集団的自衛権って何だろう
 小泉首相は就任直後「集団的自衛権を行使できるように憲法解釈を変更するべきでは」と主張されました。そして、ニューヨークで起こったテロにより集団的自衛権についての問題が今、ホットイシューになっています。
 そこで今回は集団的自衛権について考えてみよう。君は集団的自衛権についてどう思う?

 っていうか、集団的自衛権とはどういうものか、説明してよ。

 うん、わかった。
 「集団的自衛権」とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力で阻止する権利をいうんだ。 簡単に言えば、一部の仲良しグループでそのグループの一員が攻撃されたときにはお互いに守り合いましょう、というもの。
 例えば、本人A(日本国)と親密な関係にある友人B(米国)が歩いている時に、他人C(某攻撃国)が突然に因縁をつけてきて「兄ちゃん、今、俺の肩に当ったやろ!しばくぞ!」と言いながら友人Bに殴りかかってきたとします。
 警察官(国連)が近傍にいて、直ちに他人Cの攻撃を防ぎ逮捕すればいいのですが、必ずしも警察官が近くにいるとは限りません。その様な場合友人Bは当然他人Cの攻撃を防ぐこととなりますが、これは友人Bの『個別的自衛権の発動』ということになります。
 しかし、他人Cの攻撃がかなり厳しい場合は、当然友人Bは本人Aと共同して攻撃を防ぐことになります。これは本人Aにとってみれば、『集団的自衛権の発動』ということになるのです。

 へー、なるほど!

 似たような概念にね、「集団的安全保障」というものがあるけど、これは、国際連合のように皆が安全を守ることを約束し、それを破る者にたいしては皆で守っていきましょう、というものであって、集団的自衛権とは別の概念だよ。

 今までの政府は集団的自衛権についてどう考えていたの?

 政府は、日本は国際法上、集団的自衛権を有するが、憲法9条が認める必要最小限度の武力行使の範囲を超えるため、行使はできないとしているんだ。
 すなわち、個別的自衛権は行使する、つまり自分だけは自分で守るが、集団的自衛権、つまり、利害を共にする国ぐにや同盟国(家族同士、親友同士)で守り合うことを、わが国はやりたくない。これが日本政府の見解なんだよ。

『国際法上、国家は集団的自衛権すなわち自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃をされていないのにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているものとされている。わが国が、国際法上このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上当然であるが、憲法第九条の下において、許容される自衛権の行使はわが国を防衛するための必要最低限度の範囲にとどめるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている。』(昭和56年5月29日政府答弁書)

 ふーん、そうなんだ。
 私は今までの政府が考えていた通りをそのまま維持すればいいと思う。他国の戦争に巻き込まれるの嫌じゃん。

 しかし、そんなんじゃ、国際社会から軽侮され、孤立しかねないよ。そしてその結果、日本が他国の侵略を受けた時、誰も助けてくれなくなっちゃうよ。

 う〜ん。たしかにそれはそうだけど・・・でも、巻き込まれるのはチョット恐いな。自分のことは自分で守るじゃ駄目かな。

 例えば、家でテレビを見ているとき自宅に暴漢が押し入り、妻が暴行され、あるいは、こどもが暴行されたとします。その時「自分で自分を守りなさい」と、屈強な大男である夫、父親が傍観しながらそう叫んだとします。これは正しい反応かな?
 町中で暴行されたら、互いに協力しようと親友が提案し、それをいやだと断った場合はどうかな。この場合、互いに別の途をとればよいだろうけど、親友関係は傷つけられるはず。

 うん、それはそうだね。

 今の日本と米国との関係は「米国は血を流し、日本はカネだけ」という関係なんだ。「俺がやられた場合は頼むぞ。ほかの場合は君だけで対処してくれ。なにしろ命は地球より重いのだ。但し、カネ(思いやり予算)だけははずむからな。」ってな感じ。
 ヤーさんの世界なからいざしらず、ごく普通の社会なら、これでは親友関係をつくるのは難しいだろうね。

 おいおい、ヤーさんの世界て。まあでも、そうだろうね。

 そもそも自衛権というものは個別的自衛権と集団的自衛権を包括しています。あくまで状況分類の便宜上、説明するのにこれを分けているだけのこと。
 例えば、他人Cが本人A、友人Bに対して同時に連続して激しい攻撃を加えている場合を考えると、実際問題として『これは個別的自衛権の発動』『この行為は集団的自衛権の発動』と区別することはとてもできなくて、本人Aと友人Bは共同して対処せざるを得なくなることから、『個別的自衛権』と『集団的自衛権』を厳密に区別して議論するのは適切とは思われないよ。

 なるほど。

 自衛権を主張する以上、この際自衛権の一部であるはずの集団自衛権をも主張すべきだよ。侵略や平和の攪乱に直面して、自国だけで自衛できると思っている国はひとつもないしね。あの米国でさえ、同盟国を探し求めているじゃないの。
 日本の半世紀にわたる平和と安全をもたらせた日米安保条約を基本に、日本は今こそ集団的自衛権を是認し、さらなるアジアの平和に貢献すべきじゃないかな。

 なるほど。でも、戦前みたいに戦争に突き進むことにならないかな?ちょっと心配。  

 いやいや、個別的自衛権より集団的自衛権のほうが抑制的なんだよ。同盟を結んでいる国が歯止めになってくれるからね。個別的自衛権だと暴走してしまいかねないよ。

 なるほど。
 小泉さんに頑張って欲しいね



自衛権は全体として、国家の基本権である。主権国家だと広く公認されていない「事実上の国家」ですから、自衛権はあると解される。

1 自然法上、国家には自衛権があります。
2 国際法上、すべての国家に自衛権があります。
3 国連憲章は自衛権について、第五十一条において、個別的自衛権と集団的自衛権を国家の固有の権利と認めています。
4 サンフランシスコ対日平和条約は第五条(C)項において、「連合国としては、日本国が主権国として国連連合憲章第五十一条に掲げる個別的または集団的自衛の固有の権利を有すること及び日本国が集団的安全保障取り極めを自発的に締結できることを承認する」と明記しています。
5 日米間の特殊国際法といえる、一九六〇年の日米安保条約はその前文において、「両国が国際連合憲章に定める個別的または集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し」と明記しています。


  
2001年10月02日