Last Up Date 2003/02/19
第6章 世界観
第1条 世界観とは何か

 「世界観」とは小説の舞台であり、そこに生きる者の方程式・常識です。
 この現実世界は──人間の住む地球は空気があって、水があって、動物がいて、自然法則に則って運営されているわけです。そこには物理法則があったり、人 間社会は憲法・法律・道徳・モラルというルールが作られ、それによって社会が動いているわけですし、そういうのって枚挙に暇がないですね。でも、ここは確 かに私達の住む、実際に生きている「世界」です。
 それと同様に、小説世界は小説の登場人物達の「世界」です。彼等の「現実世界」なのです。ですから、彼等の土台となる世界観がしっかりしていないと、そ の上で生活している人物達、起こる事件は嘘っぱちになってしまうんです(いえ、最終的にはウソですけど)。
 仮に、現実世界を舞台にするにしても、現実世界のルールや常識に縛られるわけで、好き勝手やっていいわけではありません。つまり、「世界観」とは「ルー ル」と言えるわけです。
 ライトノベルズなどは一見すると(世界観は)ハチャメチャですが、それだって無意識的にルールに従っているんですよ。考えてください、大抵の小説は「現 実世界の物理法則」に従っているでしょう?

 つまり、世界観は「その物語の現実世界」と「ルール」なのです。
 とりあえず、この二つを頭に入れて話を進めましょう。まず、なぜ世界観が必要なのか、そこから行きましょう。現実世界、異世界、(近)未来世界、パラレ ルワールド、何でもそうですが、その世界を選ぶ理由があります。たとえば、ライトノベルズであれば、「剣と魔法」という材料を使いたいために中世西洋風世 界を用いるわけです。これは海外のファンタジー小説の影響によるもので、最近では中華風世界、和風世界を始め、パラレルワールド的な現実世界で「魔法」を 使ったりもしていますが。またはSFではタイムマシーン、光速宇宙飛行など現代では不可能な材料を使いために(近)未来世界を用いるわけです。
 何がしたいのかで、選ぶ世界観も違うわけです。作品の目的にあわせるものであって、先に世界観があってはいけません(TRPGみたいに「世界観」による 作品作りというのもありますが)。

 世界によってルールは当然変わります。たとえば、現実世界に超能力を持ち込んだとします。そうしたら、現実世界のルー ル+超能力のルールが加わるわけです。でも、これだけでは終わりません。もし、その世界では「超能力」が一般的だったら、当然現実世界とは異なった系統を 歩むはずです。超能力者が少数なら彼等は特権階級ですし、彼等が世界を牛耳るわけです。また、超能力によって多くの発明品は生まれなかったり、遅く発明さ れたり。もしかしたら、日本は戦争に「勝って」しまったかも知れない。そうすると、その世界の日本はガラリと変わって、超能力者による軍閥政治下にあるか 知れません。単純に現実世界に超能力を加えるだけでは終わらないのです。
 具体例を挙げると、川上稔の『都市シリーズ』がそうです。あの中で「風水師」や「五行師」、あるいは「神形具」などの設定を現実世界に組み込んでいるた め、都市シリーズは世界の歴史自体は現実と同じですが、細かい部分で違っています。
 いい加減な世界観でも小説は作れますし、そもそもにおいて「ベストセラーなんてダイッ嫌い!!」の内容を知らなくても、小説は書けます。でも、それは 「覇王道」です。その茨の道は1割以下の成功者と9割以上の挫折者で構成され、挫折者のほとんどどは一歩目の階段にすら登れません。
 それは博打を打つようなもので、このコンセプトである「小説が書けるようになる」とはまったく正反対なのです。ですから、あれこれ言っているわけです。

 話を戻しましょう。世界観とは「ルール」と言いました。現実世界しかり、万物はルールによって支配されています。方程 式、あるいは数といってもいいかも知れません。これについては自然科学系や数学、社会学・法学系の人間なら理解されることでしょう。ただ、文学系(つまり は、一番小説を書くであろう人間)は実感として理解しづらいのではないでしょうか。
 自然科学や数学は法則や方程式というものが基本となりますし、社会学・法学は憲法・法律・規則・モラル・認識の共有というものを学ぶわけですから、 「ルール」の必要性や根幹を理解しているはずです。
 しかし、文学系に至っては「ルール」を見いだしづらいのです。もちろん、見つけられないこともないのですが、文学(日文・英文・仏文・独文など)・言語 学は特殊性が多く、一見「ルール」がないように見えてしまうんです(だから、多くの場合、好き勝手な論証と言われるんですが)。
 本当は日本だけに限定しても、文学の流れがあり、時代・地域で共通性が存在します。しかし、個人を扱う文学はそれを見失ってしまう場合があります。それ が文学を学ぶうえでの問題点なのですが。
 いかにルールが必要なのかは実感しなければ理解できません。それはここで書いているすべてに当てはまりますが。百聞は一見に如かず、一度、ビシッとした 世界観を作ってみるのが一番です。早速、具体的な世界観について考えていきましょう。

 でも、話はまだ終わりません(苦笑)。「世界観」と「世界」は違います。「世界観」とは先述した通り「ルール」です。 「世界」とは歴史とそれによって生み出された現在のことです。歴史は連綿と続き、その積み重ねが今をつくっています。すべての出来事は直接的間接的に影響 を与え、歴史の事実は不必要なものなど何一つありません。
 つまり、世界観はその世界のルールであり、世界はその世界の事実と言えます。この違いはこれから説明するうえで間違いやすいので、あえて書いておきま す。

*このページに書かれていることは、壬桜華の私見であり、必ずし も絶対とは言えません。
最終的には、ご自身で判断してください。


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