
自分・・・
By KEN
僕がみんなの前からいなくなって・・・どのくらい経ったのだろう・・・
いなくなる・・・そう、姿を見せない・・・
これほど、楽なことはなかった・・・
エヴァに乗っている時は、嫌だった・・・
自分を消していないと生きていけないから・・・
姿を見せなくなってから、自分は生きていると感じられる・・・
「ホントに・・・そう思うの・・・?」
・・・また、君か・・・
うん、そうだよ。
これほど、自分を感じられるのは一人の時だけさ・・・
「自分しか、信じられないのね・・・」
うん・・・そうだよ。
だって、自分は好きって事じゃないけど、安心は出来る・・・
罵られない・・・
悪口も言われない・・・
自己嫌悪しなくてすむ・・・
日常の生活では辛いことのはずのものがないんだ・・・
「アナタには家族がいるわ・・・」
家族か・・・
でも、どうせ、捨てられたんだよ?
今更、家族みたいにされても気持ち悪い・・・
「アナタを想う人はいるわ・・・」
そんな人はいないね!
みんな、どうせ、僕を必要とする人は裏に何かあるんだ・・・
どうせ、切り捨てられる時の部品みたいに、捨て駒と一緒さ・・・
「本心ではないでしょ?・・・それは?」
そう・・・かもね・・・
でも、このままの方がいいさ・・・
「アナタは・・・ズルイ人ね・・・」
なんで!?
エヴァだって、何だって、僕は人の言いなりなった!
言う事を全てやった!
ちゃんとやったのに、怒られた・・・
悪口を言われた!
なんで、それでも、その人たちの前に出なくちゃいけないんだ!
「その人たちも後悔しているわ・・・。その人たちの謝罪を聞く気はないの?」
今更・・・
偽善者だよ!
全てはまた、同じことを繰り返すさ!
「そうね・・・私もそう思うわ・・・」
え?
「私もそう思う・・・。だけど、信じることは出来る・・・」
ふ・・・ははははは!
そうだね!
だけど、信じてもまた、裏切られたら、もう二度と立ち直れないだろうね
「その時は・・・ここに戻って来て・・・私が慰めてあげるから・・・愛してあげる」
・・・ありがとう・・・
まぁ、暇つぶしに行ってみるよ・・・
「行ってらっしゃい・・・」
うん・・・
「ふぅ・・・ホント・・・ここの世界って暑いね・・・」
僕は汗を拭いながら辺りを見回す・・・
サード・インパクトの後から考えると、元どおりなったね・・・
街が・・・
家が・・・
僕が願ったから・・・
僕以外をそのまま、普通の生活に・・・
今までの生活に戻せ・・・と
「シンジくん!?」
僕を呼ぶ声・・・
それは、今まで家族と思っていた人だった・・・
「あぁ、どうも、葛城さん・・・」
ホント、今までの態度では考えられないほど冷たい声だよ・・・
今まで溜まっていたものが全部表に出たんだろうな・・・
僕自身、まったく制御が出来ないよ
「ホントにシンジくんなの?」
「さぁ?アナタの言っているシンジは・・・死にましたから・・・」
「え?」
「アナタ達の言いなりになっていた、僕は死んだんですよ」
葛城さんは一瞬にして顔を青くする・・・
ふん・・・僕は全てを知ってるんですよ?
みんなと一つになったとき、僕は全てを知ったんだ・・・
だけど、アナタたちは知らないでしょう・・・
『僕』生まれたのはつい最近ですから・・・
「アナタは何を言っているの?そんなことないじゃない!アタシたちは家族・・・」
「違います!僕たちはタダの他人です」
「・・・・・・」
「僕を、助けてくれたことはありましたか?」
「それは・・・」
「あるって言いたげそうですね・・・。でも、表面だけじゃないですか?」
そうだな・・・
今、考えると・・・
ホント、誰も守っていなかった・・・
僕を・・・
「その事は・・・謝る・・・。だけど、もう一度私たちと暮らして欲しいの・・・」
「私たち?」
「そう。私とアスカ」
「・・・まだ、居たんですか・・・彼女は」
「ええ」
「ずっと、罵られ続けられた僕の立場はどうするんですか?」
「大丈夫よ・・・。あの娘も大分、ヘコんでいるわ・・・。自分がアナタを消してしまったって・・・。彼女、今、完全にノイローゼだわ」
「そうですか・・・」
一瞬、僕の胸がちくっと針で刺されたような感覚になった・・・
「だから、お願い・・・人目でいいわ・・・。彼女に会ってあげて・・・」
「・・・いいでしょう」
「分かった・・・。じゃあ、ついてきて・・・」
「はいはい・・・」
さてと・・・彼女には一ついいたことがあったからね・・・
言わせてもらおうかな・・・
「ここよ・・・」
