘆にくれる。
 そして、西風が夜を運ぶ。
第6場
 指輪に刻まれた記憶。
 清らかな光に満ちた祝祭。
 新しい朝、幾多の歓喜と幸福を指輪は知る。
第7場
 すべては指輪の中に閉じ込められる。
 指輪は様々な思いをその身に包んで踊る。



 ショーが30分というのには、ビックリした。
 短い時間のためか、物語が込み入っているからか、わかったようなわかりにくいようなちょっと中途半端な気分。
 独特な世界観は、荻田ワールドと呼ばれる所以かもしれないが、物語のつくりにわかりやすさを加えてほしいと思ってしまった。

『マリポーサの花』
 とある小国。
 男が、積荷と共に政治犯をメキシコへ向けて送り出している。
 その男の名はネロ。
 ネロは高級クラブの経営者という表の顔を持つ一方で、裏では密輸入取引にとを染めていた。
 ネロの親友エスコバルは、自分達の密輸は大統領サルディバルも黙認のことだが、目立ちすぎるのは危険だと心配する。
 しかし、何度も政変を繰り返し、人々が不満を鬱積させているこの国のために、自分にできることをするのだというネロの意志は揺るがない。
 ネロの密輸にはある目的があった。
 かつてエスコバルと共に軍隊に所属していたネロは、現政府樹立のために尽力した。
 しかし、待ち受けていたのは、大国の後ろ盾によって擁立された軍事政権下での搾取や弾圧、そして貧困…。
 力では世界は変わらないと悟ったネロは、密輸で資金を調達して病院や学校を建設するなど、武力ではない方法で祖国に利益をもたらそうと考えているのだった。
 ネロが裏の事業を起こすきっかけには、イスマヨールという人物との出会いがあった。
 権力におもねることなく、独自にプランテーションを切り盛りしているイスマヨールは、かつてネロが自らの理念を説いて裏の事業への協力を依頼したとき、世の中の役に立つのならばと快諾してくれたのだ。
 そしてその時に出会ったイスマヨールの娘セリアに、ネロは運命的な愛の予感を抱く。
 やがて彼が経営するクラブでダンサーとして働くようになったセリアは、その予感の通り、ネロにとっていつしか特別な存在へと変わっていく…。
 ネロのクラブでは、大統領サルディバルの誕生日パーティーが開かれている。
 そこでネロは、サルディバルから、マイアミの大富豪だというフェルッティを紹介される。
 裏の仕事の件で話がしたいとネロに持ちかけるフェルッティ。
 危険を感じたネロは何のことかわからないとかわし、エスコバルと今後の手の内方を相談するのだった。
 ネロがその場を離れ、歌手として働いているセリアの弟リナレスと話していると、突然銃声が鳴り響く。
 リナレルの紹介で雇った従業員がサルディバルを狙撃したのだ。
 エスコバルが阻止し、事なきを得るが、すべての元凶であるサルディバルを暗殺しようとする気持ちを慮ると、ネロとエスコバルは複雑な心境になるのだった。
 犯人に銃を渡したのはリナレスだと察したネロは、密かにリナレスを問い質す。
 するとリナレスは、外国に搾取され続けるこの国の現状を放っておけないと怒りをあらわにし、近々リーダととなるべき男が亡命先のメキシコから戻ってくれば本当の戦いが始まるだろうと告げる。
 そして、無謀な戦いに意味など無いと止めるネロの言葉に耳を貸さず、リナレスは姿を消してしまうのだった。
 フェルッティの情報を集めていたエスコバルは、彼はマイアミを仕切っているマフィアだとネロに伝える。
 サルディバルが自分達を潰してマフィアと組もうとしていることを知った二人は、イスマヨールに迷惑が掛かることの無いよう、当分取引を中止しようと話し合うのだった。
ことに次第を説明するため、イスマヨール邸を訪れたネロに、セリアは、先日の事件以来リナレスと連絡が取れないと不安な胸のうちを明かす。
 ネロは、リナレスが反政府運動に関わっているらしいということをセリアに告げるのだった。
 今まで抵抗運動など遠い出来事だと思おうとしていたセリアはショックを受ける。
 安全で平和な生活がこの国では当たり前でないことに空しさを感じるセリアを、いつか良くなる日が来ると励ますネロ。
 ネロは、安全のために店を休むようにと指示し、ほとぼりが冷めればまたここにも来ると言い残して去っていくのだった。
 マフィアや反政府運動の思惑が交錯する中で、フェルッティやサルディバルとの決着をつけるため、そして愛するセリアと暮らす祖国に平和を勝ち取るために、動き出すネロ。
 ネロへの想いを自覚してしまったセリアは、ネロが戦いへ赴けば死んでしまうかもしれないと、二人で密かに生きていこうとネロを説得するが、ネロの気持ちは変わらず、生きていたら必ずマリポーサの花を君に贈ると言い残して、ネロはエスコバルと共に再び命を賭けた戦いへ向かっていく…。



 元軍人で、今は高級クラブを経営、裏では密輸もし、政治犯の逃亡幇助もしているネロという人物像が、とても水に似合っていた。
 私の中の水のイメージというのは、『真っ白な王子様』とは真逆なのだからしょうがないね。
 でも、私利私欲のためではなく、悪政の中の民衆のためというのが、宝塚の主役だからこそ。
 タイトルのマリポーサとは蝶という意味で、花の形が蝶に似ている別名ジンジャーリリーのこと。 ハーブスパイスにもなるという。
 キューバの国花だから、この物語も、その辺りが舞台なんだろう。
 そういえば、船で出航して「一晩寝ればメキシコ」という台詞があったね。
 政治情勢の雰囲気からして、キューバそのものが舞台なのかもしれない。
 この革命が成功するのかどうかまでは描かれていないが、セリアの元にマリポーサの花が届けられるというラストシーンが、なんとなく切なくて、本人がマリポーサの花を持ってこられる日が来ることを祈りたくなった。
>葉月の目次

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