4月2日 火曜日 関川夏央君

 

『よい病院とは何か』は十年ほど前に出版された。

これは去年十月に初版された『本読みの虫干し―日本の近代文学再読―』といっしょに注文したものである。前者をなぜ買ったかといえば、目録を見ていて、「病院」が目についたからだ。ここには四十六日間厄介になってきたばかりなので、そりゃぴぴっと目につく。
 
前者は内容からして、寝て読むようなものではない。生き死にがかかっていて現実そのものだ。こういう読み物は苦手だが、関川君が座りなおしてものしたものに違いないので、敬意を表して慎重に読むことにしよう。
 
後者は楽しみのもの。読み出してみたら、期待にたがわず楽しいね。まず第一は、内容は無論だが、原稿用紙五六枚分でまとまっているのがありがたい。
次には、彼の姿勢が嬉しく頼もしい。
 それは、外国との関係の中の日本というテーマが一貫していることだ。まあこれは、彼の人生姿勢そのものだが。つまり、漱石鴎外以来の嫡流なわけだ(軽い文体でそんな風にはまったく見えないが、伝統を身に染み込ませた本流そのもの)。そこに立って、新しい生き方方向を模索していること、

それが、ちゃんと表現されてある。だから嬉しい。だから、つい、関川夏央君と呼びたくなるのである。また東京人ではなく、地方人、新潟、であることも。


『よい病院とはなにか』 目次

  • この本はなぜ書かれはじめ、著者の興味は結局どこに至ったか。
  • 白いブラックボックス(心臓外科病棟
  • がん医療の現場で
  • 日出づる国の脳神経外科
  • 奇妙な平穏、不思議な秩序(老人病棟
  • 「常識人」の目で見た医療現場の現在と今後(四つの病院を再訪する
  • ここに規則はない。ただ生活がある。(特別養護老人ホーム

病気・老化・死、そこで誰もが平等である。