我ら死を定められた者共にとって
希望とはそもそもいかなる時にも存在し得ないものなのかもしれぬ
手を伸ばした途端にしぼむ艶やかな花々はどのような供儀をも求めずに
我々にそれを伝授する

雲のたなびき、風の揺らめき
春の、そして夏の陽の光は一時でも我々を生ある時間から救ってくれたか

すべての初めから我らに与えられた時間とは
摘み取るために植えられた稲穂以上のものであったか

我々が差し出すこの命は
本当のところ喜びに充ちたものであったか

移りゆくものたちの蔭に隠れながらも
我々は本当に逃げ遂せるとでも思っていたのか

世紀を越えて一人の人間が残せるものとは如何なるものであったか

これほど多くの人間が恩恵を蒙りながら
意識に上ることのすらない
この夕暮れの風すらも誰が残せよう

そして誰もがおのれの終焉にこわばった笑顔を向けながら
実のところ何も見れないでいる

一抹の不安がよぎる
心臓が高鳴る
おびえた一人の人間の目の前を
何ものかが通りすぎてゆく
そいつはこうべを垂れながら
微笑みに似たものを浮かべ
私の瞳を窺がう

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