
雨の日・・・
By KEN
雨の日・・・
僕は喫茶店にいる・・・
木造建ての結構洒落た喫茶店である・・・
今では、あまり見かけない、自然のにおいがする喫茶店ってところかな・・・
「ご注文はお決まりになりましたか?」
ウエイトレスの女性が営業スマイルで僕に聞く・・・
「ええ・・・じゃあ、コーヒーを」
「はい、分かりました!」
女性は笑顔で言って
そのまま、立ち去って行った・・・
「あ〜ぁ・・・暇だな・・・」
シンジはコーヒーを飲みながら言った・・・
今日は休み・・・
学校もなにもない日・・・
だけど、困るのが、やる事がない事だ・・・
まったくやる事がないと、無駄な一日だと思ってしまう・・・
「う〜ん・・・コーヒーも、もう飲めないし・・・」
彼はもう、3杯目のおかわりを終えたところだった・・・
「眠いしな・・・家にでも帰ろうかな?」
シンジはそう言うと、勘定を置いて、そのまま店を出た・・・
ザー・・・ザー・・・ザー・・・
雨が降り続ける・・・
シンジは傘をさして、ゆっくりとぼ〜っと、歩いていた・・・
「はぁ・・・ホント、やる事がないと暇だな・・・」
シンジはそう言うと、空を見た・・・
曇り空が辺り一面に広がっている・・・
「家に帰って何しようかな・・・」
シンジは家に帰って何をやるか考えた・・・
だが、何もなかった・・・
家事も終えてから来たのだから・・・
他に残っていることなんて、眠ることぐらいしかない・・・
「そんなに、暇ならアタシに付き合いなさいよ」
聞きなれた声が彼の耳に届いた・・・
そして、聞きなれた声の主はやはり、アスカであった・・・
彼女は店の屋根の軒先に立って、雨宿りをしていた・・・
「やぁ、どうしたの?」
「ん?買い物に来たんだけど、傘持ってくるの忘れたの」
「へぇ・・・」
そう言われると、彼女は傘らしき物体は持っていなかった・・・
「これ・・・使う?」
シンジは傘を差し出した・・・
「アンタはどうすんの?」
「ん?このまま走って帰ろうかな?って・・・」
「そんなんじゃ、明日、風邪ひくでしょ!」
「じゃあ、どうすんのさ?」
「相合傘しかないわね・・・」
「マジ?」
「ええ。アタシはいたってマジメよ」
「だけど、アスカが怒り出すじゃないか?」
シンジはそう言った
「アンタ、バカ?」
彼女のお決まりのセリフが響いた・・・
あぁ、やっぱり、彼女だ・・・
シンジはそう思った・・・
「それは、前のアタシだからでしょ?」
「まぁ、そうだけど・・・」
前の自分・・・
それは、エヴァに乗っていたときのことを指す・・・
「別にアタシは嫌いじゃないわよ・・・アンタのこと・・・」
「分かったよ。一緒に帰ろう」
「ええ」
アスカはシンジの返答に満足したのか、少し笑みを浮かべた・・・
そして、彼女はシンジの横に立った・・・
身体と身体がくっつくぐらいに・・・
「ちょっ、アスカ!?」
「いいじゃん、そうしないとアタシが濡れるのよ」
「分かったよ」
シンジは心なしか顔を赤くして、歩き出した・・・
アスカもそれに合わせるように、歩き出した・・・
ザー・・・ザー・・・ザー・・・
雨の中、彼達は無言であった・・・
「ねぇ・・・シンジ!ちゃんと、入りなさいよ!」
アスカの声にシンジはハッとなった・・・
そう言えば、左肩が冷たい・・・
自分がアスカに触れないようにしていたら、濡れてしまっていたようだ・・・
「あぁ、ごめん・・・」
シンジのお決まりのセリフ・・・
ごめん・・・
この言葉は相手と自分に距離を持たせるものだった・・・
「別にアンタが悪いんじゃないわ。ここで、いいわ」
アスカはそう言うと、傘から出た・・・
「え?」
シンジは一瞬何を言ったかわからなかった・・・
「アンタ、アタシに触れられるのが嫌なんでしょ?」
アスカが、少し寂しそうな声で言う・・・
「それは・・・」
シンジは言葉が詰まる・・・
アスカはそれを見て、また寂しい顔となった・・・
「じゃね」
アスカはそう言うと、人込みの中へと消えていった・・・
「違うんだ・・・僕が君の近くにいることがいいのか・・・分からなくなったんだ・・・」
シンジはポツリとそう漏らした・・・
「僕は、卑怯でずるくて・・・弱虫で・・・何も出来ない奴なんだ・・・」
シンジの悪い癖が始まった・・・
