
保田圭・罪と罰
そうだよ、確かにあのとき
あたしはパーカーを握るタイミングをわざとずらした。
首をしめられた苦しさに振り向いたあいつは、オンエアー中だったから
笑っていたが、目は氷のように冷たかった。
あたしは、そのとき、後から加えられる制裁を想って
恐怖と、悦びを押さえきれなかった。
自分でもバカなことしたな、と思ってる。
なんでって? あいつのサディズムに耐えられなくなった、、、
そんなわけじゃない、ただ、、、3人組になってから、あいつが
あの娘ばっかり夢中で、あたしはただ、おいてきぼりにされて、、、
そうだね、いじけた猫がご主人様を引っ掻いたようなものさ
哀しいよ。自分でもそう思う、、、だけど、、、
ドン!控え室のドアが大きな音で叩きつけられるように開いた。
「圭、、、お前自分が何したかわかってんだろうなあ、、、」
ファンには絶対見せない怒りの表情で あいつが仁王立ちしている。
後ろに後藤が恐怖と優越感に満ちた視線をこっちに向ける。
あたしは震えを押さえきれなかった、、、恐怖?
いや、あいつの「愛撫」を久しぶりに受けられる悦びに
たとえそれが痛みであっても
保田圭・ギブス
あいつが39Cの熱を出して入院した翌日、
目を泣き腫らして朝帰ってくる後藤に出くわした。
あいつは何も言わなかったが、あたしには何処に行っていたかすぐわかった。
いたたまれなくなったあたしは、あいつのいる病院に行ってしまった。
あたしが部屋に入ってもあいつは気づかない。
赤く上気し、意識のないあいつの顔を見ていたあたしは、思わずあいつの
頭を抱きしめた。あいつの熱の感覚、肉の存在感があたしをふるわせる。
「、、、冷たくてきもちいい、、、」気づいている!?
最近の冷たいあいつからは思いもかけない言葉にあたしは動揺した。
頬に伝わる熱い感触に私は驚く。
涙!あたしが泣いてる、、、
「マキ、、、」
一瞬、時間が止まり視界が暗転した。
あたしは完全に絶望の奈落に突き落とされていくのを感じた。
あたしに出来るのは どこまでも続く落下の感覚から
現実に自分をつなぎ止めておくためにあいつを強く抱きしめている
だけだった。声を殺して泣きながら