九八式水上偵察機(E11A1)

 九六式水偵の後継機として作られた九八式水上偵察機であるが、この
両機種は水上偵察機と称されているが、従来の浮舟式水上機とは異なり
機体そのものが飛行艇である。本機の特徴は艦載されて夜戦部隊と協力、
夜間に敵艦隊への触接を目的とした新機種であって、別名を夜間偵察機
(夜偵)とも称されていた。その性格上、できるだけ低速で長時間飛行が
可能な事や、そのため操縦者が疲れない安定性の良さ、浮舟式より高い
耐波性が求められた難しい機種であった。
 しかし、九八式水偵が制式化された頃すでに、稀代の傑作機といわれ
た双浮舟式三座の九四式水偵が実用化され、広範な用途に対し極めて高
い実用性を示し、また夜間偵察などにも活躍していた事もあって、この
機種は本機が最後で、その後作られなかった。
 日華事変末期から太平洋戦争初期にかけて、第二艦隊(夜戦部隊)に属
して活動したが、その行動は地味なもので、後には、後方連絡と輸送に
転用された。


九八式水上偵察機(E11A1) 要目表

九八式水上偵察機(E11A1)

製作記号 E11A1 試作名 十一試特殊偵察機 コードネーム Laura

寸 度   全幅 14.490m  全長 10.710m 全高 4.520m
      翼折りたたみ時  全幅 5.500m(後方へ折りたたみ)
    主翼弦長 −−−m(中央)〜−−−m(翼端)
    補助翼幅     m×     フラッフ幅 −−−m×
   翼折時全幅 −−−m     翼折時全高 −−−m
   水平尾翼幅 −−−m     垂直尾翼高 −−−m
    主輪間隔 −−−m     主翼上半角 −−−度
     後退角     % 翼弦で−−−度°

面 積 主 翼 46.400(補助翼を含む)   水平尾翼 −−−
   垂直尾翼 −−−屐          補助翼 −−−屐滷
    昇降舵 −−− 抵抗板 −−−屐滷 方向舵 −−−

重 量  自重  1,927 総重量 3,297kg(正規)−−kg(爆撃過荷)
             搭載量 −− kg   −−kg(偵察過荷)

発動機      愛知 91式22型 水冷W型 12気筒×1
         離昇馬力    630hp/−−−rpm/ −−m
         公称馬力    520hp/ 2,000rpm/1,000m 
               −−−hp/−−−rpm/m

プロペラ  木製固定ピッチ式  4 枚羽根 直径 3.400m
                 ピッチ −−−度〜−−−度
燃 料   1,165函   ヽ蝓〔 77

性 能   最大速度  117.0kt( 217km/h)/ 2,400m
      巡航速度  70.0kt( 130km/h)/ 1,000m
      着水速度  50.0kt( 104km/h)
      上昇時間  3,000m〜17分27秒 −−−m〜 分秒
    実用上昇限度  4,425m
      航続距離  1,115nm ( 2,063km)13.9h
            但し、80kt(148km/h)にて
            −−−nm(−−−km)(爆撃過荷)
            −−−nm(−−−km)(偵察過荷)
      離陸距離 (無風) −−m  (風速 −−m/s) −−m

武 装   胴体機首上   7.7mm旋回機関銃  1門
      機  首   −− mm固定機関銃 −−門
      爆  弾   −−kg×−− 又  −−kg×又は−−kg×

乗 員   3名      初号完成   昭和12年 6月  日

設計・製作  愛知    生産機数 試作1機含め 17機
 


備考 単発推進式 複葉


  
九八式水上偵察機(E11A1)三面図

九八式水上偵察機(E11A1)の解説

 海軍は昭和11年に、愛知、川西に対して、海軍で初めての夜間偵察機
九六式水偵の後継機、十一試特殊水上偵察機(夜間偵察機)の試作を命じ
た。愛知は九六式水偵と同じく森盛重技師を主務者として、昭和12年8
月に九六式水偵を発展させた複葉式の試作機を完成させ、一方、川西は
斬新で独創的な逆ガル式の単葉機を完成させた。
 両社の試作機をテストされた結果、愛知機の方が操縦性、安定性及び
航続性能にすぐれいるとして、昭和13年4月に九八式水上偵察機(E11A1)
の名で制式採用となった。採用時には、既に万能偵察機と謳われた傑作
機、九四式水上偵察機が活躍中であり、単能な本機の使用価値が薄れて
おり、少数機(17機)が生産されて哨戒に使用されたが、のちには連絡用
や運送用に転用された。