Last Up Date 2003/02/12
第5章 小説
第4条 プロット

 さて、今までは「小説」について根幹的な部分を述べてきましたが、ここからは小説の「基本的技術」について述べていき ます。
 プロットとは、小説の最も基本となるデータ集のことです。物語のあらすじ(本の最初や雑誌にあるような「いいところ」までの内容ではなく、ラストまで書 かれているもの)と人物設定、様々な事象に関する設定──要するに、設定集ですね。
 このプロットは人によって書式が違うので、書式や内容について一様には言えません。図表のようなもの、論文のように理論づいたもの、いくつものネタが乱 雑に書かれているだけのもの。実に多彩な種類のプロットが存在します。作家の数だけプロットの書誌気軽と言っても過言ではありません。
 ちなみに、私はプロットを書きません。このように書くと、何か勘違いされそうですね。別に、世の中にいるような「プロットは自由な作風の枷だ」とか言う 人と同類ではないので。考えていないのではなく書かないだけです。つまり、すべて頭の中に入っていて、絶対忘れてはいけないことだけメモしているのです。 それに加え、先にあらすじのような骨格文章を書いて、それに文章を乗せるのでプロットを必要としないのです。しかし、一般的ではありませんので、良い子は 真似しないで下さい(笑)。(もっとも、最近は覚えている暇がないので、記憶しているものを文字化していますが)

 では、一般的なプロットとはどのようなものでしょうか。いや、ないんですけどね(苦笑)。しかし、共通するプロット内 容は存在します。

・世界観
・登場人物
・(物語の)概要
・独自の言葉・事象の説明
・人物相関図
・地図・地形
・タイムテーブル

 主要な者を挙げれば、これははずせないものでしょう。他にも挙げればいくらでもあると思うのですが、とりあえず、これ だけ挙げれば問題なくプロットを作成することができます。

 まず、「世界観」についてですが、これについては「第六章 世界観」で記述するので、ここでは簡略にしておきましょ う。世界観とはすなわち、物語の舞台です。現実世界や仮想世界、並列世界、(近)未来世界、異世界と、いろいろとありますが、結局は世界です(苦笑)。現 実世界だろうとファンタジー世界だろうと、たいした差はありません。必要なのは、そこは「登場人物達にとって現実」であることです。
 次に、「登場人物」ですが、これも「第七章 登場人物」で深く述べます。物語に登場人物がいなければ、話になりません(苦笑)。登場「人物」と書きまし たが、「人」である必要はありません。人工知能でもいいですし、動物でも未知の生物でもモノでも何でもかまいません。物語に登場し、物語を進行するなら ば。
 「(物語の)概要」ですが、これは先述した「あらすじ」です。まず、イメージとして全体の流れが分からなければ物語も進行できません。「こんな感じの物 語で、こういう風に進みます」といった程度のものでかまいません。第一章はこの様な展開で、第二章はこんな感じ、とくらい書けば問題ないでしょう。ただ、 小説の端や文学雑誌に載っている「宣伝文」とはまったく趣を異とします。それは忘れないでください。
 その次の「独自の言葉・事象の説明」は、そのままですね。たとえば、この条項でも私は「骨格文章」という言葉を使いました。いくら調べても辞書には載っ ていません。私自身が創り出した造語なのですから。そういう分からない言葉・事象について説明文を書いておけば、他人に説明するときも、それを利用できま す。ちなみに、「骨格文章」は「根幹となる基礎的な物語を書いた文章」という意味で使ってみました。
 「人物相関図」は登場人物の関係です。「登場人物」の欄に含まれると言えばそうなのですが、人間の関係って微妙ですよね。ですから、細かい関係まで含め れば別項目として書いた方が楽です。特に図にすると、誰が誰とどんな関係で、どんな感情や上下関係を持っているのかが分かります。
 「地図・地形」はもう言うまでもなく、舞台となる地図があれば、人物がどう動くか分かりやすいですし、地形によっては気候風土など異なりますし。面白い 例では、『指輪物語』には、実際に等高線で書かれた地図が載っています。それは世界を理解するうえで、重要な挿絵でもあります。もっとも、プロットで精緻 な地図を造る必要はありませんが。
 最後の「タイムテーブル」ですが、これは「概要」と少し異なります。つまり、どの時間にどの場所でどんなことが起きていたか、というものを書いたもので す。一人称の物語で時間通りに物語が進行しているものなら意識しないのですが、複数の人が別の場所で同時にいろいろなことをしていると、この存在は非常に 助かります。そうですね、『ブギーポップ・シリーズ』はタイムテーブルがなければやっていけないでしょうね。逆に言えば、あれのタイムテーブルを作った ら、実は「粗」が見つかったりして(苦笑)。
 この項目をまとめて書いておけば、プロットは完成です。

 間違って欲しくないことは、これはあくまで必要事項の例です。別に、これ「だけ」あればいいわけでも、これ「以外」書 かなくていいわけでもありません。それは自分が必要に応じて加減することであり、すべての小説に当てはまるわけでもないのですから。
 以前に「文章構成は文章の青写真」と言ったように、「プロットは小説の青写真」です。私も「書いていない」だけであって、「作っていない」わけではない のですから。つまり、人と違うプロットの作り方をしているに過ぎません。ですから、「アレが書いていないんだから、書かなくていいや」ということにはなり ません。書いてなんぼのものですから(苦笑)。
 赤川次郎氏もプロットを書かないことで有名ですね。しかも、複数の作品を平行して書くことでも。ああいう人は邪道を歩むタイプで、絶対に人の規格には合 わない人です。ですから、そういうのも真似してはいけません。

 いくら説明しても、こればかりは理解してもらえないでしょうね。ですから、一度プロットを立ててみてください。その必 要性がきっと分かるはずですから。

*このページに書かれていることは、壬桜華の私見であり、必ずし も絶対とは言えません。
最終的には、ご自身で判断してください。


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