
後藤の場合 虜
後藤の様子の変化は、市井にとっても気にかかる所であった。
その場その場の快楽を与えることで思い通りになる矢口や保田と違って、
後藤はこれから自分の手足となって働いてもらわねばならない。
後藤もうっすらと自覚しているようだが、夏先生の件から分かるように、
彼女の中で市井に対して歪んだ愛情が芽生えてきているのかもしれなかった。
その歪んだ愛情に対し、困惑しつつもより歪んだ接し方しか出来ない市井であった。
ある日、いつも通り「儀式」を済ませた市井は、放心状態の後藤に向かってこう言った。
「ちょっと出かけようか。フフフ・・・。」
「??・・・はい、サーヤ様」
「じゃあ、ちょっとおめかししようか。着替えてきて、この服に」
いつもなら「コートの下は亀甲縛りな」などと責めしか許さない市井が妙に優しい。
多少の不信感にも、言われた通り着替えてきた後藤。
意外にも普通の服なのだが、下着は普段よりセクシーなものであった。
「じゃ、行こう。・・・あ、車の手配するの忘れてた。電車でいい?」
「ええ、いいですけど・・・。」ますます不思議がる後藤。
普段から電車はよく使う後藤だったが、市井と乗るのは初めてだ。
変装のためか、帽子を目深に被っている。
市井はラフなスタイルで、終始笑顔だ。
後藤は、その笑顔が何時までも続くといいな、と思いつつ二人でホームに立った。
瞬間、後藤の一番敏感な部分に痺れるような感覚が走った。
しゃがみこむ後藤。市井は心配したようなそぶりを見せ、
「大丈夫?真希。」と気遣う。
嘘のように痺れは無くなり、ちょうどやってきた電車に乗ることが出来た。
電車の中は生憎混み合っていて、ふたりして柱につかまった。
次の駅でさらに乗客が増え、市井と後藤の間は多少離れてしまった。
その瞬間、再び後藤の局部を振動が襲った。
『えっ・・・何???』これはいつも味わっている感覚ではない。
助けを求めようと市井のほうを垣間見た。すると、先ほどまでの
無垢な笑顔ではなく、二人だけのときに見せる冷たい笑顔の市井がいた。
そして、後藤は全てを理解した。
振動は波動のように繰り返した。あまりの快楽に倒れそうになるのだが、
満員電車の中では倒れることも出来ない。
市井のほうを哀願する眼差しで見つめるが、市井は意地悪な笑顔を返すだけである。
つい、声を出してしまいそうになるが必死で堪える。
それを見て、市井はバイブの強度を上げた。さらに苦悶の表情を浮かべる後藤。
周りのオヤジたちもようやく後藤の異変に気づいたようだ。次々に声をかける。
「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」「いったん降りたら?」
声がかかるたびにバイブのスイッチを止める市井。そして
「いえ、大丈夫です。」と笑顔を返す後藤。
オヤジたちが降りるとまたバイブのスイッチを入れる。
「くぅ、ううう」
そして、快楽に必死で耐える後藤の様子を見てほくそ笑む市井。
このプレイは、山手線を5週半して終った。
部屋に戻った市井と後藤。
特に後藤は疲れ果てていて、部屋に入るなり
ばったりと倒れてしまった。とたんに、市井はバイブのスイッチを入れる。
「あああああ!!!!」
今度は思う存分声をあげて悶える後藤。
『このパンティー、これからも使えるわね』
バイブを仕込んだパンティーの思わぬ効用に味を占めた市井。
しかし、洗濯するとバイブは壊れてしまい、その後二度と使われることは無かったという。