Chrstmas!

3rd

 

By NOB


 

 

 

 

 

 

 

 

 

決心して思い切りお店の近くまでやって来たアスカ…。

 

 

 

 

 

 

曇り空の下、シンジがある店の中に入っていった。

アスカはシンジの後をつけてお洒落なカフェまでやってきたのだ。

「……Moon&Stars…結構綺麗なカフェじゃない」

そのお店は月と星を象徴するかのように店内部は月の表面と同じ色で、

そして天井と壁は星と月のイラストが綺麗に彩られていた。

 

 

 

 

 

 

アスカはお店のまん前…人一人隠せるくらいの看板から顔だけを覗かせ、

お店の中に入っていったシンジを見つめていた…。

変な女の子と思われるが、此処は暫くお店に入っていった

シンジを観察するアスカ…。

 

 

 

 

「……あれ?店員が出迎えない?…なんて接客態度がなってない店なの?」

 

 

 

 

しかし、ガラスの向こうに居るシンジはそれが当たり前かのように、

スタスタと歩いていくではないか……。

訝しげに思いながらもアスカはこっそり目でシンジを追いかける…。

「あれっ…関係者以外立ち入り禁止??…なんであいつ関係者でもないのに…」

もしかして。と、言う気持ちもあるがまさかシンジがバイトを…と、考えるアスカ。

 

 

 

 

 

 

道行く人は看板から顔だけを覗かせるアスカを物珍しそうに見ていった…。

でもそんな事はお構い無しにアスカはシンジが出てくるやもしれぬ、

関係者以外立ち入り禁止のドアを見つめていた……。

 

 

 

 

「…んっ?…………シンジ、なの?」

 

 

 

やっぱりそうか…と、思いながらもアスカは少し見違えたシンジに

ほんのちょっとだけ感動していた…。

小奇麗な制服にちょっと真剣な表情……どれを取ってもアスカには

シンジが新鮮に見て取れた…。

そしてまたひとつ違うシンジを知り、遠い存在のようにも感じられたのだった。

 

 

 

 

 

「……真剣な顔しちゃってさ…何やってるのよ?」

やれやれと言った笑い方でアスカはシンジを見つめる…。

 

 

 

 

ガラス窓の向こうでシンジは早速接客とオーダーを取っているみたいだ…。

少しぎこちなさそうに持ち難い小さな紙切れに注文を書いていく…

よくみればシンジは何処かソワソワして、落ち着きがないように見える…。

そんな慌てた素振りを見て、シンジはまだバイトに慣れていないんだな。と、

アスカは思うのだった…。

 

 

 

 

 

「……そう…あいつ、バイト始めたんだ…」

 

 

 

 

 

いつも一緒に居るだけに少し寂しい感じがするアスカ…。

いつもご飯を作ってくれるシンジがそれを放棄してまでバイトを始めた事…。

いつも自分が布団に入って、日付が変わる少し前に帰ってくるシンジ…。

「………一体何の為に?」

 

 

 

 

 

疑念はあるにしろ、今のシンジの姿を見ていると影ながら応援したくなる…。

アスカはこの疑問を一旦心の中に押し込めると、ガラスの向こうで一生懸命

バイトをしているシンジに心から静かに声援を贈るのだった…。

「…今は私の心の中に留めといてあげるわ。………頑張ってね。シンジっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

小さなカフェ…Moon&Stars…アスカは建物に背を向けると静かな歩調で

家路に着いた…。

この時アスカは気がついていなかった…シンジが自分の姿に

気がつき驚いた顔をしていた事に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…曇り空から白い雪が舞い降りてきた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あ、雪だ。……よく降るわね。……今年もあと少しで終わりだなぁ…」

 

 

 

 

 

自分の指で後12月はどれ位かな?と、思い数えていく。

自分の誕生日もミサトの誕生日も無事終わり…そう言えば

ミサトは30になったものだから、かなりブルーになっていたのを覚えている…。

そしてそんなミサトを笑っていた自分…。

あの時プレゼントは貰えなかったが、シンジの暖かく心がこもった料理を

お腹一杯食べられたから満足していたアスカとミサト…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トボトボと、傍から見たら寂しそうに歩いているアスカ…。

遠くから何やら赤い服を着た白髪の人が歩いてくるではないか…。

ボ―とその赤い服を着ている人を見つめていたアスカはポツリ人物の名前を呟く。

 

 

 

 

 

「………サンタさん……」

 

 

