
輝く想いを胸に秘めて 第五話 幕間において by.夢幻の戦士
---------------------------------------------------------------------------- ---- まだ雨が降り続いてる。 無理もない、予報ではまだ二三日続くらしい。 「う…んん〜…」 何だ、寝ちゃったのか…髪ぼさぼさ。 まったく、やンなっちゃうな。せっかく取れた休暇なのに… でも何か不思議、まるで自分がドラマに出てくるヒロインみたい。 あ、それは幾ら何でも不謹慎か。ホテルのBARで飲みなおそうかな。 確か今でもまだ開いてるはず、時間はまだ8時にもなってないし。 よし、行こう。 決めたことには即行動。それが私の、星野きららの良い所。 数分後、私はホテルの最上階にあるBARミラノへやってきた。 ふ〜ん、中々洒落た店だこと。それがこの店の第一印象だった。 見回すと、薄明かりの店内には数人の人影があった。 私はとりあえずカウンターに腰を下ろした。 「何にいたしましょうか?」 「そうね。ジン・トニックをお願い」 「はい」 私がジン・トニックから始めたのは訳がある。 これは以前友人から、そのBARの良し悪しを知るにはこれから入るのがベストと言われた事があった。 それ以降、初めてのBARでは必ず始めにジン・トニックを注文することにしている。 「どうぞ」 出されたジン・トニックを軽く飲み干す。 美味しい、これなら期待できる。 「じゃあ次は…軽めでさっぱりしてて、甘味も控えめのをお願いできる?」 「承知いたしました。少々お待ちを」 小気味良いシェーカーの音が気持ち良い。 あんな事件があったのに、それを全然感じさせない。 「お待たせいたしました」 「綺麗ね」 出されたカクテルは海の様に深い蒼。まるで夜の海をそのまま持ってきたように見事だった。 「美味しい、このカクテルの名前は?」 「マリン・ブルー、当店のオリジナルで御座います。ベースはリキュールで後 は……」 その後、何故かそのバーテンダーと会話が弾んだ。 やがて話は、亡くなった六分義会長へと移っていった。 最初は渋っていた彼も、次第に口を開き始めた。 「あの人は過疎化が進むこの島を建て直してくれました。海が綺麗なこの島をマリンスポーツで有名にし、 それに伴うレジャー施設も彼のおかげです」 「ふ〜ん、じゃあ恨まれたりとかは?」 「さぁ詳しいことまでは。ただ」 「ただ?」 「お嬢様のミサトさんの婚約者、加持リョウジさんですが。 彼、最初はお嬢さんとの結婚を猛反対されたそうです」 「でも結局は結婚できるんでしょ? あの二人」 「それはそうなんですが。何でも一度あの二人、取っ組み合いの大喧嘩をしたそうで、 その時の怪我の所為で左腕が不自由になったとかで本職の絵をもう描けないらしく…」 なるほど。そんな事があったのか。 「それに秘書の日向さん。彼は次期六分義グループ総帥とまで言われたんですが、 加持さんの登場によりそれが危うくなってきましてね。 それによりミサトさんとの婚約 も白紙に戻されたそうで」 「ちょ、ちょっと待ってよ! なに、婚約!?」 「ええ、知らなかったんですか? 本来なら今度の結婚式は日向さんとの結婚式だったんですが、 ミサトさんが連れてきた加持さんによってその話は無かったことになったんすよ」 知らなかった。ミサト、あいつ何にも言ってなかったから…。 「それにご親友の赤木リツコ女史。彼女、六分義氏の愛人という噂も」 「あれ? でも六分義会長は一人身のはずじゃ」 「はい、ですが本人にその気があったかどうかは」 愛憎の線もある訳か… 「それに冬月氏は六分義氏から多額の借金があるそうで」 ああ、何かもう頭が痛くなってきた。今になってようやく酒が回り始めたみたい。 流石にカクテル4杯はきつかったか。 私はマティーニを飲み干すとBARを後にした。 「あ〜〜頭痛い。こりゃ飲みすぎたか」 あの事件以降、関係者はホテルに宿泊している。 私は601号室、碇先生は610号室に泊まっている。 「あれ〜〜変だな、ここ何処?」 どうやら迷ったみたい…なんで? 仕方ない、引き返すか… ドン! 「きゃっ!」 誰かとぶつかった。 「あいたた」 「大丈夫ですか!?」 「―――ええ、大丈夫よ」 目を開けると、そこには洞木ヒカリの姿があった。 さらに見回すと彼女の物であろうバックの中身が、辺り一面に散乱していた。 (あれ、あれは確か) 「ご、ごめんなさい。わ、私急いでるのでこれで」 彼女は急いで辺りの小物を拾い集めると、私の前から姿を消した。 「変なの、彼女何慌ててたのかしら?」 彼女が来た方向に目を向けてみた。 ん? あの部屋のドアが開いてる。 ふ〜む、これは何かあるわね…。 「よし、行ってみるか」 その部屋の中で、この結婚式の仲人役である冬月コウゾウが変わり果てた姿を発見したのはその、直後だった。 ---------------------------------------------------------------------------- ---- お待たせいたしました。第五話でございます。 今回は趣向を変えて、星野きらら一人称という形式を取ってみました。如何だったでしょうか? それと事件の背景と登場人物とゲンドウとの関係も書いてみました。 次回はもう少し早く書きます。 誤字脱字がありましたらご連絡ください。 それでは
KENの感想 何時もとは違った文体だったと思います。 私は、一人称のSSが好きです。 キャラに感情移入がしやすいと思うからです。 それにしても、またまた話が複雑になってきました。 今回は、事件の背景など登場人物たちの関係も少しはっきりしてきました。 ホント、この続きも期待できそうです!! 夢幻の戦士さんの感想はこちら