『著作集』 V ol.1(PDF 140KB)『小説』
牧野信一著。『痴日』、『緑の軍港』、『ゼーロン』、『文學的自叙伝』。印刷A4用紙**枚、400字詰原稿換算**枚。「青空文庫」より。
 明治29年11月12日、神奈川県小田原に生まれる。生後半年で、父が単身渡米。幼時からオルガンや英会話を習い、他国の父への憧憬を募らせた体験が、牧野の幻想的作風の母体となったとも考えられる。早稲田大学英文科卒業後、同窓の下村千秋(らと同人誌『十三人』を創刊。ここに載せた処女作『爪』(1919)が島崎藤村に認められた。1921年(大正10)鈴木せつと結婚して小田原へ帰るが、中戸川吉二より雑誌『随筆』創刊のための助力を求められ、上京。『随筆』編集を通じて葛西善蔵、宇野浩二らを知り、第一創作集『父を売る子』(1924)を刊行する。この時期の作品は、父母を題材にした露悪的かつ自虐的な私小説的作風をもつが、戯画的色合いも強い。昭和期に入ると、小田原近辺を舞台とする身辺描写にギリシアや中世のイメージを導入した明るい幻想的作風に転じ、『心象風景』(1931〜32)、『ゼーロン』(1931)、『酒盗人』(1932)などを書くとともに、雑誌『文科』を主宰。その後『夜見の巻』『天狗洞食客記』(ともに1933)などの佳作を経て、しだいに暗い私小説的作品が増し、自己嫌悪や母親憎悪の度を深めた『鬼涙(きなだ)村』(1934)、『淡雪』(1935)などを残して、昭和11年3月24日縊死(いし)自殺を遂げた。
「折々の随想」読者サービス本。