 

 

 

一瞬サンタとは何者だろうと、考えながら歩いているアスカは

突然サンタに話し掛けられた…。

「もうすぐクリスマスですね。どうお過ごししますか?今年ももう後ちょっとですね。

あなたに幸せが訪れますように……」

 

 

何かに気がつく……。

 

 

 

 

「…!!……ありがとう…」

中身の老人に元気よくお礼をするとアスカは走って家まで戻っていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……今夜は明け方まで雪が降りそうだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は午後八時…少し遅めの晩御飯…の用意だ。

「んも〜〜…今日もあたしがぁ…!」

「アスカぁ〜美味しく作ってね〜」

不味い料理も美味しいと言うミサトには何か適当の料理でもいいかな?と、

思いながらもアスカは反論せずにせっせとシンジに負けないくらい

心をこめて晩御飯の用意をする。

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

とは言うもの今日の晩御飯は簡単な野菜炒めと、

もうすでに出来上がった味噌汁とコンビニで買ってきた豆腐だ…

豆腐は沸騰したお湯で温めるので最後にすることに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ……」

料理を作りながらもアスカは考えていた…。

 

 

 

 

 

たぶんシンジはクリスマスの為にバイトをしてるんだっ。

な、何か買ってくれるのかな?

…まだ八時か…シンジが帰ってくるまでまだ三時間とちょっとか…。

頑張ってねっ。シンジ。

 

 

 

 

 

心の中で少しずつ素直になり始めているアスカ…。

しかしまだ決定的に気がついていない。

 

 

炒め物を裏返すオタマに何気にチュッとキスしながらアスカは

思いを馳せる……その表情には少し朱に染まっていた……。

 

 

 

 

そして気を取り直して料理を炒めていく…。

 

 

 

 

 

「……ふ〜〜ん♪…ふんふ〜ん♪」

 

 

 

鼻歌を歌うアスカに、テーブルに座りビールをあおるミサトは

不思議そうにアスカの変わりようを見つめていた。

 

 

 

「…何かあったわね…」

 

 

 

ニヤニヤァとしながらアスカを見つめるミサト…。

此処最近シンジが居なくて機嫌が悪かったアスカだが、

今ではそんな雰囲気は出ていない…。

何かが上手い事進んでいるんだな。と、思いながらミサトは

更にビールをあおる…。

「ゴキュゴキュ………」

 

 

 

 

「出来上がりっ」

 

 

 

野菜炒めはごく簡単にそしてすぐに出来上がるものだ…。

キャベツがシャキシャキで塩・コショウと中華調味料の味が全ての食材に

行き渡ってそうだ……。

アスカはテーブルに置いてあるお皿に炒め物を入れていく、

そして前もって沸騰させていたお鍋の中に豆腐を静かに入れて暖める。

 

 

 

「さてミサト…豆腐もすぐ出来るから、食べましょっ」

「あ〜やっと晩御飯食べれるっ」

 

 

 

 

ミサトはお箸を構え、早速野菜炒めをパクパク食べていった…。

そんな無邪気に晩御飯を食べるミサトに少し微笑みつつも

時計が気になり、今日は食が少し遅かった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……二人が食事をしているこの時も

雪がベランダを真っ白に彩っていっていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…片づけくらいやってよねっ。…どうして食べたらすぐに寝るのよっっ」

振り向けばリビングで大の字になって眠るミサト…。

アスカは食器を洗う手を休めずにズボラな保護者に呆れる…。

 

 

 

 

しかしミサトも精神的に元気になったものだ…。

この世に戻ってからというものミサトは加持の為に死のうと思っていた…。

だがそんなミサトにリツコは優しく静かに何かを語っていた…。

あのリツコがミサトに一体何を話していたかは誰も解らない…。

 

 

 

 

 

 

「……加持さんはあっちの世界でも元気してるんだろうな〜」

 

 

 

 

 

一瞬天国の世界でも加持はスイカ畑を作っているのかな?と、思い、

鼻で笑うアスカ……。

そして最後に残った一枚のお皿を洗い終わったアスカ。

手をエプロンで拭くと首をコキコキとならし、

居間で眠っているミサトに近づいていった……。

 

 

 

 

 

 

「ぐがー……んふっ、ぐがー…」

「何が、んふっ、よっ。…あーあよだれ出てる…」

 

 

 

アスカはミサトの口元を伝うよだれを拭いてやり、

床に流れ出てしまったよだれもフキフキする。

膝を折りちょこんと床に座るアスカ……幸せそうに眠るミサトを

何気に見つめる……。

 

 

「…もぉ、こんな所で寝ると風邪引くわよ。ミサト…」

 

 

と、おもむろにアスカはミサトの首と膝裏に手を伸ばす…。

どうやらこの細い腕でミサトを抱き上げ、ミサトの部屋まで連れて行くようだ。

 

 

 

 

いち…に〜のっ!

