離れて気づいて・・・

 

By KEN


 

 

「なんで、そんなに我が侭なんだよ!」

「別にいいじゃない!アタシの世話が出来るなんて幸せモノよ!」

「そんなの!誰が幸せだよ!」

 

 

シンジ、アスカはいつもの痴話喧嘩・・・

だが、少し、いつもと様子が違う・・・

 

 

「そんなに、我が侭言うくらいだったら、別の人に頼んでよ!」

 

 

シンジはそう言い、家を出て行った・・・

 

 

「あ・・・」

 

 

アスカはその場に一人だけ取り残されてしまった・・・

 

 

一人ぼっち・・・

 

 

そんな言葉がアスカには浮かぶ・・・

 

 

さっきの喧嘩の原因は今日の夕飯のことだった・・・

シンジが決めた献立をアスカが難癖をつけたのだ・・・

やれ、野菜が多い、肉料理が少ないと・・・

 

 

「ホントは・・・そんなこと言うつもりじゃなかったんだけどな・・・」

 

 

いつもそうなのだ・・・

口から発される言葉はいつも心の言葉とは正反対の言葉・・・

 

 

自分が嫌になってくる・・・

 

 

「早く帰ってきて・・・」

 

 

アスカは、不安に押しつぶされそうになりながらその場に座り込んだ・・・

不安・・・

それは、シンジがいなくなってしまう・・・

もう、二度と相手にされないという・・・不安だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、シンジは・・・

 

 

「まったく、なんで、そうケチをつけるんだ!そんなに文句を言うなら勝手にしてよ」

 

 

シンジは独り言のように、ブツブツと喋り続け、歩き続けた・・・

目的地は見つけてない・・・

だから、久しぶりに公園にでも行こうと思った・・・

 

 

「それに・・・僕にだって、心はあるんだ・・・。何でも言いなりじゃない・・・」

 

 

そう言っている間に公園についてしまった・・・

 

 

 

 

 

公園には誰一人として、人はいなかった・・・

かすかに風でブランコが揺れている・・・

 

 

なにかその風景が少し悲しく見えた・・・

 

 

ブランコが自分に見えた・・・

 

 

小さな風にでも揺れるブランコ・・・

まるで、自分・・・

小さな事で揺らぐ自分の心・・・

まるで、一緒だった・・・

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

シンジは溜め息をつくと、ブランコに座った・・・

ブランコに座るのは何年ぶりだろう・・・

小学校の低学年までしかそんな記憶はない・・・

 

 

小学校の低学年の時もこんな感じだった・・・

誰一人として相手をしてくれない・・・

 

 

「昔のことは・・・思い出したくないんだけどな・・・」

 

 

ふっと、空を見てみた・・・

もう、辺りはオレンジ色に輝いていた・・・

 

 

四季の戻ってきた日本・・・

そのおかげで少し肌寒く感じた・・・

 

 

「ふぅ・・・」

「あら・・・?こんな、ところで何をしているのですか?」

「え?」

 

 

誰かに声をかけられ、慌てて、前を見るシンジ・・・

そこには、ショートカットの女性がいた・・・

 

 

一言で言えば、奇麗・・・だった・・・

 

 

「あの・・・アナタは?」

「あら、すみません。申し遅れました。私の名前は相沢・美汐です」

「ど、どうも・・・碇・シンジです」

 

 

淡々とした口調で発される言葉・・・

シンジはとまどいながらも返事を返す・・・

 

 

「ところで、何をしているのですか?もう、暗くなりますよ」

「いいんです・・・。お気を遣ってくれて嬉しいですけど・・・、ほっておいてください」

「・・・話して見てください・・・アナタの悩みを・・・」

「え?」

「伊達に歳はとっていませんよ」

「はぁ・・・」

 

 

シンジは美汐を雰囲気に圧倒され、自分の口から今までのことを話した・・・

不思議だった・・・どんどんと心が軽くなっていく感じだった・・・

 

 

 

 

 

 

「そうですか・・・それは、その子の方が悪いですね・・・でも・・・」

「でも?」

「アナタの・・・ため?ならどうします?」

「・・・分かりません・・・。でも、嫌な感じはしませんね・・・」

「私もそんな時期がありました・・・」

「そうなんですか・・・」

「私の場合は恋人同士になってからの時点ですけどね・・・」

「はぁ・・・」

「一度、考えてみたらどうです?その子の事を?」

「はい・・・分かりました」

「じゃあ、今日は家に帰った方がよろしいですよ」

「はい、・・・あの、ありがとうございます」

「いいえ・・・お力になれて嬉しかったです」

 

 

シンジは、先ほどより軽い足取りで、家路についた・・・

 

 

 

 

 

 

