Last Up Date 2003/02/10
第5章 小説
第3条 主題・題材・題名
第2項 題材・モチーフ・材料

 題材はある意味、小説特有のものかも知れません。エッセイ・俳句・短歌などにもないとは言えませんが、意味合いが違い ます。第3条で述べた通り、小説はテーマを題材を通して伝えること、だと言いました。ある意味で間接用法だと。ですから、小説において題材選びは重要な位 置にいると言えます。これで小説が変わるわけですから。
 例を一つ。『リング』は「家族愛」をテーマに「ホラー」という題材で描いている、とどこかで述べました。それと同じで、『北の国から』では「家族愛」を 「貧乏と不幸」という題材で描いています。『一つ屋根の下』もそうでしょう。ですから、同じテーマでも選んだ「題材」で随分違う作品に仕上がっています ね。
 これだけでも題材の必要性は理解されたと思います。では、実際にどう題材を選んだらいいのでしょう。

「そんなこと知るか、ボケ(爆笑)」

 いえ。一言で言えば、そうなっちゃいます。だって、そんなのは人それぞれですもの。しかし、これでは「ベストセラーな んてダイッ嫌い!!」の意味がありません。題材の選び方について検証してみましょう。
 どのジャンルであろうとも──純文学・大衆小説・歴史小説・ファンタジー・SF・ホラー・ミステリ・ライトノベルズ・童話・耽美小説など──、「テー マ」そのものに違いはたいしてありませんっ! 世の中には「純文学」を尊び、「ジャンル小説やライトノベルズ」を卑しむ人がいますが、それはハッキリ言っ て間違いです。ジャンルとは方法論の違いなのですから。

 なぜ、こういう違いが生まれるかと言えば、それは「題材」の選び方です。「セックスと苦悩」を用いれば「純文学」に、 「酒と煙草と暴力」だったら「ハードボイルド」、「トリックと怨恨」で「ミステリ」、「剣と魔法」で「ライトノベルズ」(爆笑)。まんまですね。だから、 大賞ものって回数を重ねるごとに質が落ちるんですよ。
 正直、こんなのを用いなくてもジャンルものは書けます。ただ、「固定概念」が邪魔をしているだけです。そういう意味で、新しいものに挑戦した作品の一つ が、加納朋子『ななつの子』です。ちなみに、『第三回鮎川哲也賞』を受賞した作品です。この鮎川氏でピーンときた方はマニアです(苦笑)。これは「ミステ リ」の賞ですが読んでみれば分かるとおり、一般的なミステリだとは思わないでしょう。もう一つとして、北野勇作がいます。彼の作品も読めば分かりますが、 一般的なSFとは違います。けれど、どちらもミステリでありSFです。ここでは敢えて「答え」を教えることはしませんので、どう違うのか、実際に読んでみ てください。

 題材って何でしょう。ちょっと疑問に思ってみたり(苦笑)。「テーマ」も「題材」もそこら辺に転がっているのに誰も気 がつきません。別に「おもしろさ」だけでも「テーマ」になりますし、娯楽小説を馬鹿にする気もありません。「苦悩」だけを描く日本の「純文学」という名の 「私小説」だって、それはそれで構いません。あるいは「実体験」をそのまま小説にしたエッセイのような「純文学」でも。小説っていうものに形がないので、 どうこう言ったって仕方ありません。ただ、勝手に自分達で「形」を与えているだけなのですから。
 ジャンルはあくまで便宜上の枠組みです。「こういうものが主体ですよ」というだけで、純文学が偉いのでも、ライトノベルズが幼稚なわけでもありません。 そこに共通する概念に尊卑がつけられないように。
 実のない果実は誰も見向きもしません。種があれば、それだけで機能として問題はありませんが。しかし、実があっても腐っていたら誰も食べません。それと 同じことです。
 そう言えば、話がずれていますね。題材選びでしたね。でも、一言で言えば、やっぱり……

「知るか、ボケ(笑)」

になるんですよね。しかし、これを読んでいれば、何となく掴めるはずです。今回はちょっと間接表現でやってみました。

*このページに書かれていることは、壬桜華の私見であり、必ずし も絶対とは言えません。
最終的には、ご自身で判断してください。


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