「…ふんぬっっっ!!!……くのぉ〜…重いぃぃぃ!!」

 

 

腕・膝に物凄い重量感を感じる…。

そりゃそうだろう、この歳&細い腕で大人のミサトを抱き上げるのは

至難の技だ…。

顔が見る見る赤くなっているのが自分でも分かる…。

ミサトを持ち上げられたアスカはすり足でミサトの部屋へと時間を掛け歩く。

 

 

 

「…こんのあたしがぁっ…どうしてっ」

 

 

 

シンジが居るときはよく二人で協力し合い、ミサトを持ち上げ

部屋まで眠らせに行ったものだ……。

そんな最近の事も何故か懐かしく感じるアスカ…。

 

 

 

 

 

「んふふふふ……」

「こ、この……あたしの苦労も知らずにまた笑ってっ」

 

 

 

 

ミサトの部屋に一歩踏み入れる……。

大酒飲みが眠る所だから酒臭いと思うが、

そんな臭いは全くしない…。

これもシンジのお陰なんだな。と、アスカはこの部屋に入る度にそう思う。

…ミサトが使っている掛け布団を足でどける…。

 

 

 

 

 

「…降ろすのがまたしんどいのよね…」

 

 

 

 

 

掛け布団をどけ、その下にある敷布団にゆっくりとミサトに

振動が伝わらないように降ろしていく…。

 

「ぐぬぬぬぬ………あっ、う、うう、腕が悲鳴を〜〜」

 

 

 

 

 

 

 

バフッ…そんな音がした…。

疲れてミサトの身体に寄りかかるアスカ…。

 

「…幸せそうな顔しちゃってさ…」

 

自分がミサトの身体に乗っかり、重たいにも関わらずミサトは

至って平気で幸せそうな顔をしている…。

疲れの所為もあってかアスカはゴロッとミサトの隣で横になる…。

 

 

 

 

「……こうやって一人でミサトの寝顔を見るの初めてだなぁ」

 

 

 

 

ミサトの頭を撫でる……だが、その手が止まる…。

何故だか心が暖かい…。

まるで母が子を思うような…否、

それさえも分からない…。ただただ優しい気持ちになるだけだった…。

 

 

 

 

しかしアスカはこの気持ち・感情が初めて体験するものだから何が何だか分からない。

自分の中で何かが変わったことにアスカは動揺を隠せなかった。

 

 

 

 

「……何よこの気持ち…。初めてなのに初めてじゃないような…」

 

 

 

 

この気持ち、午後のシンジを見たときと少し似ている…。

…もう一度ミサトの頭を撫でる…。

 

 

 

 

「くくくくく…」

こそばゆいのか?ミサトは怪しく笑う…。

今度も優しい気持ちもあるが、ミサトの怪しい笑いにアスカは

少し引いてしまった…。

「うっ、変な笑い方……変な事でも夢見てるのかな…。……それにしても

この気持ち…嫌な気がしない……むしろ、何だか嬉しい……これが素直って奴??」

自分の所為でミサトが変な笑い方をした事に気がつかず、

アスカはこの気持ちが素直な気持ちか自分に問い掛ける。が、分からない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…一瞬部屋を静寂が支配する…。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてカッチッコッチと、時計の音がやけに大きく聞こえる…。

アスカは時計の音に気がつき、今の時刻を確認する。

 

 

 

「……十時半か…シンジが帰るまで後一時間とちょっとか…」

 

 

 

 

シンジの頑張っている姿を思い見て、アスカはこれからもバイトをしている事を

知らんフリしつつもシンジを応援しようと思っていた…。

「…これからは出来るだけシンジが帰るまで起きとこっと。

…さて…お風呂にでも入ろうかしら…。あいつにも晩御飯作ってやらなきゃいけいしね」

 

 

 

 

アスカはミサトに布団を掛けてやると、一瞬穏やかすぎる気持ちで

ミサトを見つめ一言「おやすみ」と、誰にも聞こえない小さな声でミサトに

囁き、この部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…空から舞い降りる雪。街の光は

辺りに積もった雪を鮮やかに彩り、静かな静寂と時を守っていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暖かなお湯…。身体の芯まで癒される…。