「さてと・・・私も仲直りしましょう・・・」

 

 

「美汐!」

 

 

美汐の後ろから声が聞こえた・・・

そこには、一人の男性がいた・・・

 

 

「裕・・・一さん」

「おう、さっきは悪かった。許してくれ・・・」

「いいえ、いいですよ。私も悪かったことですし・・・」

「だが・・・」

「裕一さんの心は分からないですからね。時々ナイーブなところがあるから困ります」

「グハッ!?そんな、言い方ないだろう?」

「そんな、ところが好きなんです」

「・・・さんきゅ。俺もお前が好きだぞ・・・その・・・何ていうかおば・・・」

「物腰が上品なところですか・・・」

「お、おう・・・」

 

 

本当はおばさん臭いところと言おうと思ったのだが、あまりの殺気に固まってしまった裕一・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ、アスカは・・・

 

 

窓の外の景色を見ながら不安と戦っていた・・・

 

 

「もう、暗くなってきてるわよ・・・早く帰ってらっしゃいよ」

 

 

ポツリと言葉を呟いた・・・

その声は一人だけの空間に消えて行った・・・

 

 

本当に、このまま帰ってこなかったらどうしよう?

何度も考えたこと・・・

 

 

答えは絶対に嫌だ!

そう、彼女は彼のことが好きなのだから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トントン・・・トントン・・・

 

 

ドアのノックする音が聞こえる・・・

ミサトだろうか?

アスカは正直出たくなかった・・・

ミサトだったら正直、がっかりだから・・・

 

 

「アスカ・・・話があるんだ・・・」

 

 

シンジの声だった・・・

 

 

アスカはガバッと急いで起き上がり、ドアを勢い良く開けた・・・

そこには・・・シンジがいた・・・

 

 

「どこ・・・行ってたのよ?」

「ん?公園にちょっとね・・・それと、買い物・・・」

「買い物・・・?」

「そう、アスカが今日の献立が嫌だって言ったでしょ?」

「う、うん・・・」

「だから、買ってきた!ほら!」

 

 

シンジが見せたのはハンバーグ用の挽肉だった・・・

 

 

 

「それに、一つ、答えが見つかったんだ・・・」

「え?」

 

 

シンジは言い終わると同時にアスカを抱きしめた・・・

 

 

いつのまにかアスカより高くなった背・・・

 

 

今は、頭一つ分高い・・・

 

 

「ある人に言われて気づいたんだ・・・。アスカの事が好きだって・・・」

 

 

え?

 

 

アスカは自問自答した・・・

 

 

 

自分の事が好き・・・と

そんなこと信じられなかった・・・

我が侭ばかりの自分が・・・

想っている少年に好かれているなんて・・・

 

 

 

「嘘・・・」

「嘘じゃないよ・・・アスカが嫌いでも僕は・・・好きだ」

「バカ・・・アタシも好きに決まってんじゃない・・・」

 

 

さらに、顔をシンジの胸に埋めるアスカ・・・

 

 

 

 

 

 

「これからは・・・あんまり我が侭言わないから・・・」

「いいよ・・・。アスカの我が侭なら・・・」

 

 

 

優しく抱きしめるシンジ・・・

アスカは心地よさに目を閉じて、身を任せている・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日・・・

 

 

また、公園で・・・

 

 

今日は、いつもと違う・・・

 

 

そう、デート・・・

 

 

買い物の荷物持ちと偽らなくてもいい・・・

 

 

「あ・・・」

 

 

シンジが何かを見つけた・・・

それは、昨日の女性だった・・・

 

 

シンジは少し頭を下げた・・・

 

 

彼女も頭を下げた・・・

 

 

アスカは何が何だから分からず、シンジを急かしながら次の場所へと向かった・・・

モチロン、二人は腕を組んで・・・

 

 

目的地へと歩いて行った・・・

 

 

二人の幸せが壊れないよう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

「おい、さっきのガキは誰だ?」

「さぁ?誰でしょうかね・・・」

「まさか・・・お前・・・ショタ・・・」

「違います。それに、好きな人は・・・裕一さん、アナタだけです」

「グハッ!?よくもまぁ、白昼堂々と言えるな・・・」

「いいんです。私が誇りを持って言えることですから」

「そ、そうか。・・・俺も誇りを持って言ってやる!

ご町内のみなさん!俺は!むごぉ!?・・・」

「それほど、酷なことはないです。やっぱり、二人きりの場所で・・・がいいです」

「そうだな・・・」

 

 

二人はそう言うと、歩き出した・・・

 

 

Fin

 

 

後書き

いや〜、初めてのEVA+Kanon

私の大好きなSSの一つですから、いつかは登場させたかったです。

それが、今回、念願叶いました。

 

 

KEN