葛城さんの連れてきた場所・・・それは、忌々しい場所だった・・・
病室・・・
僕の大嫌いな場所・・・
「ここですか・・・」
「アタシはここで待っているから・・・」
「そうですか・・・。逃げるんですね・・・」
僕は一言呟き、中に入って行った・・・
部屋の中には無意味な白の色があった・・・
そして、中心には紅があった・・・
その紅こそアスカだった・・・
「やぁ、しばらくぶりだね・・・アスカ」
「シ・・・ン・・・ジ・・・?」
「そうだよ」
「シンジ・・・シンジ・・・」
アスカは僕の名前を呼びながら、泣き出した・・・
「安心して、すぐ帰るから・・・」
「!?嫌・・・帰らないで・・・」
「なんで?」
「どうして、アタシを一人にするの?」
「いいじゃないか・・・君は周りにはたくさんの見てくれる人がいるのだから」
「違う・・・アタシが見てもらいたいのは・・・」
「嫌だよ・・・きっと、僕を捨てるのは・・・君なんだから・・・」
「違う・・・アタシはアンタを捨てはしない・・・だから」
「ふ〜ん・・・」
僕はそう言いながら、この場から消えた・・・
そう、元の場所に帰ったのだ・・・
ふぅ・・・辛いね・・・元の世界は・・・
「帰ってきたの?」
あぁ・・・だって、詰まらないから・・・
「そう・・・でも、彼女は泣いているわよ?」
気にすることじゃない・・・
彼女は、すぐ元気になるさ・・・
「彼女はアナタが好きなのに、冷たいのね?」
本気で好きなわけないじゃないか?
「じゃあ、アナタは彼女の全てを知っているの?」
ん?知らないね・・・
彼女の事だけは、知らないでおいたさ・・・
「何故・・・?」
何故?かな?
「それは、アナタが期待しているからじゃない?」
期待?
「そう。本気でアナタを好き、大切にしたいと思っている・・・」
そんなこと・・・
「それを、知りたい・・・。だけど、アナタは恐い・・・だって・・・」
五月蝿い!
それ以上、言うな!
「だって・・・アナタは・・・彼女のことを・・・」
言うな!
「好きなのだから・・・」
・・・・・・・・・
あぁ・・・そうだよ・・・
好きさ・・・
でも、裏切られるのが恐いんだ・・・
だから、嫌なんだ・・・
「アナタは、自分の本心を伝え事はあるの?他人に?」
ないよ・・・
「じゃあ、アナタはあの人たちと一緒だわ・・・」
・・・そうだね・・・
「もう一度・・・行って・・・。そして、本心を伝えて・・・」
分かったよ・・・
あははは・・・
また、帰ってきちゃったよ・・・
そして、場所はここなんだから・・・
「やぁ、アスカ・・・ご機嫌いかが?」
「・・・シンジ・・・帰ってきたの?」
「あぁ。最後に聞きたいことがあってね」
「聞きたいこと?」
アスカ・・・
君は僕を好き?
そして、僕を裏切らない?
見放さない?」
これは、僕の本心・・・
見放さないで欲しい・・・
君だけには・・・
お願いだから・・・
「・・・ええ。アタシはアナタを見放しもしない・・・それに・・・好きだから・・・」
「・・・ありがと」
「うぅん・・・、これがアタシの本心・・・だけど、アナタも見捨てないで・・・アタシのこと・・・好き?」
「あぁ・・・モチロンだよ・・・。好きさ・・・。愛している・・・」
「ありがとう・・・」
安心しきったような彼女の声・・・
僕は、何かしら、彼女を前以上に愛おしく感じる・・・
そして、心と身体は勝手に彼女を抱きしめた・・・
そして・・・
僕はアスカにキスをする・・・
思いやるように・・・
お互いを大切にするように・・・
ずっと、このままの空間になるように思った・・・
この気持ちが永遠に続くように願った・・・
「元の場所に戻る?」
虚空から、声が聞こえた・・・
それは、いつまでも、僕を見捨てなかった彼女の声だった・・・
うん・・・もう一度信じてみるよ・・・
彼女と一緒に・・・
後書き
う〜ん・・・
なんか、奇麗・・・
今まで書いた中で最高レベルの出来(嬉)
この調子で書いていきたいですね・・・
おや?まだ下に何か続きが・・・(笑)
オマケ
結局、僕たちは今までの場所・・・
ミサトさんとアスカ・・・そして、僕が暮らしていた場所に戻ってきた・・・
ミサトさんは、涙を流して出迎えてくれた・・・
僕にとって、戻ってきたのは悪いことなのかもしれない・・・
また、見捨てられるのかもしれない・・・
だけど、彼女だけは、ずっと、一緒にいてくれる・・・
彼女は僕の・・・大切な人・・・。そして、僕を大切に想ってくれる人なのだから・・・
「シンジ!これからもよろしくね!」
「うん・・・こちらこそ!」
僕たちは幸せだ・・・
Fin!