「………ふぅ」

静けさが漂うお風呂場…。

 

 

 

時折天井に溜まりに溜まった水滴が

自分の頭や、床に落ちていく。

お風呂に入って、もう40分が過ぎる…。

もっと入っていたいが、もうすぐシンジが帰ってくる頃だ。

 

 

 

 

自分の身体に適温なお湯からあがる…。

すると首から胸へとそして足へ最後に排水溝へと

身体についていた水滴が流れていく…。

 

 

 

「さっさと髪乾かして…シンジのご飯作ってやらなきゃ」

 

 

 

脱衣所で身体を拭き、そのままそのタオルで身体を巻いて

部屋に戻る…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴーーーっと、アスカはドライヤーで髪の毛を乾かす…。

優しく自分の髪の毛を手櫛で梳いていく。

「髪が長いから乾かすのに一苦労ね…」

 

 

 

 

 

 

 

―15分後―

「ふぅ…。よしっ、シンジが帰ってくるっ」

アスカは何時もの薄い黄色いシャツと薄い青色のジョギパンを着こなし、

勢いよく立ち上がり台所に向かう。

 

 

 

台所にやってきたアスカはまず、玉葱だけをフライパンで炒める…。

そうしておけば、シンジが帰ってきたときにモヤシやらキャベツを炒めたら

シナシナとした野菜炒めじゃなく、シャキシャキとした野菜炒めを食べてもらえるからである。

 

 

 

「…美味しいって言ってくれるかな?」

 

 

 

流石にミサトが美味しいと言っても、不味いものでも美味しいと言うから…。

…一応自分で作った野菜炒めは美味しかったがシンジの口に合うかどうか…。

 

 

 

 

ほん軽く玉葱を炒めたらアスカはそれをそのままにし、

椅子に座ってシンジを待ってようと思っていたがその瞬間ドアが開く音が聞こえた。

「…帰ってきた…」

 

 

 

耳を澄ませば、おそらく服についた雪を払いのけているのだろうか?

サッサッと何かをする音が聞こえる…。

そして静かに床を踏む音…廊下を歩いているのだ…。

アスカは真っ暗な台所と廊下の出入り口を見つめる。

すると暗がりの中から自分と同じくらいの背のシンジが現れた…。

 

 

 

 

「あれ、アスカ…起きてたんだ」

「まね。……今日も遅かったわね?…まぁお帰りなさい」

 

 

 

アスカの落ち着いた言葉にシンジは心中ドキドキし、

とりあえず落ち着いた声で…。

「あ、ただいま」

「…だいたいなんでこんな遅くに帰ってくるのよ?

…あ、今晩御飯作ってあげるからね」

 

 

 

 

 

まさかアスカがこんな時間まで起きていたんだ。と、シンジは思っているだろう…。

そんな事をアスカは思いながらもシンジに食べてもらう遅すぎる晩御飯を

作ってやる…真心を込めて…。

 

 

 

「ほらっ、そんなとこに突っ立ってないで…手を洗って座ったらどうよ?」

「え?…あ、そうだね。うん…洗うよ」

 

 

 

何故かアスカはほくそ笑みながら背後を通って、

隣で手を洗うシンジを横目で見つめる。

 

 

「最近帰り遅いわね?なにかあるの?」

「ギクッ……ううんっ、何でもないよっ」

 

 

と、シンジは自分の口で「ギクッ」と、言いながらも一応平静を保つ。が、

アスカはシンジの見え見えの演技に心の中で思い切り笑う。

「そ。ならいいわ。……でもあんた、夜は冷えるから気をつけるのよ?」

「…ごめん…心配掛けちゃったね。……でもそのお陰でアスカの料理が

食べれるんだったら得した気分だ…」

 

 

 

 

 

 

どうしてこんなに優しすぎる声が出るんだろう?と、

アスカはジュァ〜と、全ての食材を炒めながら思う…。

塩コショウして、後は中華調味料をサッサと振り入れる。

「あ、いい匂いだ。……アスカ料理作るの上手いね」

「あったりまえじゃない……」

 

 

 

 

なんだか会話が途切れる……。

何時もはもっとお喋りが弾むのに…。

不思議にアスカは思いながらもぎこちなくフライパンを振る。

「…………」

 

 

 