「それに、僕はどうやったって、人に好かれる人間じゃないんだ・・・」
シンジは傘を投げ出して、頭を抱え込んだ・・・
雨に濡れる事も気づかずに・・・
「僕は・・・僕は・・・」
シンジは、また自分の殻に閉じこもる・・・
前の時と、同じように・・・
「ねぇ・・・アンタ、その癖治らないの?」
誰かの声がした・・・
アスカだった・・・
「ほら、帰るわよ・・・」
「なんで・・・」
シンジが言う・・・
「なんで、君は僕に優しくするの・・・?なんで、僕なんかに?」
「言わす気?」
「僕は・・・嫌な奴でしかないのに・・・」
シンジはそう言うと、走り出した・・・
「あ、この待ちなさいよ!」
アスカの声も虚しく、シンジは何処かに行ってしまった・・・
「ホント・・・今度はアンタなの?」
アスカは溜め息をつくと、シンジを追いかける・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
息がきれる・・・
シンジは息を切らしながら、立ち止まった・・・
「僕は、嫌な奴なんだから・・・。こんな日はほっておいてよ・・・」
シンジは一人言った・・・
彼の言ったこと・・・
それは、さっき自分が言った事と全然違った・・・
いや、本当は裏に意味があったのかもしれない・・・
やる事が、あれば・・・
そういう事を考えずにすむと思っていたのだろう・・・
「バカシンジ・・・」
また、後ろから声がした・・・
「なんで・・・だよ」
「そりゃあ、アンタの事が好きなのよ?」
アスカは少し、顔を赤くしながら言う・・・
「僕なんかが?」
「アタシは天才でもない・・・ただのバカよ・・・」
彼女はそういう・・・
彼女がバカ・・・?
どうして?
「だって、アンタの事がこんなにも好きになったんだから・・・」
「・・・ごめん・・・。そして、ありがとう・・・」
シンジはそう言うと、泣き出した・・・
「はいはい、泣くのは、帰ってからにしましょうね」
「うん・・・」
初めて言ってくれた、暖かい言葉・・・
彼は一番、アイに飢えていたのだから・・・
「アスカ・・・」
「なによ・・・?」
アスカがシンジに聞く・・・
「嫌かもしれないけど・・・僕も・・・君が好きだよ・・・」
シンジはそう言うと、出来るだけ、笑顔を向けた・・・
「はは・・・今度はアタシを泣かす気?」
アスカはそう言うと、一筋の涙を流した・・・
彼女もまた、アイに飢えた人間の一人なのだから・・・
「アスカが嫌だって言ってもずっと見続ける・・・君を・・・」
「・・・一生モンになるわよ」
「承知の上だよ」
「バカ・・・アタシをはめたんじゃない?」
「そうかもね・・・」
Fin!
後書き
う〜ん・・・
ちゃんと、書けた気がするんだけど・・・
微妙だ・・・
おや?まだ下に続きが・・・(笑)
オマケ・・・
また、雨か・・・
シンジが空を見ながら言う・・・
と、言ってもシンジがいる場所は喫茶店ではない・・・
自分のベッドの上である・・・
やはり、先日の雨が効いたのか、風邪をひいてしまったようだ・・・
「な〜に・・・黄昏てんのよ?」
アスカが隣にいる・・・
彼女も同じく、自分と一緒で寝込んでいるのである・・・
結構、元気そうだが・・・
「ん?寝る以外暇だから・・・」
シンジがそう言う
「んじゃ、こっち来て・・・」
アスカがそう言う
「え・・・?何?」
シンジが言うが早いか、アスカはシンジにキスをした・・・
「アタシの病原菌をあげたわ!これで、アタシよりも苦しむんだわ!」
「え・・・くそ・・・やり返してやる!」
「きゃ〜、エッチ、変態!何すんの?」
「返すんだよ・・・病原菌を・・・これでね」
シンジは自分の人差し指を自分の唇にあてる・・・
「うぅ・・・バカ。アンタが先に言わないから、アタシが先に告白したんでしょ」
「うん」
「だから、それが、代償だと思っておけばやすいもんじゃない!」
「だから、これが僕のお礼だった!」
シンジはそう言うと、アスカを抱きしめた・・・
「あ、このバカ・・・」
アスカはそう言いながらも、笑顔だった・・・
そして、すっと瞼を閉じる・・・
「アスカ・・・好きだよ・・・」
シンジはそう言うと、アスカにキスをした・・・
Fin!(今度こそ!)
後書き2
やっと、書けました・・・
なんか、いつもより長めなのは、気のせいかしら?
KEN