Last Up Date 2002/12/28
第1章 日本語
第2条 文字としての日本語

 文字についても、深く掘り下げると面白いことがいろいろとありますけど、ここでも教養程度でおさえておきます。
 まず、知ってもらいたいこととして、日本語の文章は「漢字仮名まじり文」だということです。つまり、日本語は漢字と仮名(ひらがな・カタカナ)を基本と した文章ということ。要するに、今見ている文章そのものですね。

 第1条で先述したとおり、文字は「漢字」「ひらがな」「カタカナ」「ローマ字」の四種で構成されています。知ってのと おり、漢字とローマ字はもともと外国語です。純粋な日本語の文字と言えるのは「国字」「ひらがな」「カタカナ」のみと言えますが、たいした問題ではありま せん。ここでは、四つの構成要素がある、とだけ覚えておいてください。
 軽く説明を加えると、漢字は中国で使用されていた文字を直接輸入したもの。ひらがな・カタカナはその漢字を崩したり、一部を取り出すことで新しい文字を 創作したもの。ローマ字は古くは古代ローマから使用されていた文字ですが、現在、日本が使用しているローマ字表記はヘボンという医者が発明した表記法で す。あと、国字とは日本で作られた漢字のことです。
 語彙は「和語」「漢語」「外来語」の三種類が存在します。基本的に、用言や体言(名詞)はこの三種類から成り立っています。
 「和語」とは日本古来の言葉のことで、俗に言うと大和言葉のことです。「大和[やまと]」「天[あめ]」「撫子[なでしこ]」など、主に訓読みで読む言 葉のこと。言葉自体は漢字が輸入される前からあり、それに漢字を付与したものです。ですから、『万葉集』などから例を求めるとしたら、「許己呂[ここ ろ]」、「奈津可之[なつかし]」、「丸雪[あられ]」など万葉仮名でも音自体は同じであるわけです。日本独自の言葉が「和語」です。一般的には、訓読み と思ってかまいません。
 「漢語」は中国から輸入された言葉のことで、「蛇足」「矛盾」「漢字」などのようなもの──漢字で表記され、音読みする言葉──です。ただ、和製漢語が あるので、漢字を音読みする言葉が純粋な漢語とは言えません。もっとも、漢語には違いありませんが。ですから、漢字で音読みする言葉イコール漢語と思って ください。その中に和製漢語が含まれているということを忘れなければ。
 「外来語(洋語)」は中国以外の、主に欧米から来た言葉のことであり、「インターネット」「エスプリ」「ガラス」「カステラ」などのようなもの──主に カタカナで表記される言葉──です。ここでいう外来語は中国語(漢語)以外を指しています。多くは欧米の言語だったものを日本語化させています。そのた め、洋語ともいうわけです。
 最近は、何でも音をそのままカタカナで書かれるので、よく分からない語もけっこうあります。または日本語で、すでに存在している言葉を英語化したりと、 単純にカタカナが外来語とも言えない状況です。いえ、外来語ではあるのですが。
 日本語の表記の仕方は、以下のようになっています。

(1) 漢字は原則として「常用漢字表」にある漢字を使用する。その範囲外漢字は言い換えるか、仮名で書く。
(2) 常用漢字表外の漢字、特殊な読み方の場合はルビを振る。
 ・固有名詞
 ・栄典、称号、官職名
 ・文芸作品、美術品、映画、歌謡曲などの作品名
 ・古典芸能
 ・学術用語
 ・その他、言い換え、書き換えが困難なもの
(3) 連体詞、感動詞、助動詞、補助動詞、形式名詞、接頭接尾語は原則として、ひらがな。
(4) 外来語、外国の地名(中国・朝鮮はのぞく)、擬音語、擬声語、擬態語はカタカナ。ただし、「米・英・独・仏・伊」などの表記法は例 外。
(5) 接続語、代名詞、副詞は原則的にひらがな、ただし常用漢字表を使用できるものは漢字表記できる。
(6) 熟字訓(常用漢字表の付表による)、国字は漢字(例:明日[あす]、小豆[あずき]、榊[さかき]、峠[とうげ]など)。

 実は漢字というのは、あまり多くの種類を使いません。確かに、漢字を全て挙げれば、挙げきれないほど存在します。です が、現在、日本では常用漢字──一般的に多く用いられる漢字──として、常用漢字表が作られています。常用漢字表に表記されているのは1945文字だそう です。もちろん、旧字(學〈学〉・會〈会〉など)などは入ってはいません。
 ちなみに、常用漢字表というのは昭和56年10月1日内閣告示第1号で、「法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など、一般の社会生活において、現代の国語 を書き表す場合の漢字使用の目安を示すもの」として制定された表のことです。
 しかし、たったこれだけの数の漢字でも問題なく、きちんとした文章が書けるのです。仮に、ひらがな・カタカナ・ローマ字を入れたとしても約2070字ほ どですし。これだけで、多くの文章が構成されていると思うと日本語というのは面白いですね。
 日本語は「漢字」「ひらがな」「かたかな」「ローマ字」を基本として、語彙は「外来語」が増え続けていますし、擬音語・擬声語・擬態語を新作できます。 また、漢字は英語などと比較して造形力があり、漢字同士を組み合わせることにより、新たな単語・熟語を創ることも可能です。
 そういう意味もあり、日本語は変化に富んだ言語だといえるのです。漢字で新しい単語を造語することもできる上、外来語をそのまま取り入れているのですか ら。

 かなり簡単ですが、これで日本語についてはおおむね説明し終えました。
 興味のある人は、日本語の入門書として金田一春彦先生の『日本語(上)(下)』(岩波新書)という新書があるので、よければ見てみては。
 金田一氏は国語学の大家です。この人の名前を知らない国語学・言語学関係者(学生も含む)はモグリです。いえ、ホントに。それほど凄い人なのです。持っ ていたら国語事典を見て下さい。きっと編者の中に、金田一氏の名前があるはずです。……もっとも、彼が実際に携わった事典はほとんどありませんけど(苦 笑)。
 以上のことが、日本語の文字としての特徴です。文字の少なさなら、英語の27字の方が少ないですが、ABCだけでは表現はできません。waterと羅列 して初めて意味をなすのです。しかし、漢字は「水」という一言で水を表現することができます。そういう意味で、漢字は面白いですし、それに加えてひらが な・カタカナ・ローマ字さえも同じ文中に利用できる日本語は、豊かな表現するのにもっとも優れた言語ではないでしょうか。

*このページに書かれていることは、壬桜華の私見であり、必ずし も絶対とは言えません。
最終的には、ご自身で判断してください。


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