 

「ごめんね。最近ご飯作れなくて…」

背後からシンジが椅子に座り自分に話し掛けてくる。

ずっと前、朝にそういうことを言われて心にも無いことを言った自分を思い出す。

その弁解のチャンスがアスカに到来……。

 

 

 

 

 

 

「…ずっと前の朝……別にアンタの手料理が絶対食べたいって訳じゃない。って、

言ったこと………嘘よ」

 

 

 

 

 

たぶんシンジは自分の後姿を見ているんだろう…。

アスカはまた、ほんの少し素直になれた自分を褒めつつも、

全神経は背後に居るシンジと手に持つフライパンに注ぐ。

 

 

 

 

「あ、うん……じゃ」 「あ、だからって無理して毎日作らなくてもいいわよ。

あたしも料理の勉強が出来るから……」

 

 

 

 

シンジの言葉を自分の言葉でせき止める…。

たぶん今自分は微笑んでいるのだろう……

その微笑みはおそらくシンジへの微笑み…

素直になってくれた自分…それほど嬉しいことは無い。

 

 

 

 

 

 

「よしっ、出来上がりっと」

「出来たんだ。…初めてだから楽しみだなぁ」

 

 

 

 

 

フライパンを持ってテーブルにあるお皿に盛り付ける。

チラッとシンジの表情を盗み見る…

シンジは珍しく無邪気に・嬉しそうにアスカが作った料理を見つめる。

 

 

 

「…あんま期待しないでね」

「え?でも美味しそうだよ」

 

 

 

お皿に盛ると、次は残りの味噌汁とか豆腐の温めたものを

シンジの前に置いていく……。

シンジは初めて身近な人に料理を作ってもらい結構感激していた。

 

 

 

「…食べていい?」

「…ダメよ」

 

 

アスカの言葉にシンジはまるで鳩が豆鉄砲を食らった時の様な

情けない表情になる………。

「ええ〜…嘘でしょ?」

 

 

 

落ち着いた顔でアスカは鼻で笑う…。

「ええ、嘘よっ。…自信ないけど食べてよ」

「もうビックリさせないでよぉ。…じゃ、いただきます」

 

 

 

 

 

 

「あ、美味しいや」

「ほっ、そりゃどうも」

 

 

 

シンジの在り来たりの感想でもアスカの少しの不安を全て消し去った。

シンジもお腹が減っていたのか?食べていく速度が何時もより速い…。

アスカはシンジを見つめる…。

 

 

 

 

「な、何かな?」

「別にぃ…」

 

 

 

何故か食べている所を見られると恥ずかしいシンジ…。

アスカもシンジの心中を察してささやかな嫌がらせをする。

 

 

 

「なんだか恥ずかしいな…」

「ふっ、何意識してんのよシンちゃん?」

 

 

 

ニヤッとするアスカ…。

頬が赤くなるシンジ…頬杖するアスカに

見られて恥ずかしくなってくる…。

 

 

 

「シ、シンちゃんって………」

「へへ、何恥ずかしがってんの?」

 

 

 

そんなどうでもいい会話が延々と一時まで続いてしまった。

「………もぉ、いいよ。見たいだけ見ててよ」

「そうする」

そんなどうでもいい会話が延々と一時まで続いてしまった。

シンジも久しぶりにアスカと夜での会話が出来、心温まり 恥ずかしさこそあるが最高に嬉しそうだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…外では空から降ってくる雪が小さな粉雪になり

街を更に白く覆い尽くしていった…。

 

 

 

 

 

 

いい事がある時は雪が降ったらいいのにな…。

ふとアスカはそう思った…。

この12月は色々な出来事が自分達を待ち受けているのだろう…。

「……………」

「……………」

落ち着いた表情でアスカはシンジを見つめていた…。

 

 

 

 

………明日も素直でいられますように………。

 

 

 

 

 

 

 

後書き

蘭麻さんの次に小説作らせてもらったNOBです。

やっぱり蘭麻さんの作品以降の一日を全て書いちゃいました。

あ、物語中に出てくるシンジがバイトをしている『Moon&Stars』

あれは考えに考え抜いた名前です。それを蘭麻さんが改造してくれて

『Moon&Stars』に…ありがとっ蘭麻さん。

さぁ、次はyutakaさんにバトンタッチっ。

これからの進展が気になります。

それではyutakaさん、遅れちゃいましたけど

この作品の続きをヨロシクお願いしますっ。

 

NOB